コーエン兄弟の新作というだけで見たいと思っていたら、
数々の賞を受賞したというニュースが届き、益々見たくなる。
一方、映画を見る感性が似ている光武蔵人監督は、一足先にアメリカで見て、
「貶すとバカと言われるような“踏み絵”的な映画」という感想を伝えてきた。
これだけの情報しか持たず、どんな内容か全く知らないまま『ノーカントリー』を鑑賞。
『ノーカントリー』
配給会社:パラマウント、ショウゲート
(C)2007 Paramount Vantage, A PARAMOUNT PICTURES company. All Rights Reserved.
このエントリーのトラックバックURL: この一覧は、次のエントリーを参照しています: #196 『ノーカントリー』:
» コーエン兄弟の「ノーカントリー」 送信元 OKANOTION'S BLOG
» 「ノーカントリー」完全無欠の追跡者、誰も逃げられない 送信元 soramove
» ノーカントリー(NO COUNTRY for old men) 送信元 Patsaks [↑ページトップへ]
トミー・リー・ジョーンズ演じる初老の保安官ベルのナレーションから始まり、
ハビエル・バルデム演じる殺し屋シガーが、殺戮を繰り返し不気味な存在感を放つ。
この冒頭だけでつかみはOK。
続いて、ジョシュ・ブローリン演じるベトナム経験者のモスが、
相殺された麻薬取引現場から大金を奪う。
一旦は家に帰るが、まだ息のあった生存者の安否が気になり、
再び現場へ舞い戻る。
ちょっとの良心の呵責がいけなかった。
モスはシガーと顔見知りの保安官ベルから追われる身となってしまう。
モスとシガーの息詰まる攻防戦の間に、
時代から取り残されつつあるベルのエピソードが挿入される展開だが、
何よりもモスとシガーの戦いが凄い。
コーエン兄弟が得意とする音楽を封印し、静寂の中で生々しいバトルが繰り広げれる。
1対1の男の戦いを見て、体が震えた。
本来、金を盗んだ男など同情に値しないのに、すっかりモスに感情移入させられるし、
とある登場人物を全く活躍させないで、シガーの残忍性と不気味さをより増加させる。
コーエン兄弟の巧みな演出が光る。
これは絶賛に値するわけだ!
“果たして、モスVSシガーの最終決戦はどうなるんだろう!?”と、興奮度マックス。
ところが、突然、アレ?アレ?アレ?の展開。
更に今までどちらかというと脇ぽかった保安官ベルが、しゃしゃり出てきて、
グダグダした後、サクッとエンドロールが始まった。
“ポカァ〜ン”
頭に浮かんだのは「やべー、俺、バカ?」。
『アビエイター』鑑賞後に感じた、自分の映画を見る目の無さが再び蘇る。
“やばい!わかっていないのに、わかった振りはしたくない!踏み絵は踏みたくない!!”
ってことで、エンドロールが流れている間に、『ノーカントリー』のテーマを探るべく、
必死に回想し、パズルの様に組み合わせる。
保安官ベルの冒頭と最後のセリフ
ベルと別の保安官が吐いた嘆き
そして、原題の『No Country For Old Men』
80年という時代設定
これらの要素から、エンドロール中におおよその結論に達することは出来た。
でも、それがモスVSシガーの戦いとあまり結びつかなかったんだよね・・・
あと、日本人には完璧に理解はできないと思うな。
アメリカ人のための映画のような気がする。
崇高な映画だし、洞察力も求められる能動的な作品だ。
ボケーッと見ていると、保安官ベルのパートで、見事にスカされる。
保安官ベルのセリフを注意しながら見ることをオススメします。
※それでもやっぱりポカーンな方。
『ノーカントリー』解釈篇(完全ネタバレ!)
『ノーカントリー』
※保安官ベル:トミー・リー・ジョーンズ インタビュー動画
※殺し屋シガー:ハビエル・バルデム インタビュー動画
※逃亡者モス:ジョシュ・ブローリン インタビュー動画
※監督:コーエン兄弟 インタビュー動画
トラックバック
http://www.t-shirt-ya.com/blog/cgi/mt-tb.cgi/867
ちょっと前にココに書いた「ノーカントリー」を観る。
コーエン兄弟の作品で私の好きなポイントは3つ。
?おとぎ話のような語り口
?... [詳しくはこちら]
「ノーカントリー」★★★★オススメ・完成度高い
トミー・リー・ジョーンズ、ハビエル・バルデム 、ジョシュ・ブローリン 主演、
ジョエル・コーエン 、イ... [詳しくはこちら]
今回紹介するのは、わたしがリスペクトするコーエン兄弟の最新作ノーカントリー。
主演の保安官エド扮するトミー・リー・ジョーンズのナレーションで始まるこ... [詳しくはこちら]
「伊藤Pの部屋」内検索
タグ一覧
リンク
プロフィール
伊藤一之<♂>
2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。
本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
Movable Type