2007年06月26日更新

#153 「『キサラギ』、『アヒルと鴨のコインロッカー』、『サイドカーに犬』、『ブリッジ』」

既に公開してしまったのですが、本コラムで紹介できなかった作品の短評を。
■『キサラギ

自殺したアイドル如月ミキの1周忌追悼会に集まった男5人。

ファンサイトで出合った面々はお互いに初対面。

如月ミキの思い出話から始まったオフ会は、やがて彼女の死因にまつわる意外な展開へと突き進んでゆく。。。
全く先の読めない物語、濃すぎるキャラクターたち、気の利いたセリフが見事にマッチし
ワンシチュエーションの密室劇なのに全く飽きさせない。
内容を話せば話すだけネタバレになってしまうという、面白さを伝えるのが非常に困難な映画。
見終わった後「あぁー面白かった」って思わせることのみに徹した潔い娯楽作。

オタクどもの微笑ましくも悲しき性も描かれている。

オタクなら「あぁ〜、わかる!わかる!!」ってきっと思うでしょう。
 
■『アヒルと鴨のコインロッカー

『キサラギ』同様、あまり内容を話せない作品。

ストーリーも説明し難い。というか、説明しない方が良い。
(※詳しく知りたければ公式サイトを見てください。)
伊坂幸太郎の原作は“映画化困難”とのこと。

原作を読んだ人はどう映像化されているのか楽しみでしょう。

伊坂さん自身は映画をとても気に入っているようです。
逆に原作を読んでいない人は、文章でどう表現されているのかが気になり、原作を読んでみたくなるでしょう。
因みに伊藤Pは後者です。
それから伊藤P的ポイントは冴えない大学生を演じた濱田岳。

良いすねぇ〜。

いるよ、こういう奴。
 
■『サイドカーに犬

夏休みを迎えた小学4年生の薫の家に、突然ヨーコさんがやって来た。

天真爛漫で男勝り、煙草もスパスパ吸う豪快なヨーコさんに度肝を抜かれる生真面目な薫。

そんなヨーコと過ごすうちに、薫はありのままの自分でいることの楽しさを知るようになる。
今まで一度たりとも演技が上手いと思ったことのない竹内結子。

初めて凄いと思いました。
本作を見た多くの人が印象に残ったという複雑な感情を巧みに表現した泣き笑いシーンは勿論、
ヨーコという掴みどころのない不思議なキャラクターを見事に演じている。
そして、何よりも新鮮。
ぶっきらぼうな物言いの竹内結子。
物をぞんざいに扱う竹内結子。
煙草を吸う竹内結子。
頭突きをする竹内結子。
こんな竹内結子見たことねぇーって。
意外性が功を奏すると踏んだ根岸吉太郎監督の狙い通り、竹内結子の新たな魅力が全編を通して堪能できる作品。
 
■『ブリッジ

ゴールデンゲート・ブリッジ。
ヒッチコックの『めまい』をはじめ数多くの映画に登場し、
最近ではマグニートーによって破壊されたサンフランシスコを代表する建造物。
観光名所として有名ですが、実は自殺の名所としても名を馳せている。
そんな橋から身を投げる自殺者たちをモロにカメラで捉える一方
自殺者の家族や友人、目撃者たちに取材をし、自殺の原因、残された者たちの苦悩、そして命の尊さを浮き彫りにするという、

ちょっと変わったドキュメンタリー映画。
自殺の現場を目撃しながら、自殺者たちを救うことなくカメラを回し続けた製作陣に対して、非難の声も出ているようだけど、自殺した人の周りにいた人たちが、どれほどの打撃を受け、責任を感じてしまうのかという、
今まで全く考えたこともないような部分に触れられており、それが結構ショックでした。

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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