あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。
さて、2007年、一発目ということで華やかに!と思ったのですが、意に反して真面目な一本をご紹介します。
「Shall we ダンス?」の周防正行監督が11年ぶりにメガフォンを取った「それでもボクはやってない」。
周防監督といえば、ユーモアに満ちたテイストというイメージですが、今回は趣が少々違いまして、かなりシリアスです。
満員電車の車中で、女子学生の尻をまさぐった容疑で捕まった就職活動中のフリーター金子(加瀬亮)。金子は無実であることを訴えるが、警察も、検事も聞き入れない。苛立ちを覚え、孤独に苛まれ、焦燥感に駆られる金子。
しかし、無実を主張し続けた金子は、ついに刑事事件として起訴されてしまう。刑事事件で起訴された場合、裁判での有罪率は99.9%
果たして、金子は身の潔白を証明することができるのだろうか?というお話。
要するに“痴漢冤罪”をテーマにした社会派ドラマなんです。
痴漢を認め数万円の罰金を払った方が楽だったり、警察の取り調べ調書がいい加減だったり、検察庁での取り調べが事務的だったりというのは良くある感じですが、本作はもっと大きな問題を突きつけてきます。
被告人や参考人の曖昧なコメントが、全て良いように摩り替えられ、検察側に有利になってしまう、まるで詭弁大会のような裁判自体の問題性、そして、刑事事件の裁判での有罪率がなぜ100%に近いのか?にまで言及しています。
どっかの大学教授のように明らかな痴漢行為で無い限り、決定的な証拠が他の犯罪よりも少ない痴漢。本当に痴漢行為に及んだ人もいると思うけど、冤罪被害者も相当いるんじゃないかな?って思っちゃうね。
この映画を見て、男である伊藤Pは電車の乗り方が変りましたね。
だって、痴漢に間違えられたら、たまったもんじゃないもん。
明日は我が身ですからね、特に満員電車で身近に女性がいた場合は、つり革を両手で掴むなどして、なるべく手の所在を明らかにするようにしています。
でもさー、そもそも冤罪被害者たちがもっとも憎むべきは、痴漢行為をしている不届き者たちだよね。痴漢行為をする人がいなければ、痴漢という行為自体が無くなるわけだからさ。
とまぁ、痴漢という犯罪や日本の裁判制度の問題点を、エンターテイメントとして1本の映画にしてしまう周防監督はやっぱり凄いなぁーって。
あと、伊藤Pは男だから男の視点から見ているけど、きっと女性は違う見解を持つかもしれませんね。
そう言った意味では、討論のし甲斐のある作品なのかも。
そして、主役の加瀬亮はやっぱり最高!
ということで、早くも2007年度ベスト3入りの可能性高しの秀作です。