#45で出てきた「歌え!ジャニス・ジョプリンのように」が公開された。 ジャニス・ジョプリン。1967年から1970年まで活躍したアメリカの女性ロック・シンガー。
日本では「Summertime」という曲がCMで使われていたし、「Move Over」という曲が有名だ。(「Move Over」の邦題は「ジャニスの祈り」。センスねぇなぁ〜)
ハスキーで、声を絞り出すように歌う独特の歌唱法は、一度聴いたら忘れられない。ド派手なサイケ衣装に身を包み、全身全霊を込め、髪を振り乱してパワフルに自分の思いを歌で体現するパフォーマンスも印象的だ。そのエナジーは恐怖すら感じる。
1960年代半ばから70年にかけて、アメリカはベトナム戦争泥沼化、黒人差別問題、ケネディ、キング牧師、マルコムXら要人の暗殺と揺れに揺れていた。
そんな時代を背景に若者たちは既存の文化をぶち壊せ!というムーブメントを起こす。これがカウンターカルチャーと言われるもので、音楽シーンにも大きな影響を与えた。ミュージシャンたちは反戦歌など社会的メッセージの強い曲を歌うようになる。
ジャニスは今までの女性にはないカリスマ性と破天荒な言動で、カウンターカルチャーの女性的象徴として見られるようになる。
しかしながら、ジャニスは反戦歌や社会性の強い歌はあまり唄わなかった。もっともっとパーソナルな歌を唄った。
ジャニスは孤独だったと言われている。
テキサスの田舎に生まれた。型に収まることのないジャニスは保守的な両親や町の人たちとは合わなかった。故郷を飛び出し、ミュージシャンとして成功を収めるも町の人たちはジャニスを受け入れなかった。
また、ジャニスは異性に対しても情熱的だった。元々、学校のブスコンテストで優勝するという不名誉な経歴を持つ彼女はコンプレックスを持っていた。ジャニスがその思いのたけを恋人に曝け出せば出すほど、男たちはその激しさに戸惑いジャニスの元を去った。誰からも愛されていない。孤独。
世界は戦争で混乱しているが、己の心も混乱していた。そんな内なる感情をジャニスは唄い、聴衆に訴えかけた。
ジャニスはミュージシャンとしての才能を開花させ、大衆から支持された。
しかし、ジャニスの心の空洞は歌うことだけでは埋められなかった。
「毎晩25000人もの人たちと愛しあうんだけど、家に帰ると一人ぼっちなの」コンサートで観客を熱狂させたジャニスの言葉である。
自分の望むバンドを結成し、ニューアルバムのレコーディングに取り掛かり、更なる飛躍が期待された矢先の1970年10月4日。ハリウッドのホテルで4ドル50セントを握り締めて死んでいた。死因はヘロインの多量摂取。享年27歳。
遺作となった「パール」は翌年1月に発売。
ジャニス急逝によりインストとなった「Buried Alive In The Blues」は、永遠に現れることの無い歌姫の登場を待つ。
「Trust Me」はまさに魂の叫び。
アルバム全曲が真珠のような輝きを放つ名盤中の名盤で、夜に酒でも煽りながら聴けば泣くこと請け合いだ。
あっ、映画のことに全く触れとらん。。。文字数オーバーだ。。。いやぁ〜、ジャニスは最も好きな女性ヴォーカリストなもので、つい熱が入っちゃって。。。
で、「歌え!ジャニス・ジョプリン」ですが、ぶっちゃけ大したことありません。映画見るなら「パール」買え!って、コラコラ!コラム読んで、アルバム買って、聴いて、ジャニスのことを知ってから映画を見れば、また違った印象を受けるでしょう。
そして、劇中、ジャニスに変装することによって、新たなる生きがいを感じる主婦を演じた主演女優さんは撮影後、恋人に殴られ映画の完成を見ることなく他界しました。このことを知らないで映画見たのですが、後で知ってびっくり。なんか運命的なものを感じてしまいますね。
あと、ジャニスの伝記映画がP!nK主演で作られるなどという話が。わしゃぁ〜あまり彼女が好かんので嫌だなぁ〜。あともう一本。レニー・ゼルヴィガー主演であるんだそうで。レニーなら良いかなぁ〜と思っていたら、「ジャニスは夢の中で映画はこうして欲しいと私に話した」などと発言しているようで。。。