今年のお正月映画の中でもオトナな観客に受けそうなのが「SAYURI」。
ひとりの芸者の数奇な人生を軸に、芸者社会の女同士の熾烈なる戦いと愛を描いた本作は、
数年前、スピルバーグが監督するということで話題になったが、
結局製作にまわり、「シカゴ」のロブ・マーシャルがメガフォンを取った。
まず、この映画の女優陣が凄い。
主人公さゆりを演じるチャン・ツィイーを筆頭に、ミシェル・ヨー、コン・リーだよ。
単体でも主役級だ。
日本からも桃井かおりさん、工藤夕貴さんが重要な役で登場。
男優陣も渡辺謙さん、役所公司さん(誰も気付いちゃいないが、マコも出てるぞ!)の名が連なる。
アジアを代表するスターが総出演の贅沢ムービーですが、
セット、美術、衣装も素晴らしいし、映像も美しい。
流石はアカデミー賞受賞チーム。
海外の人が日本を撮るとこんなに綺麗になるんだな。
「隣の芝は青く見える」ってことかな?
因みに音楽も巨匠ジョン・ウィリアムズだったりして、
もう本当に豪華絢爛、贅沢尽くし。痛風映画だ。
そんな「SAYURI」ですが、
先日、コン・リーを除く主要キャストと監督が、1日ぶち抜き取材を行った。
カミングスーンTVでは、監督と桃井かおりさんのインタビューが取れることに。
アカデミー監督に、桃井さんと大物なので、
ここやはり番組MCの襟川クロさんにお願いするのが自然な流れ。
そして、その予定だった。
ところが、やむを得ない事情でクロさんNG!!!って分かったのが、
取材3日前の金曜深夜!
代わりは当然伊藤Pだ。
金曜の深酒も吹っ飛ぶぞ。
だって、桃井かおりだよ!
伊藤Pが初めて桃井さんを認識したのは、(多分)小学生の時にテレビで見た「疑惑」という映画。
劇中、岩下志麻さんに「あんたみたいな女、ワタシ、大嫌いなのぉ〜」といって、
ワインをドボドボかけるシーンがある。
このインパクトは小学生には強烈過ぎる!
以来、「スチュワーデス物語」の片平なぎささんに続く、驚愕女優となってしまった。
というのは誇張し過ぎとはいえ、
小さい頃から見慣れた女優さんだし、やはり大御所でしょ。
緊張しない方がおかしいよ。
なんかプレッシャーで土日も「良い人かな。気難しくないかな」などとチラチラ頭を過ぎる。
で、不安を抱えたまま当日を迎え、取材部屋の前で待つ伊藤P。
すると、取材部屋からは桃井さんの上機嫌な明るい声が漏れてくる。
「なーんだぁ〜、余裕じゃ〜ん」と一安心。
ところが、前の媒体さんの取材が終り、伊藤Pが入れ替わりで取材部屋に入ると、
桃井さんはややご機嫌斜めではないか!
どうやら前の媒体さんが桃井さんにサインを強請ったり、
ステーションID(「○○をご覧の皆様、こんにちは」って言わせること)を過度に強要したらしい。
やってくれるよ!どこの媒体じゃい!!!コラァァァ(怒!怒!!)
一端は引っ込んだ「緊張」という感情が、再びセットアップされた。
しかし、伊藤Pはタコ媒体とは違う!!
ウケ狙いだけのインタビューなんて、そんな非礼なことはやらないよ。
真摯に接すれば、大丈夫なはずと思い質問をする。
最初、桃井さんはあまり伊藤Pの目を見ずに答えていたのですが、
伊藤Pが「良かったですよ!(本心)」と言った辺りから、
桃井さんも機嫌が良くなり、ちゃんと顔を見てくれるようになった。
その後はなかなか良い感じ。
日本では有名だけど海外では無名ということで、
“新人”として単身ハリウッドに渡り、色々大変だったという裏話や、
今回の経験が如何に良かったかということを話してくれた。
取材時間はたったの10分で、
「もっとお話を聞きたかったんですけど、時間になってしまいました」と言って残念がっていると、
桃井さんが「こんどはタップリ時間取るから、ゆっくり取材してね」とおっしゃって下さるではありませんか。
その瞬間もまだ緊張していたんだけど、そこに興奮が加わり、
何とも言えない“熱”を感じた。
取材部屋を後にしても、それは暫く抜けない程だった。
それだけ桃井かおりさんにオーラがあったということかな。
そんなオーラを桃井さんはキチンと「SAYURI」で出している。
貫禄があり、存在感抜群だった。
ひょっとしたら、「ラスト サムライ」の渡辺謙さんに続いて、
アカデミー賞かな?(敵はコン・リーかも知れないな)
ということで、日本が誇る大物“新人”女優さんの勇姿を見るべし!