今年は“女性の自分探し映画”が多い。
以前も本コラムで触れた「嫌われ松子の一生」、「初恋」、「やわらかい生活」等々。
9月にも同じようなテーマ性を持った作品が登場する。
恋の訪れを待つフリーター(池脇千鶴)とデリヘル嬢(中村優子)、結婚に憧れるOL(中越典子)と過食症のイラストレーター(岩瀬塔子)。この性格バラバラの4人が繰り広げる自分探求映画「ストロベリーショートケイクス」。
同世代の女性が見たら結構グサグサ刺さるであろうエピソードが結構ある(らしい)。
デリヘル嬢が、男友達から言われる一言が強烈に痛かったり、結婚願望OLが取る行動が、劇中の加瀬亮(あんた最高!)同様、うざいと思えたり、またそのOLがそういう男に引っかかってしまうもどかしさとか、女同士のいがみ合いとか、男の伊藤Pが見ても「ある!ある!!」って思ってしまうほどリアルだったりする。
そんな“痛い女性”が出てくるのですが、彼女たちが負けずに、戸惑いながら、傷つきながら生きていく姿には勇気を貰える。カミングスーンTV女性スタッフは見た方が良いな。
さて、もう一本は実話ベースの「フラガール」。昭和40年、福島県常磐。鉱山人員削減と暗い影を落とす町の活性化のために、“常磐ハワイアンセンター”建設プロジェクトが立ち上がる。
目玉となるフラダンスショーで踊るのは町の炭鉱娘(蒼井優、静ちゃんほか)。彼女たちを教えるために東京から呼び寄せられる元花形ダンサーの平山先生(松雪泰子)。お堅い町の面々が反発を示すなか、果たして無事にオープンできるのか?フラダンスは大丈夫なのか!?という笑いあり、涙ありのお話。
そして、今回のコラムのテーマである、“自分探し”なのですが、平山先生は“訳アリ”で、自暴自棄だし、蒼井優演じる紀美子も家を飛び出し、行き場を失っている。町の炭鉱娘たちも、町に押し寄せる不景気の波に不安を抱いている。
そんな彼女たちがフラダンスを教え、習い、踊ることにより、互いを理解し、やがて自分の居場所を見つけていく姿を、時に厳しく、時にユーモラスに、そして、爽やかに描いている。
いやー、今のところ伊藤P、2006年度邦画ベスト1です。
狙った泣かせ所はある。でもあんまり嫌らしくなくて、素直に泣ける。
そして、最大のポイントは、松雪泰子も蒼井優も静ちゃんも、ダンスシーン代役無し!マジでやっています。これが最大の感動です。
何かに熱中することによって、自分の居場所を見つけられたってことっすかね。
知り合いのキャリアウーマンが、「私なんて居なくても別に世の中は困らないし、誰かが私の代わりに仕事をしてくれると思う」と言ったことがある。
伊藤Pもそういった心境を経験をしたことがあるので、その女性の気持ちが凄く良くわかった。
“自分探し映画”が多いのって、今の日本社会の現状を表していると思う。きっと女性に限らず多くの人が、そういう情況に悩んでいるってことなんでしょう。
今回紹介した2作品は、勿論、悩み無用の人が見ても色々と感じる事のできる作品だけど、悩みを抱えて苦しんでいる人たちに、是非見てもらいたいな。