■「アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生」
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
2008年2月、シネマGAGA!、シネカノン有楽町2丁目ほか全国順次 Photographs (C) 2007 by Annie Leibovitz |
名前は知らなくても、彼女の作品を目にしたことのある人は多いはず。
デミ・ムーアの妊婦姿のヌード写真を見たことありませんか?
91年、ヴァニティ・フェア誌の表紙を飾り、大論争を巻き起こしたセンセーショナルな写真だ。
アニー・リーボヴィッツは、ロック雑誌ローリング・ストーンのカメラマンとして20歳から活躍し、
多くのロック・スターをフィルムに収めて来た。
ロック・ミュージシャンの他では見せないオフショットを撮影し高い評価を得た後、83年からはファッション誌のヴァニティ・フェアに移籍して、ハリウッドスターなどセレブたちを被写体とするようなる。
本作はそんな彼女の仕事ぶりや私生活を追ったドキュメンタリー映画だ。
アニー・リーボヴィッツの写真は奇抜で、斬新で、挑発的で、人々がアッと驚くものが多い。
本作にも多くの写真が登場する。
そして、中でも最も衝撃的なのは、裸のジョン・レノンが服を着たオノ・ヨーコに抱きついているショット。
何に驚くかって、この写真が撮影された日付である。
1980年12月8日。
ジョン・レノン射殺された日である。
この写真の構図にはどのような思いが込められているのか、どのような経緯で撮影されたのかは、映画を見て欲しいのですが、
ダコタ・ハウスの一室で、この素晴らしい写真が撮られた時、外に暗殺者マーク・チャップマンがいたとのかと思うと、なんとも言えない思いが込み上げてくる。
(『チャプター27』を見ると、その逆の想像になる)
この日の撮影のことを振り返って語るオノ・ヨーコの瞳が、脳裏に焼きついて離れない。
5年間の沈黙を破り、『ダブル・ファンタジー』を発売し、ヨーコと共に再出発を果たしたばかりだったこともあわせ、涙なくしては見ることの出来ない、優しくて、暖かくも凄まじい写真だ。