サマーシーズンに全米で公開された大作群の中で、悲惨な結果に終わった作品がある。以前、本コラム(#85)で取り上げたマイケル・ベイ監督作「アイランド」と「ステルス」だ。
「ステルス」は人工頭脳を搭載した無人ステルス戦闘機EDIが、自らの意志で動き出し、その暴走を3人の精鋭パイロットが阻止をするというスカイ・アクション映画だ。
別にアメリカでコケタからどうのはないのですが、頭悪そうな内容からして、B級でバカ映画の部類に入ってしまう雰囲気プンプン。
その手の映画もウェルカムな伊藤Pは、そういった意味で楽しみな作品だった。
はっきり言ってバカ映画です。ストーリーはEDIの暴走阻止から仲間の救出という2本柱。超単純。一部のサイトでは荒唐無稽で、アメリカ軍が他国で大量虐殺をするなどリアリティが全くないと書かれているのですが、おっしゃる通りです。でも、そういったバカさ加減を含めて、娯楽映画として伊藤Pは楽しめた。
こうした感想を抱けるようになったのもマイケル・ベイ様に鍛えられたおかげでしょう。
ありがとう。
で、ですね。重要なのが本作はバカだけど決してBじゃないってこと。
スピード感溢れ、ド迫力のスカイ・アクションシーンは革新的だと思うし、カット割りも心地よく、何が起きたのかがはっきりと判る。ここがベイ様との大きな違いだな。流石はロブ・コーエン監督(「ワイルド・スピード」、「トリプルX」)。
上空での燃料が輪になって爆発するシーンは美しいとさえ感じたし、墜落、爆発するステルスからの脱出シーンは、破片が落ちて来てパイロットに当たるという、今までありそうでなかった着眼点を見せてくれる。
大規模だったためNASAが各国政府に、「映画の撮影で、宇宙から見えるような爆発があります」と連絡したという格納庫爆発シーンに至っては、個人的に「ソードフィッシュ」以来のお口あんぐりでしたよ。
とまぁ、ビジュアルに関しては特A級でしょう。大満足でしたね。2時間もこんな映像に浸れれば、この映画は良しでしょう。
あと、B級にならなかった大きなポイントは役者にあると思う。いや、主役を張るジョシュ・ルーカス(誰?)、ジェシカ・ビールに限っては、まるっきりBですよ。
主役から一歩引き、演技がどうのというより、アカデミー賞受賞の箔で押し切ったジェイミー・フォックスはまぁまぁ良しとして、凄いのはなんと言ってもBな主役2人を見事に受け止めたサム・シェパードでしょう。
この人が出るだけで映画は締まる。
という訳で、この映画は特AとBが混在していて、不思議な魅力を持った作品だと思う。良くチームプレイはお互いの長所を引き出し、短所を補うって言うけど、そんな感じの映画ですかね。
ほら、大砲ばかり集めて破滅したプロ野球球団があるじゃない。今年、5位のチーム。やっぱり阪神はバランスが良いんだな。
そう言えば、本コラム#73で次に阪神優勝までこのコラムを続けたいって書いたけど、優勝したぞ。このコラム、続けて良いですかぁ!?(ダメって言われても続けるけどさ)