山田洋次監督+吉永小百合なので、
“昭和に生きた心優しきお母さんの人情劇”
だと思って見たら、反戦色がかなり濃厚な作品で驚いた。
『母べえ』 1/26より丸の内ピカデリー2ほか全国にて 配給会社:松竹 (C)2007「母べえ」製作委員会 |
でもよくよく考えたら、吉永小百合は原爆詩の朗読等、反戦活動を頻繁にしているし、
人々の日常をウィットに描くことの多かった山田洋次監督も、
近年は『出口のない海』の脚本を手掛けたりしていたことを思い出した。
納得といえば納得だ。
反戦だけでなく、当時の国家権力に対する批判もある。
舞台は第二次世界大戦突入前の昭和15〜16年。
ちょっとでも「反戦!」なんて言ったら、非国民で投獄。
掲示板サイト、投稿サイトに、
匿名で誹謗中傷なんでも書けちゃう現代とは大違いだ。
吉永小百合演じる母べえの旦那さんは物書き。
反戦思想があるということで、投獄されてしまう。
以降、主人不在の一家を母べえが支えることになる。
戦争になるかならないかの微妙な緊張感の中、
庶民の暮らしも徐々に変化が見られる。
特に食事。
当然、徐々に質素になる。
『ぜんぶ、フィデルのせい』(#180参照)でもそうだったように、
食事は生活の変化を表現するのに適している。
一方、厳しい生活の中でも海水浴に出掛けたりする姿は、
現代の休日の過ごし方と大差なく、
へっーこんな感じだったんだと思った。
昭和15、16年の人々の日常生活を知ることが出来る。
そして、反戦色が強いといっても、山田洋次監督特有のユーモアも勿論ある。
その大部分を、浅野忠信が受け持っている。
浅野忠信が演じる山ちゃんは、主不在の一家を暖かい眼差しで見つめ、
いろいろと手助けをするが、ちょっとお茶目だ。
そんな山ちゃんは、年の差が大分あるにも関わらず、
ちょっと母べえに恋心を抱いたりする。
普通で考えると、かなり違和感があるのですが、
母べえを演じている吉永小百合が62歳とは思えない美しさなので、
意外と納得出来てしまう。
いやー、吉永小百合、本当に綺麗だわ。
実はこの作品を見て、つまらないとか、ダメとかはなかったんだけど、
テーマ性とかは、あんまり心には響いてこなかったんですよ。
一番、響いたのは吉永小百合の美しさでした。
『母べえ』 ※浅野忠信 インタビュー 動画 & テキスト |
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プロフィール
伊藤一之<♂>
2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。
本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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