2008年01月09日更新

裏#049 『SS-エスエス-』

哀川翔+遠藤憲一というダブル・アニキの記念すべきダブル主演作なので、
【伊藤Pの部屋】扱いとしようと思ったのですが、
やっぱり文章を書いていくうちに【裏部屋】が妥当と判断。
ということで、【裏部屋】です。


WRC(世界ラリー選手権)参戦直前のレースでミスを犯したため仲違いし、
それぞれ別の道を歩んだ二人の男。




『SS』
『SS-エスエス』
1/12より新宿トーアほかにて
配給会社:リベロ




ダイブツ(哀川翔)は自動車修理工場で家族のために黙々と働き、
栗原(遠藤憲一)はカリスマ自動車評論家として成功を収めている。
二人は常にこのままでいいのか?という自問自答を繰り返しながら日々暮らしている。


しかし、中年に差し掛かった二人は、これではいかん!と、
かつての情熱を取り戻し、夢を叶えるべく再びハンドルを握る。


製作サイドは「カー・アクション+人間ドラマ」にしたかったそうですが、
全てにおいて詰めが甘い。


まず肝心のカー・アクション。


箱根の峠道を1台で走り、そのタイムを競うタイムアタックなので、
カーチェイスではない。


よって、抜くか抜かれるかのスリリングなバトルは無い。
だから演出的に難しいのかも知れないが、とてつもなく単調。
なにが凄くて、これだけ優れたタイムを叩き出せたのかが不明だし、
そもそもタイムの基準自体も不明だ。


ドリフトのテクニックとかは、忠実らしいけど、
そんなドライビングは日常生活ではしないので、知らんがな。


ドリフト・テクを堪能するのなら『RONIN』とか既にあるし。


「これだけライティングをして、夜間に車が走っている映画は邦画ではない」
そうですが、同じところにカメラを据えて、
何度も何度も目の前を車が駆け抜けていくだけでは、ちょっと飽きるよね。


撮影期間とか、撮影現場の規制とかいろいろあるとは思うけどさ。


まぁ、全部CGでレースを表現しちゃった『スピードマスター』と違って、
一切、CG無しで撮影したという情熱は感じたけどね。


それでも映画的にスリリングな展開にならないのは、
カー・アクション映画と謳っている以上、致命的でしょう。


『SS』


で、もう一方の人間ドラマも薄い。


まず、二人の男が再びカー・レースに挑もうとするキッカケが不明。
そんなに簡単にやれるなら、くよくよ悩まずさっさとやれば良かったじゃないか。


ダイブツの家族も、あんな聞き分けの良い嫁さん(酒井法子)オランがなぁ〜。
子供もディズニーランドに行けないぐらいで泣くな!
友達がラジコンで、自分がミニカーだからってフテ腐るな!
他の家と自分の家を比較するな!
親も怒れ!


伊藤Pはディズニーランドに初めて行ったのは大学生だぞ!
ラジコンだって一生懸命お年玉とか、お小遣いを貯めて、
タミアのグラスホッパーとプロポとバッテリーを買ったぞ!


あと、この一家、貧乏という設定なんだけど、
ハンバーグは大量に出てくるし、結構広い一軒屋だし、十分じゃない?
固定資産税とかさ、ちゃんと払えているわけでしょ?
子供をディズニーランドに連れて行くぐらい大したことなさそう。


対して栗原。
突然、番組の収録中に「俺、辞めた」って、そりゃないでしょう。
男だったらしっかりと自分の仕事を終えてから、夢を追いなさい。
それが男気ってもんでしょ。
そんな中途半端な仕事しているから、レースでミスを犯すんだよ。


車もマネジャーだか、プロデューサーだかにあげちゃうけど、
ちゃんと陸運局に行って、名義変更せないかんでしょ。
他人に任せるんでも、実印押した委任状が必要だぞって、
まぁ、これは映画的演出だからつっこむのは野暮だな。


あとね、二人の脇を固める方々も中途半端すぎる。
いや、固めてない。溶解している。
二酸化炭素だ。地球温暖化の原因。


特にクワマンが演じた志村とか全く必要ない。
二人との絡みも皆無だし。
この分、他に予算や時間を当てた方が良かったんじゃないの?って。


『SS』


とまぁ、散々、ボロカスですが、
それでもアニキのダブル主演作なんだよね。
共演シーンはさほど多くないのけど、
やっぱり二人が納まっているシーンは絵になるね。


それから、ダイブツが乗る車は三菱スタリオン4WD。
『キャノンボール2』で、ジャッキー・チェンとリチャード・キール組が乗っていた車だ。


そのエピソードがキチンと活かされているのは、ちょっと嬉しかった。







『SS-エスエス』
遠藤憲一 インタビュー動画 & テキスト

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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