なんか映画見てあまり泣くことがなくなった。大人になったのか、冷めたのか、不感症になったのか。。。
と思っていたら、この秋は“泣きの映画”が結構ある。
まず、「ALWAYS 三丁目の夕日」。はっきり言って、地味だし、見る前まではさほど興味もなかった。しかしだ、これは素晴らしい作品だよ。
昭和33年、東京のとある一角で暮す人々の人情劇。もうベタベタだんだけど、良いんだよねぇ〜。伊藤Pの知り合いでこの映画を見た人はみんな泣いたって。
物語だけでなくCGの使い方も良い。昭和33年を再現するために「ばれてはいけない」CGで、恐竜だ、竜巻だ、主人公空飛んだ、といった見飽きたCGとは違う。
映画は総合芸術と良く言われるけど、物語、役者、技術のバランスが良く、それを体現する作品だと思う。
んでもって「エリザベスタウン」。伊藤P“人生の10本”に入る「あの頃、ペニー・レインと」のキャメロン・クロウ監督最新作だ。クロウ作品は「バニラ・スカイ」以外、全部好きなので期待値大だったのですが、この映画は見る前から1つのマイナスポイントがあった。ヒロインが「スパイダーマン」のビッチ女、ファッキン“MJ”キルスティン・ダンストってとこ。これはかなり痛い。クロウ作品歴代ヒロインが全員プリティなだけに残念だ。
しかーーーーし!!そんな、ハンディキャップなんてぶっ飛ぶぐらい、超ウルトラ最高に素晴らしくハッピーな映画だ。キルスティンも可愛く見えるんだから、この映画のパワーは凄いぜ!!
ケンタッキー州の小さな田舎町エリザベスタウンを舞台にした本作は、エリートの挫折 ⇒ 出会い ⇒ 成長 ⇒ 再生という、クロウ作品の定石を踏襲した作風だが、今回もものの見事にやられた。
ぶっちゃけ、試写室で泣いている人は皆無に等しかったようだが、ラストの方で伊藤Pは様々な思いが去来し、嗚咽級だった。恥ずかしいから椅子にうずくまってプルプルして堪えたけど。
あと豆知識。あるシーンで本コラムにも何度か登場したバンド、レーナード・スキナード(#18、#35)の「フリーバード」という曲がかかる。レーナード同様、アメリカ南部出身のロックバンド、オールマン・ブラザース・バンドに在籍し、バイク事故で亡くなったデュアン・オールマンというギタリストに捧げた彼らの代表曲だ。そして、コラム#18でも述べていますが、レーナードは人気絶頂期の77年に飛行機事故で、ボーカリストのロニー・ヴァン・サントを始めメンバー数名が死亡。以降、この曲にはデュアンだけでなく、ロニーたちへの哀悼の意も込められるようになった。
レーナードがアメリカ南部では、北海道の知内町でいうところの北島三郎だということと、この曲のエピソードを知っておくと、本作を見るときに少しだけ得をします。そうそう、ロニー・ヴァン・サントの名前も覚えておきましょう。
ちょっと、横道に逸れましたが、人が死んでとか、動物が死んでとか、記憶喪失になるとかそういうんじゃなくて、爽やかに、そして前向きに泣けるこの2本。「映画って良いよねぇ〜」ってきっと思えるでしょう。
PS:爽やかじゃないけど、ホラー映画「ダーク・ウォーター」も泣けます。