ぎゅぅぃぃぃぃ〜ん!ぶ〜ん!ぶ〜ん!!と心地よい響き(?)のチェーンソーを持って人をぶった切る男・レザーフェイスなるホラーキャラを生み出した「悪魔のいけにえ」 低予算のインディー映画にも関わらず衝撃的な内容で大ヒット。あれから約30年の歳月を経てリメイク版「テキサス・チェーンソー」の登場だ。
1973年、男女5人の若者がワゴン車でテキサスの田舎道を直走る。車中に掛かっている曲はレイナード・スキナードの「スウィートホーム・アラバマ」だ!またかよ!!!(バックナンバー#18参照)
この5人スキナードのコンサートに向かっている途中であった。しかも前の方の列だってさ。「いいなぁ〜、俺も行きてぇ〜なぁ〜」などと思っていると彼等は放心状態の少女を保護する。ここから悲劇が始まります。
色々あって、ある家に辿り着くんですけどそこにはレザーフェイスくんがチェーンソー片手に待っていましたというお決まりの展開で、ぶ〜ん!ぶ〜ん!暴れ放題!やりたい放題!うーん、レザーフェイスくん最高だぁ。
ちょっと前、配給元の方(女性)と飲んだ時にこの作品の話題が出て、その方は「痛いのよぉ〜」と感想を述べていたのですが、確かに痛い。
スッパっと片足を切り落とされた男は生きたまま納屋に連れて行かれ、フックに吊るされ、切口に塩を擦り込まれる。
そんなショッキングなシーンではマスコミの方々も「顔そむけたり」、「もうやめてぇ〜」てっな感じで妙な一体感がありました。
さて、この殺人鬼レザーフェイスなのですが、実はモデルがいます。1957年ウィスコンシン州で女性を殺して首を切り落とし、死体を切り開いて納屋の鴨居からぶら下げるという猟奇的な犯行に及んだ男が逮捕されました。その男の名はエド・ゲイン。
彼は敬虔なクリスチャンである母の厳しいしつけにより性的に倒錯してしまい、墓場から遺体を盗んできて皮を剥いでなめして、ランプシェード、ブレスレット、椅子、マスクなどの加工品を作りました。月夜の晩にはその人皮加工品を身につけて奇声を発して踊ったそうな。
この衝撃的な事件は多くの映画に影響を与えました。ヒッチコックの名作「サイコ」はエドと母親の関係をモチーフにしている。
「悪魔のいけにえ」はもっと直接的だ。レザー・フェイスはエドと同様、殺した人の皮で作ったマスクを被っているし(だからレザーフェイスね)、他の加工品も作っている。
また「羊たちの沈黙」に出てくる連続殺人鬼バッファロー・ビルは女装癖があり、これはエドの人の皮を全身にまとうところと合致する。因みに「羊たちの沈黙」の原作者トマス・ハリスはエド・ゲインの事件があった当時、ウィスコンシン州で記者の見習として働いていたんだってさ。
それからエドの半生をまんま描いた「エド・ゲイン」なんてのもあります。
「サイコ」は初のサイコスリラー映画だし、「悪魔のいけにえ」はスプラッターのはしり、「羊たちの沈黙」はプロファイリングなど新しいジャンルを切り開いた。エドを題材に用いた映画の多くはそのジャンルの先駆的存在として映画史に名を残している。
「テキチェン」がエポック作になるとは思わないけど、伊藤的には記憶に残る作品ですね。ピーンと張り詰めた緊迫感のある映画で、見終わった後に疲労感が襲うのですが、妙に心地よく、爽快感もありました。
そんな人を殺す映画で爽快感なんて不謹慎だ!と思うかもしれませんが、ホラーというエンターテイメントとして楽しめるだけではなく、「本当に恐ろしいものはなにか?」というきちんとしたテーマもあるのです。
最後に、エド・ゲインが住んでいた家なのですが、なんと現在もレストランに改装され残っているそうです。エドは人肉を食べたとも言われている。う〜ん。。。微妙だぁ。。。
PS:このコラムとほぼ同じ内容で「テキチェン」をカミングスーンTVの番組内で紹介しましたが、それ も伊藤が企画・立案したものでパクリではありません・笑。