ジェット・リーとジェイスン・ステイサム共演の『ローグ アサシン』。
リュック・ベッソン印のアクション映画で主演を張ったことのある二人なので、
ネタが尽きたヨーロピアン・コープが四苦八苦の末、無理やり二人を共演させちゃった作品なのでは?
と心配していたらライオンズゲート製作だった。
でも中身は限りなくヨーロピアン・コープ級でした。
この映画には2つの映画的問題点があります。
今回は2回に分けて問題点を紐解いて見ましょう。
まずは“アクション演出”についてです。
冒頭埠頭にて、とても切れ者のFBI捜査官には見えない風体のジェイスン・ステイサム演じるジョンと、相棒のトム・ローンがガン・アクションを繰り広げる。
もうこれが酷い。
誰が誰をどこから撃ったのかがかまったく分からない。
これは伊藤Pがもっともダメとするアクション演出であり、この時点である程度アクション映画としての『ローグ アサシン』を見限ってしまった。
しかし、何故このようなアクション演出になってしまうのか?
そんな疑問に本コラムに何度も登場する我が友、LA在住の光武蔵人氏(祝「HEROES season2」出演!!)が答えてくれました。
「アクションを撮るのが上手い監督は、常に登場人物なり場所なりの位置関係を観客が把握できるように考えて撮ります。
下手な監督はそんな面倒臭いことは考えていない(考えられない)ので、適当に派手な画だけ撮ります。
その差です。
上手い監督の代表格がスティーブン・スピルバーグ、サム・ペキンパー、そして黒澤明です」
なるほど!
確かに『プライベート・ライアン』のノルマンディー上陸シーンは、物凄い人数が銃を撃ちまくりますが、位置関係で混乱することはない。
『ワイルド・バンチ』の大銃撃戦も誰が誰を撃っているのかが明確に分かる。
『七人の侍』も然り!
そうやって考えると、他にもマイケル・マン監督の『ヒート』、『マイアミ・バイス』の銃撃シーンは位置関係がしっかり把握できる。
また、『キングダム/見えざる敵』もマイケル・マンがプロデュースしているからか、ピーター・バーグ監督がなかなか冴えたアクションを演出している。
で、逆に下手な監督の最高峰が 「同じマイケルでも、雲泥の差です」 のマイケル・ベイ。(表部屋#85参照)
マイケル・ベイもそうだけど、PV・CM出身の監督にこの傾向が多く見られる。
あまり位置関係を考えないでよいPV演出の癖が出てしまうのでしょう。
そして、『ローグ アサシン』は、主演がジェット・リーですから当然ガンアクションだけでなく、肉弾戦もあります。
石橋凌演じるジャパニーズ・ヤクザとの殺陣はまぁまぁ見られないこともない。
それでも本物のアクションが出来るジェット・リーにしては物足りない感は否めない。
続いて、ジェイスン・ステイサムとのバトルとなるのですが、これがねぇ。。。
ジェイスンを凄いアクション俳優だとは一度も思ったことないけど、『トランスポーター』とかで、一応アクションやっていたわけでして。。。
しかも、相手はジェット・リーっすよ。。。
なんで出来る俳優同士(一人はそこそこだけど)なのに、アクションをさせないわけ?
ジェットVS石橋で、やや持ち直した“位置関係の把握”が、また疎かになっていて、何がなんだか分からないままバトルは終わる。
アクション演出はコーリー・ユエン。
『リーサル・ウェポン4』で、ジェット・リーの凄さを香港アクションファン以外にも知らしめた功績はでかいけど、
キャリアを重ねるごとにアクション演出はどんどん退化している。
素敵に酷いアクションだった『DOA/デッド・オア・アライブ』もこのオッサンです。
本家が退化しているのに対して、香港アクションから強い影響を受けているタイのアクション映画の方が、
トニー・ジャー主演の『マッハ!』、『トム・ヤム・クン!』がそうであったように、『ローグ アサシン』よりも数段優れたアクション演出をしている。
タイ・アクション最新作『ロケットマン!』も主演のダン・チューポンのムエタイベースの動きにスピード感は全然ないけど、
誰がどこにいて、誰と戦っているのかの位置関係は把握できる。
『ロケットマン!』は話の展開はテンポも悪いし、見ているこっちが恥ずかしくなるような安い演出も多々あるけど、
これでもかぁー!!とサービス精神旺盛なアクションを繰り広げる。
妙な出し惜しみをする『ローグ アサシン』を監督したフィリップ・G・アトウェルは見習うべきだね。
で、この人もPV・CM出身でした。。。
ということで、今後、皆さんも銃撃戦や肉弾バトル、殺陣、カーチェイスといったアクション・シーンを見る際には、
“位置関係の把握”に着目してご鑑賞ください。
上手い監督と下手な監督の違いが分かると思います。
続いて、もう一つの問題点を解説していきましょう。
PART2に続く。
リュック・ベッソン印のアクション映画で主演を張ったことのある二人なので、
ネタが尽きたヨーロピアン・コープが四苦八苦の末、無理やり二人を共演させちゃった作品なのでは?
