■『ミッドナイトイーグル』

惜しい。


確かにスケール感はあるし、話も面白い。

男の再生物語というテーマも良い。


日本の自衛隊がスンゲー弱くて、某国のゲリラ部隊が強すぎるとか、いろいろと穴はあるけど、

まぁ、それは目をつぶろう。


しかしながら、この手の作品に絶対的に必要な緊迫感がないというのは、作品の根幹を左右すると思う。


終盤の銃撃戦。

もっともっと危機的状況下に主人公たちを陥れないと、見ている観客は興奮しない。


極寒の山中で“とあるモノ”を死守する主人公たち。

敵が攻めてくる。

パンパンと銃を撃って応戦。


これじゃいかんだろう。

あの手この手で攻めてこさせ、主人公たちをもっともっと苦しめないと。


ここをもう少し練ってくれれば、もっともっと緊迫感溢れる、ハラハラドキドキの面白い作品になったと思う。

 

 

■『椿三十郎』

黒澤明の『椿三十郎』が、織田裕二主演、森田芳光監督でリメイクされると聞いたのは、
確か昨年の丁度、今頃。


耳を疑った。


「素晴らしい作品をリメイクする必要はない。

『カサブランカ』をリメイクするなら、再公開した方がまし」

これはジョージ・クルーニーの言葉（『さらば、ベルリン』インタビュー時）。


伊藤Ｐも同感。

よって、名作中の名作『椿三十郎』を作り直す意義を見出せなかった。


しかし、森田版を見て思った。

これはこれでアリだなって。


黒澤版を見ている人は、比較するなと言われても比較しちゃって、あれこれ言いたくなるでしょう。

でも、若い人たちの多くは黒澤版を見ていないだろうから、比較のしようがない。まっさらな状態で森田版を見ることになる。


森田版は黒澤明監督の脚本を採用しているので、話自体は変らず面白いわけでして、

森田版を見て初めて『椿三十郎』に触れた人が、「面白い！」って思ってくれて、黒澤明に興味を持ってもらえる可能性がある。


熱心な映画ファンならともかく、普通の人はモノクロの古い映画を、いくら名作だからといっても、見る人はあんまりいないと思うんだよね。


だから、森田版『椿三十郎』が黒澤作品を見てもらうきっかけになるのなら、リメイクした価値はあるのでは？と思うに至った。

伊藤Ｐも久しく見ていない黒澤版を見直したくなったよ。

 

ところで『隠し砦の三悪人』もリメイクするの？

しかも樋口真嗣監督で。。。

出演が松本潤、長澤まさみ、宮川大輔、阿部寛。。。

■『XX(エクスクロス)　〜魔境伝説〜』

拾い物のケッサク。


急遽、出演者（鈴木亜美、池内博之）と深作健太監督の取材が出来るということで、見に行った。


女子大生２人（松下奈緒＆鈴木亜美）が、僻地の温泉宿に泊まる。

しかし、そこは恐ろしい風習が残る恐怖の村だった。。。。


宣伝的には都市伝説系スリラーなのですが、パッと見のビジュアルはホラーだ。

伊藤Ｐ的にはもうJホラーに嫌気が差していたので、正直、全く期待していなかった。


が！

メチャクチャ面白かった。


２人の主人公が同時刻に何をしていたのかを、巻き戻しを使って見せる演出とかもなかなか凝っていたし、

序盤はそれなりにキチンとホラーしていた。


そして、凄い格好をした小沢真珠がトイレに出てきたあたりから、ハチャメチャ度が加速。

おバカ映画へと変貌を遂げる。


鈴木亜美VS小沢真珠＠トイレも良いが、屋外での第２ラウンドはもっと最高である。


チェインソーVS巨大ハサミ


こ、これは。。。

レザーフェイスVSバンボロ（注１）の代理戦争だ！！！！

 

そして、何故、そこで大爆発する！？

流石、東映。。。。

 

あえて突っ込みどころ満載にして、そこを楽しむ。

なかなか狙って出来ることではない。（注２）


久しぶりに日本映画で快作を見ることが出来て、満足満足。

最後にこれから見る人へのアドバイスですが、誰が出ているのかを調べずに見た方が良いでしょう。

 

（注１）
レザーフェイス＝『悪魔のいけにえ』のチェインソー男
バンボロ＝『バーニング』の巨大ハサミ男

（注２）
最近の成功例としては『恋空』が挙げられる。