今回は作家性について。
既に公開されて、興行ランキング初登場2位と大健闘をかました、「マイアミ・バイス」
マイアミの刑事ソニー&リカルドの2人が、麻薬組織に潜入捜査を敢行。
いつ刑事とばれるかもわからない極限状態の捜査。
そんな中、ソニーは、組織の大物とかかわりのある美女と恋に落ちる。。。
本作品は80年代のテレビシリーズの映画化で、
そのテレビシリーズの製作総指揮を務めていたマイケル・マンが監督した。
さて、そんなマイケル・マン監督には特徴があります。
1.闘う男を描く
知名度を上げた「ヒート」、「インサイダー」、「ALI/アリ」、「コラテラル」と、近作は常に男が主役。
そして、彼らは何かを守りながら何かと闘っている。
闘う男は美しい。そこにあるのは男の美学。
2.映像が美しい
解像度の高いHDカメラを多用。
陰影の深みが通常のカメラよりも強くなる。
夕陽、光の光沢などを効果的に捉えている。
さりげない風景ショットなどにも“情緒”が感じられる。
無意味とも思えるスローモーションを多用する。
はっきり言って、マイケル・マン自身が自分の映像に酔っている。
3.リアリズムの追求
マイケル・マンの映画には荒唐無稽さはない。
常にリアリズムを追求している。
そのため超ド派手なアクションはない。
というか求めてはいけない。
「マイアミ・バイス」も上記の特徴を踏襲していまう。
よって、「M:i:3」や「パイレーツ」のように、次々と見せ場が出てくる映画ではありません。
そこを求めるとかなりストレスが溜まる映画です。
闘う男をじっくりと、独特の映像センスで、リアルに描いた“激シブ映画”なのです。
「マイアミ・バイス」はマイケル・マンの作品であり、
上記のような特徴があるというのを踏まえて見ると良いでしょう。
次いで、これまた既に公開されていて、初登場7位。
もう少し上を狙えたんじゃないの?って思う「グエムル 漢江<ハンガン>の怪物」
ソウル市内に流れる河、漢江に突然現れた怪物に娘をさらわれた一家が、
頼りにならない政府や軍の助けを借りずに、自らの手で助け出そうとするが。。。
本作は韓国映画には珍しい怪獣映画。
監督は33歳にして「殺人の追憶」を手掛けた若き天才ポン・ジュノで、
“何故、ポン・ジュノが怪獣映画を!?”と、一部では話題になっていた。
ポン・ジュノ監督には特徴があります。
1.娯楽の中に社会の矛盾や問題を描く
常に何かを社会問題を作品に盛り込むが、映画が娯楽であるということを忘れず、
そういった要素を巧みに織り交ぜる。
2.ユーモアがある
例え重たいテーマであっても、そこにユーモアを盛り込む事によって、
ライトな感覚で映画を見ることが出来る。
3.優れた役者と仕事をする
キチンと演技の出来る俳優を使う。
「グエムル」も上記の特徴を踏襲しています。
よって単純明快の怪獣映画でありながらも、
韓国ならではの社会的メッセージが内包されている。
そして、ハラハラの合い間に笑いを入れ、緩急をつける。
役者もソン・ガンホ、ペ・ドゥナを筆頭に演技派揃い。
ポン・ジュノ監督と一度仕事をしたことのある俳優が名を連ねていますが、
今までに見せたことの無いような役を演じている。
ポン・ジュノ監督36歳。
悪友I(#19、#23、#32参照)は同い年である事に“衝撃”を受けていました。
「同じ年なのに、この違いは。。。」
まぁ、伊藤Pも「ゆれる」の西川美和に同じことを感じたんだけどさ。
最後に「X−MEN ファイナルディシジョン」のブレット・ラトナー!と思ったけど、
ちょっと文字量オーバー気味なので簡単に。
ブライアン・シンガーから“MTV”ブレット・ラトナーにチェンジしたことで、
かなり心配していたのですが、面白かったです。
シリーズ最終章を飾るに相応しい、哀愁が漂っていて、泣けました。
でも、シリーズ3作の中では一番つまらなかったです。
なんか、中身の部分で物足りなさを感じるんだよねぇー。