我が心の師・ジャッキー・チェン。そんな彼の新作「80デイズ」の登場だ。 「タキシード」、「メダリオン」といった最近のジャッキー作品はCG多用につき、巷では「もう年だから」、「ジャッキーはもう終わった」と言われている。そして、熱心なファンである伊藤でさえそういったジャッキー作品には食傷気味だった。
更にこの「80デイズ」は全米でズタコケだったうえ、「80日間世界一周」のリメイクということで、「ジャッキーがアクションするところあるの?」という不安もあった。アクションがあったとしても「また落ちぶれたジャッキーを見るのかぁ。。。」と見る前から気分はかなり後ろ向き。「なら見るなよぉ!」となりますが、やはりジャッキーなので見ない訳にはいかない。
で、映画の中身ですが舞台はまだ飛行機もない19世紀。80日間で世界を一周するという賭けをした発明家フォッグ(スティーブ・クーガン)と、ひょんなことから旅のお供をすることになったパスパルトゥー(ジャッキー・チェン)、そして、旅行中にパリで出会った女性モニクたち3人の珍道中を描いたファミリームービー。
冒頭、武術指導にジャッキーの名前がクレジットされていて一瞬期待したけど、前半は予想通りあまりジャッキーらしいアクションもなく淡々と進んでゆく。
「やっぱりダメかぁ」なんて思っていたら、伊藤の予想を良い意味で裏切る展開を見せてくれた。
一行が中国を訪れる中盤あたりで、ジャッキーがカンフーアクションを、しかもカンフー服を着てバリバリ見せてくれるのである。ジャッキーがカンフー服でアクションをするのは「酔拳2」(1992年)以来。それだけでも感激だ。
往年のジャッキー映画を髣髴させるCGなしのカンフーアクションは久しぶりで逆に新鮮。「おぉ〜!!!オレはこれを見たかったんだよぉ〜!!!!!!!!!!!!!!ジャッキーやれば出来るじゃないの!」と心の中で叫んだよ。
ジャッキーと戦うのは黒サソリ団。流石のジャッキーも多勢に無勢でちょっと圧され気味。そんな劣勢のジャッキーを救うべく登場するのがなんと広東十虎!広東十虎とは広東地方に実在した高名な武術の達人たち10人を「虎のように強い人」という意味から称した武術集団。メンバーの中には黄飛鴻(ウォン・フェイフォン)のお父さん、黄麒英(ウォン・カイヤン)もいる。
黄飛鴻は「ワンチャイ」シリーズでリー・リンチェイ(現:ジェット・リー)が演じていることで有名。ジャッキーの「酔拳」での役名も黄飛鴻。これ以外でも多くの映画で取り上げられている香港映画ファンにとっては馴染み深い人物。
因みに「酔拳」で、ジャッキー演じる黄飛鴻に武術を指導するの人(蘇乞兒という)も広東十虎のメンバー。(但し、実際の蘇乞兒は酔拳の達人ではない。映画の中だけでの話。)
そして、その黄飛鴻が「80デイズ」に登場。しかも演じているのが。。。
場内は笑いが起きたけど、伊藤は泣いたよ。こういう痒いところに手が届くネタが伊藤には響く。
ジャッキーを好きになって早20年以上。こう立て続けに琴線に触れることをやられるともう感涙しかない。ジャッキーに対しての思い入れが強ければ強い人ほどこの気持ち分かって貰えると思う。
中国の後は舞台をアメリカに移すのですが、もうどうでも良いんです。80日間で世界一周出来なくても良いんです。カレン・モクとの“デキル”者同士の決闘シーンがイマイチでも良いんです。伊藤にとって中国のシーンが全てです。この映画は。
近年、歯痒さばかり味わってきたけど、中国のシーンはなんだか長年辛抱してきたファンへのプレゼントのような気がする。やっぱりそんなジャッキーが好きだ。と思っていたら、ジャッキー自身は広東十虎のシーン嫌いらしい。。。
PS:黄飛鴻を演じている役者の名前はマスコミ用の資料には一切明記されていなかった。
よって、先入観のない伊藤は素直に驚喜した。
そういう配給会社の配慮も嬉しかった。
が、「80デイズ」の予告編を見たら思いっきりその人が出ていた。。。(涙)