と心配していたらライオンズゲート製作だった。
でも中身は限りなくヨーロピアン・コープ級でした。
この映画には2つの映画的問題点があります。
今回は2回に分けて問題点を紐解いて見ましょう。
まずは“アクション演出”についてです。
冒頭埠頭にて、とても切れ者のFBI捜査官には見えない風体のジェイスン・ステイサム演じるジョンと、相棒のトム・ローンがガン・アクションを繰り広げる。
もうこれが酷い。
誰が誰をどこから撃ったのかがかまったく分からない。
これは伊藤Pがもっともダメとするアクション演出であり、この時点である程度アクション映画としての『ローグ アサシン』を見限ってしまった。
しかし、何故このようなアクション演出になってしまうのか?
そんな疑問に本コラムに何度も登場する我が友、LA在住の光武蔵人氏(祝「HEROES season2」出演!!)が答えてくれました。
「アクションを撮るのが上手い監督は、常に登場人物なり場所なりの位置関係を観客が把握できるように考えて撮ります。
下手な監督はそんな面倒臭いことは考えていない(考えられない)ので、適当に派手な画だけ撮ります。
その差です。
上手い監督の代表格がスティーブン・スピルバーグ、サム・ペキンパー、そして黒澤明です」
なるほど!
確かに『プライベート・ライアン』のノルマンディー上陸シーンは、物凄い人数が銃を撃ちまくりますが、位置関係で混乱することはない。
『ワイルド・バンチ』の大銃撃戦も誰が誰を撃っているのかが明確に分かる。
『七人の侍』も然り!
そうやって考えると、他にもマイケル・マン監督の『ヒート』、『マイアミ・バイス』の銃撃シーンは位置関係がしっかり把握できる。
また、『キングダム/見えざる敵』もマイケル・マンがプロデュースしているからか、ピーター・バーグ監督がなかなか冴えたアクションを演出している。
で、逆に下手な監督の最高峰が 「同じマイケルでも、雲泥の差です」 のマイケル・ベイ。(表部屋#85参照)
マイケル・ベイもそうだけど、PV・CM出身の監督にこの傾向が多く見られる。
あまり位置関係を考えないでよいPV演出の癖が出てしまうのでしょう。
そして、『ローグ アサシン』は、主演がジェット・リーですから当然ガンアクションだけでなく、肉弾戦もあります。
石橋凌演じるジャパニーズ・ヤクザとの殺陣はまぁまぁ見られないこともない。
それでも本物のアクションが出来るジェット・リーにしては物足りない感は否めない。
続いて、ジェイスン・ステイサムとのバトルとなるのですが、これがねぇ。。。
ジェイスンを凄いアクション俳優だとは一度も思ったことないけど、『トランスポーター』とかで、一応アクションやっていたわけでして。。。
しかも、相手はジェット・リーっすよ。。。
なんで出来る俳優同士(一人はそこそこだけど)なのに、アクションをさせないわけ?
ジェットVS石橋で、やや持ち直した“位置関係の把握”が、また疎かになっていて、何がなんだか分からないままバトルは終わる。
アクション演出はコーリー・ユエン。
『リーサル・ウェポン4』で、ジェット・リーの凄さを香港アクションファン以外にも知らしめた功績はでかいけど、
キャリアを重ねるごとにアクション演出はどんどん退化している。
素敵に酷いアクションだった『DOA/デッド・オア・アライブ』もこのオッサンです。
本家が退化しているのに対して、香港アクションから強い影響を受けているタイのアクション映画の方が、
トニー・ジャー主演の『マッハ!』、『トム・ヤム・クン!』がそうであったように、『ローグ アサシン』よりも数段優れたアクション演出をしている。
タイ・アクション最新作『ロケットマン!』も主演のダン・チューポンのムエタイベースの動きにスピード感は全然ないけど、
誰がどこにいて、誰と戦っているのかの位置関係は把握できる。
『ロケットマン!』は話の展開はテンポも悪いし、見ているこっちが恥ずかしくなるような安い演出も多々あるけど、
これでもかぁー!!とサービス精神旺盛なアクションを繰り広げる。
妙な出し惜しみをする『ローグ アサシン』を監督したフィリップ・G・アトウェルは見習うべきだね。
で、この人もPV・CM出身でした。。。
ということで、今後、皆さんも銃撃戦や肉弾バトル、殺陣、カーチェイスといったアクション・シーンを見る際には、
“位置関係の把握”に着目してご鑑賞ください。
上手い監督と下手な監督の違いが分かると思います。
続いて、もう一つの問題点を解説していきましょう。
PART2に続く。
『ローグ・アサシン』GyaO予告動画→
配給:アスミック・エース エンタテインメント、東映
丸の内TOEI1ほか全国東映系にて公開中
PG-12
『ロケットマン!』
配給:ポニーキャニオン、ヘキサゴン・ピクチャーズ、リベロ
銀座シネパトスほかにて公開中