4月の真ん中です。当然、「クレしん」です。
前作「伝説を呼ぶブリブリ3分ポッキリ大進撃」は伊藤P的にはヘコでした。(#74参照)今年の新作も同じムトウユージ監督ということで、正直、期待よりも不安が勝っていました。
そんな気分なもんでいつもよりテンション上がらず、内容もあまりチェックせず。タイトルの「伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ!」から想像するに、“陽気なサンバ系なのかな?”程度で、ほとんど予備知識なしで鑑賞することに。
毎度、東宝さんのご好意により(ありがとうございます)一般試写で子供たちにまみれて見たのですが、今回は今までの「クレしん」では見られなかった現象が会場で起こりました。
子供たちが泣いているのです。
笑いすぎて泣いているのではない。
ビビッて泣いているのです。
泣かないまでも、「怖いよぉ〜」という声を度々耳にするのです。
そう、今回は明るいタイトルとは裏腹に、ホラーなのです!!
以前より、映画版ではシリーズ1作目のように“不気味”な雰囲気を醸し出す作品がありました。しかし、ここまでホラー色が強いのは初。
アイドル出して、キャーキャー言わせてるだけで、これっぽちも怖くない低予算ホラーよりも、ホラー映画として良く出来ていると思う。ただ、子供にはちょっと怖すぎるかも。子供たちが「クレしん」に対して、変なトラウマを持たないと良いのだが。。。
ということで、ホラーなしんちゃんってのが今回の一番の特色なのですが、それ以外の部分で、特筆すべき点はバランスが良いこと。
今までは野原一家の家族愛か、カスカベボーイズの友情、そのどちらか一方に振れていることが多かったのですが、「アミーゴ」は野原一家もカスカベボーイズもいい塩梅で活躍してくれる。
よって、「もう少しヒロシが活躍してくれれば」とか、「ボーちゃんの出番が少ない!」といったようなストレスはあまり無い。
そして、今まで映画版では、あまり活躍の場がなかったふたば幼稚園の先生たちの出番が多いし、普段、あくまで脇である風間君のお母さん、ヒロシの部下川口、ミッチーとヨシリンらが、重要なキャラクターとして登場するのも楽しい。
物語も意外と先の見えない展開で結構ドキドキするし、静と動の配分も悪くは無い。
しかしながら、多少の不満もある。クライマックスに向けての盛り上げが足りないし、ギャグも少ない。
特にギャグは「クレしん」には必要不可欠だ。今回、子供たちが“ドォーン”と一斉に笑い出すギャグは多くて1個か2個だった。
子供たちと一緒に「クレしん」を鑑賞する醍醐味の1つは、会場が一体化するライブ感に満ちた“ドォーン!”な訳でしてね。それが少ないのはチッと寂しいな。
もう少し弾けてくれると、ホラーでありながら笑えるという革新的な「クレしん」が出来上がっていたのになぁ。
なんて、ちょっと欲張りすぎかな?
ということで、トータルするとシリーズの中では中々のところに位置するのではないかと。
今年のGW映画は特にこれといった目玉が無く、中小規模の作品が乱立している。そんな中で、ホラーなしんちゃんという意外性を含め、エンターテインメント作品として、充分楽しめるクォリティーを持っていると思う。