今、最も熱い映画といえばクエンティン・タランティーノ監督5年ぶりの新作「キル・ビル」でしょう。 そんな「キル・ビル」を見たのですが、個人的には大好きです。
ボスと仲間に裏切られた暗殺者の復讐劇という超単純明快な物語の中にわかる奴にしかわからない細かいネタを散りばめ、監督自身のオタク心を満たしながら、「そんなネタ知らん!」という真っ当な観客をも満足させる作りになっている。
ストーリーが単純な分、動きで魅了するということで、見所はやはり「マトリックス」の武術指導を担当したユエン・ウーピンによるアクション・シーン。
日本刀で手、足、首が切られ、凄まじいばかりに鮮血が飛び散りまくる。あまりの荒唐無稽さに「そんなんある訳ねーだろー!!」という突込みを入れつつ楽しんでいる。
しかし、フッとある思いが頭を掠めた。
主人公が敵を刺殺するシーンがおかしくて、度々場内から”笑い”が起こる。そして、僕も笑っていた。
「人を殺すシーンで度々笑いが起きるってどういうことだ?」と。
冒頭で、「我が師、深作欣ニに捧ぐ」というテロップが出る。タラちゃんとしては憧れの深作監督の暴力描写へのオマージュ的なところがあったのでしょう。復讐劇とか「仁義なき戦い」だし、大殺戮シーンなんかモロ「バトル・ロワイアル」です。(「バトル」に出ていた栗山千明を起用しているぐらいだ)
が、深作監督と明確に違う点は、「笑い」にある。深作作品における殺人描写で決して「笑い」は起きない。暴力に走るという人間の残虐性と悲しみ、痛みを伝えるべく、深作さんは暴力描写に拘ったんだと思う。
R指定で社会現象を巻き起こした「バトル」の時に北野武が言ったように、タラちゃんも「特に若い人に見てもらいたい」と言っているようだが、その真意は如何に?
余りにも残酷なシーンに笑いの要素を入れて、中和剤とすることは良くあるので、もうそれはそれ!といって楽しむべき映画なのでしょうが、それを理解しているのといないのとでは、受ける影響は違ってくる。只でさえゲーム感覚で人を殺す事件が増えているご時世だし。
こう考えてしまった時点で「あ〜、俺、年食ったなぁ〜」と思ふっ。・・・(涙)
PS:「キル・ビル」は2部作で、来年、vol2が公開になります。まぁ、なんだかんだ言ってチョー楽しみで見たいんだけどさ。
コメント (2)
いつも楽しく拝見させて頂いております。
先日、改めてキル・ビル1&2を観ました。
いやぁ〜、4、5年振りに観ましたが面白い。
でもって、当時から思ってましたが、映画という形ではなく、ツインピークスのような連続TVドラマという形で作った方が良かったのでは?
に、伴ってまた違う意味でのファンやマニア(おたく)が増えたかも??
と、当時と変わらぬ自分でした。
勝手なコメントですいません。
PS:いつも映画を観る際、伊藤Pさんの記事を参考にして映画を観てます!
これからも良い映画をどんどん紹介して下さい!
裏部屋も大好きです。(微笑)
投稿者: dies | 2008年11月02日 18:28
>diesさん
コメントありがとうございます。
頑張ろうって思えるようなお言葉を頂いているにも関わらず、
コメント返していなかったですね。
すみません。
新作映画に追われる日々で、あまり昔の作品を見返すこともなく、
『キル・ビル』も然りな状態であります・・・
そして、この#021というムチャクチャ古い記事にコメントが付き、
久しぶりに約5年前の自分で書いた文章を読んだのですが・・・
今とあんまり変わんねぇーなぁ・・・
つまり文章力に成長が見られないってことだ。
頑張りますんで、
これからも映画見る際に参考にしてやって下さい。
投稿者: 伊藤P | 2008年11月19日 14:53