久しぶりに映画を見て号泣した。
“泣いた=良い作品”とは思わないし、
泣くのを目的に映画を見ているわけじゃない。
主人公を安易に殺したり、病死させたりと、
死の大安売りで人を泣かそうとしている今の日本映画にはない、
もっと上級の心を揺さぶる要素が本作にはあると思う。
『再会の街で』 12/22より恵比寿ガーデンシネマほか全国にて 配給会社: ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント |
ニューヨークで歯科医を開業しているアランは、
20年ぶりに大学のルームメイトであったチャーリーと再会する。
しかし、チャーリーは9.11で妻子を失い、
そのダメージからPTSD(心的外傷後ストレス障害)に陥り、
完全に心を閉ざしていた。
そんなチャーリーを見かねたアランは、
なんとか力になろうとするが...
男の友情を軸にした人間ドラマだ。
身近の人が突然死んでしまった遺族の苦しみとは、
こういうものなんだと痛感させられた。
特にチャーリーの場合は、ある“後悔”が付きまとい、
より苦しめられている。
その“後悔”がチャーリーの口から語られた時、
アランは何が大切なのかを知る。
そして、見ている観客もアランと同じように何が大切かを学ぶ。
そして、チャーリーが義理の両親にぶつけた言葉は、
この作品を見た後、街に出て多くの人々を見た時に、
“あぁ、これは苦しいかも...”と更に突き刺さる。
その場限りの感動でなく、
映画が教えてくれたことを心に留め、
日々の生活の糧に出来る。
そんな作品です。
#172の【伊藤Pの部屋】で、
『アイ・アム・レジェンド』が今年のお正月映画でもっともオススメと書きましたが、
『再会の街で』はもっとオススメです。
(あの文章を書いた後に、『再会の街で』を見たもので・・・)
あと、音楽の使い方がとても良い。
本作の原題は『Reign Over Me』。
これはThe Whoの名盤「四重人格」に収録されている「Love,Reign O'ver Me」から取っている。
劇中でも同曲が印象的に使われている。
鑑賞後、チャーリーがしていたように、
この曲をiPodで聴きながらオフィスに戻ろうと思い、
クリクリとThe Whoにあわせる。
がっ!
「四重人格」、iPodにダウンロードされていないではないか!!
そういえば、「四重人格」は女友達のTに、
5年ぐらい前に貸したままであったことを思い出す。
今度、Tと再会したら、
「四重人格」返してもらおう。
※映画は人それぞれの解釈があって当然なので、
人の感想や意見にイチイチ文句をつけるのはどうかと思っているんだけど、
『再会の街で』に関してそれはどうかと思う批評を読み、ちょっと反論してみたりして・・・
詳しくは【裏部屋】#047をご覧下さいませ。