トム・ダウド。この名前を聞いて、ピーンと来た人は伊藤Pときっと話が合うでしょう。
まぁ、ほとんどの人が知らないと思うのですが。。。
トム・ダウドは1949年から亡くなる2002年までの間、ロック、R&B、ジャズといったあらゆるジャンルの名曲、名盤に関わった天才ミキサー。
そんな彼が音楽業界に与えた功績を克明に記録したドキュメンタリー映画、「トム・ダウド いとしのレイラをミックスした男」が公開される。
はい、素晴らしいタイトルですね。トム・ダウドは知らなくても「いとしのレイラ」は知っているでしょう。
例え曲名を知らなくても、イントロのギターフレーズは聴いたことがあるはずだ。聴いたことなくても、聴けば一発で好きになるインパクト大の曲だ。
エリック・クラプトンがアメリカ南部の音楽に触れ、ブルースをより追求するために結成したデレク&ザ・ドミノスの1970年発表の代表曲にして、未だにクラプトンのライブでは一番盛り上がる、ロック史どころか音楽史に残る超名曲。
そうタイトル通り、トム・ダウドはあの名曲「いとしのレイラ」にそれはそれはふか〜く関わった人物。はっきり言って、トム・ダウドがいなければ「いとしのレイラ」という曲は存在しません!
そんなトム・ダウドとはいかなる人なのか?
彼は簡単に言うとレコーディング技術の世界に革命を起こした重要人物。
例えば、
【1】マルチレコーディング技術を開発した。
■■■えっ?マルチレコーディングが判らない?
■■■映画を見て下さい。
【2】ミキサーとして天性の才能を持っていた。
■■■えっ?ミキサーの意味が判らない?
■■■映画を見て下さい。
とまぁ、投げやりですが、伊藤Pが文章で説明するよりも、映画見て貰う方が判り易いし、理解も出来ると思うんでね。
【3】名だたるアーティストの作品を手がけた。
■■■クリーム、アレサ・フランクリン、ウィルソン・ピケット、
■■■レイ・チャールズ、オーティス・レディング、オールマン・ブラザーズ・バンド、
■■■レイナード・スキナード、ジョン・コルトレーン、etc....
■■■えっ?誰って?
■■■自分で調べて下さい!みんな偉大なるアーティスト(バンド)たちだ。
さて、マルチトラックを導入するという新たなレコーディングのアプローチをしたわけですが、トム・ダウドの仕事に対する姿勢や人柄に共感を覚えたアーティストたちは彼を慕うようになります。
やがてトム・ダウドを中心に、様々な偶然と必然が絡み合い、あるつながりが形成される。そのつながりはクリーム時代のクラプトンから始まり、「いとしのレイラ」へと至る。
「いとしのレイラ」ではオールマン・ブラザーズ・バンドのギタリスト、デュアン・オールマンのスライドギターが聴けるのですが、何故、彼が「いとしのレイラ」に参加したのか?
この映画ではその逸話がトム・ダウド自身から語られる。
運命だぁ〜。
そして、この映画で一番の見せ場は、トム・ダウドによる「いとしのレイラ」のミックスの実演シーン。どれほどクラプトンとデュアンの演奏が凄いか、トム・ダウドのミキシング技術が素晴らしいかが判る。
初めて2人のプレイをバラバラに聴き、、如何に2人のプレイが(アドリブなのに)調和を成していたのかを知ったとき、伊藤Pは思わず涙してしまったよ。
「いとしのレイラ」に少なからず思い入れがある方、必見です。
ちょっと、マニアックになってしまいましたが、別に音楽に造詣が深くなくても、この映画を見るとかなり勉強になります。
音楽の録音がどのように行われているのか?
録音技術がどう進化していったのか?
普段、我々が手にしているCDに明記されているプロデューサーの役割とは?
などなど、様々なことを学べます。
普段、何気なく聴いている音楽の聴き方が変るかもしれません!
そして、トム・ダウドという人物がどれほど音楽業界に影響を与え、多くのアーティストに愛されたか。。。
この映画を見れば、あなたもトム・ダウドという人物を好きになり、彼が手がけた作品を聴きたくなるでしょう。