6月に入り、夏に向けての大作・話題作が続々と公開されます。
そんな中、名の知れた2人の映画監督の新作が登場するのですが、意外な点があった。
まず1972年に大ヒットし、その後のパニック映画ブームの先駆けとなった「ポセイドン・アドベンチャー」のリメイク「ポセイドン」。
大晦日。超豪華客船ポセイドン号が大津波に襲われ、180度転覆。沈み行く船から脱出を試みる人々を描くという設定はまるっきり一緒で、登場人物の設定や降りかかる災難の数々は新しくなっている。
で、本作の監督はウォルフガング・ペーターゼン。このオッチャンは、出世作「Uボート」(81年)以降、「Uボード」のディレクターズ・カット版を含めると、11本の作品を世に送り出しているのですが、上映時間120分を越えている作品がそのうち7本もある。
93年の「シークレット・サービス」から連続6作品120分越え。前作の「トロイ」(04年)は163分だし、99年に公開された「Uボート ディレクターズ・カット」に至っては209分だよ。
そんなもんだから、“ウォルフガングは名前も長いし、上映時間も長い”というイメージがバリバリある。よって、「ポセイドン」も2時間半ぐらいかなぁーと覚悟していたら、な、なんと意外や意外、98分!!エンドロールを除けば正味90分強!
たったの90分で、船ひっくり返して、災難降りかけて、尚且つ人間ドラマを描けるのか!?
と思っていたら“人間ドラマなんて最初から描くつもり無し!”の割り切った作風でした。
いかに目の前に立ちはだかる困難を乗り越えるかに重点を置き、登場人物の説明は必要最低限に抑え、パニック映画にありがちな“お涙頂戴”を完全排除。
旧作が好きな人とか(伊藤Pも好きだ)、一部の人とかは「人間がちっとも描けてない」っていうけど、新しい方の「日本沈没」みたいに下手に人間ドラマまで描こうとして失敗こくよりも全然良いよ。
サクサク90分。割り切ってエンタメに徹してくれた方が伊藤P的にはすっきりするのさ。
次はデンゼル・ワシントン、ジョディ・フォスター、クライブ・オーエンとキャストが凄い「インサイド・マン」。
監督はスパイク・リー。「ドゥ・ザ・ライト・シング」をはじめ、「モ’ベター・ブルース」、「マルコムX」など、黒人差別問題をテーマにした社会派映画を多く手がけている。
伊藤Pは、上記3人のスター共演で監督がスパイク・リーというだけでこの映画が見たくなり、内容などの予備知識は0の状態で見た。
人質を取って銀行に立て篭もった強盗団と捜査官、そして、女弁護士の心理戦を描いたサスペンス映画なのですが、見ている最中に監督がスパイク・リーであることを忘れそうになった。
それはかなり“娯楽”だったから。
勿論、黒人やアラブ人への差別とか、様々な社会性を盛り込んでいて“らしさ”はあるのですが、今回はそれをユーモアで包んでおり、ストレートな表現はあまりない。
別のサイトの評で、“肌の色も宗教も異なる者たちが次々登場し、「事件現場の銀行」を「NY」そのものとして捉えている”ってのがあって、「なるほどー」って思ったんだけど、見ている最中は、テンポは良いし、物語も面白いしで、“楽しむこと”ばっかりに没頭しちゃって、そんなこと全然気付かなかったよ。
だもんで、伊藤P的には意外だったんだよね。
あと、この映画ってタイトルが良いよなぁーって。鑑賞後に思った。理由は映画を見て下さいな。
そんな訳で、ウォルフガングとスパイク・リーの新作は伊藤P的に意外だったのさ。
追記:「ポセイドン」は先週末に公開。どうやら全米同様、転覆気味らしい。。。