2007年08月25日更新

#159 「『デス・プルーフ in グラインドハウス』&『プラネット・テラー in グラインドハウス』」

クエンティン・タランティーノとロバート・ロドリゲスの最新作。


グラインドハウスとはB・C級のエキセントリックな作品をまとめて2〜3本立てで上映していた劇場のこと。

タラとロドはガキのころ、グラインドハウスに入り浸っていたのでしょう。


その頃の思い出を胸に、あえてB・C級のノリでやりたいことをやっちまった2作品。


アメリカでは2本をワンセットにして『グラインドハウス』というタイトルで4月に公開された。

さらに2作品の他にフェイク予告(存在しない映画の予告)まで入れちゃって、全部あわせて3時間11分。


しかしながら、

タラ&ロド信者が3時間11分も劇場のシートに収まっていられるわけもなく、“DVDでいいやぁー”ってことで大コケ。


アメリカの失敗を見習ってか、海外ではでは新たにシーンを追加して、それぞれ分けて公開することに。
※ただし、8月25日から8日間だけUSヴァージョンで公開。
『グラインドハウス<USAバージョン>』
8/24〜8/31 TOHOシネマズ六本木ヒルズ、TOHOシネマズなんばにて限定公開
詳しくは公式サイト
伊藤Pは2日に分けてバラバラに見ました。

あと、フェイク予告『マチェーテ』も見ました。


さて、それぞれの感想です。
 
■『デス・プルーフ in グラインドハウス

一言で言うと“我慢の映画”である。


この作品自体2部構成みたい感じなのですが、2部とも“何かが起こるまで”が長くて長くて。

ひたすらガールズトーク。


ぶっちゃけ、意味わかんないし、面白くもなんともない。

いらねーって感じ。


このダラダラにイライラ、イライラ...

しかしながら待たされた分、何かが起こった瞬間の爆発的なパワーは物凄い。



1回目の“何か”は、かなり唐突にやってくる。

あまりにも激しくて何が起こったのかわからない。


でも、タラは何がどうなってこうなったかを3回もリピートして、懇切丁寧に説明してくれる。

素敵じゃないか!この悪趣味演出。


受験勉強(しかも一浪)が終わった時の開放感に似ているね。

受験番号3回は見直すもんね。


続いて、2回目の“何か”は、散々じらされまくって、我慢に我慢を重ねた後にチョメチョメ楽しんで、
やっと果てた時のエクスタシーに似ている(多分)。


クライマックスとなる2回目の“何か”は、タラが愛したアクション映画への敬意を表して、ガチンコ・アクションを延々と繰り広げられる。

1回目の“何か”がある分、よりスリリングだ。

これには本当に、本当に胸躍った。

近年稀に見る刺激に満ちたシーンの連続だったよ。

やっぱりさー、アクションはこうでなくっちゃ!


リュック・ベッソンは見習った方がいいよ。

って、今更見習っても仕方なかったね。

『アーサーとミニモイの不思議な国』を後2本撮ったら引退だもんね!

ついでにアクション映画の脚本業からも撤退してね!


センスないから。
 
■『プラネット・テラー in グラインドハウス

一言で言うと“伊藤P的にはロド最高傑作”である。


というと“えっ?『エル・マリアッチ』よりも?”と良く言われるのですが、

即答で“そうです!”と答えます。

求めるもの全てが入っていました。


勿論、ロドが愛したホラー映画とかのオマージュがバンバンなのですが、別にそんなもん知らなくても十分楽しめる。

エロ踊りから始まり、恐怖の生物化学兵器、感染、金玉、ゾンビ、カンフー、ガンファイト、爆発、ギャグ、安い恋愛劇、ミスディレクションと、欲張りな品揃え。


そして、ポスターにもなっている片脚機関銃だ。

やっぱりロドの映画には機関銃が必要だ。


キャストも素晴らしい。

ジャッキー以外の映画に目を向けさせるキッカケを作った罪深き作品『グーニーズ』のジョシュ・ブローリンに、
憧れまくった80年代アクション・ヒーローのマイケル・ビーンである。

さらに、トム・サヴィーニも出てきて、『ゾンビ』しているのも微笑ましい。


そして、ゴアシーンも

脳天ぶっ放し、注射器眼球ブッ刺し、人体解体用デンの子、串刺し、切り裂き、食い千切り、轢死、○○○○首チョンパ、

もうやりたいこと全部やりました。


“残酷描写はやりすぎるとギャグになる”ということを理解したうえでやっている。

この爽快さは『ブレインデッド』以来か?


“子供への影響が心配!”なんていうPTAマザー・ファッカーどもへの対策もバッチリだ。

母親が子供に「人が来たら撃ち殺しちゃいなさい、ビデオゲームみたいに」と伝えた直後に起こる出来事は、
もう狙っているとしか思えない。


タラにしろロドにしろ、中年に差し掛かった大の大人たちが嬉々としてこんな映画を撮っている。

素晴らしいよ!!



そして、フェイク予告の『マチェーテ』ですが、

本編を作ってください。

お願いします。


超見たいです!!!!
 
PS:最後に大沢たかお&伊東美咲主演の『Life 天国で君に逢えたら』について一言。

取材の仕事がなければ絶対に見なかったであろうこの作品。

偏見はいけませんね。

難病ものですが、心地良かったです。


見終わった後に、死に対する恐怖心が少し和らぎました。

大沢たかおの演技も良いですね。

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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