2008年03月14日更新

#196 『ノーカントリー』

コーエン兄弟の新作というだけで見たいと思っていたら、
数々の賞を受賞したというニュースが届き、益々見たくなる。


一方、映画を見る感性が似ている光武蔵人監督は、一足先にアメリカで見て、
「貶すとバカと言われるような“踏み絵”的な映画」という感想を伝えてきた。

これだけの情報しか持たず、どんな内容か全く知らないまま『ノーカントリー』を鑑賞。




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『ノーカントリー』
3/14よりシャンテ・シネほか全国にて
配給会社:パラマウント、ショウゲート
(C)2007 Paramount Vantage, A PARAMOUNT PICTURES company. All Rights Reserved.




トミー・リー・ジョーンズ演じる初老の保安官ベルのナレーションから始まり、
ハビエル・バルデム演じる殺し屋シガーが、殺戮を繰り返し不気味な存在感を放つ。
この冒頭だけでつかみはOK。
続いて、ジョシュ・ブローリン演じるベトナム経験者のモスが、
相殺された麻薬取引現場から大金を奪う。


一旦は家に帰るが、まだ息のあった生存者の安否が気になり、
再び現場へ舞い戻る。
ちょっとの良心の呵責がいけなかった。
モスはシガーと顔見知りの保安官ベルから追われる身となってしまう。


モスとシガーの息詰まる攻防戦の間に、
時代から取り残されつつあるベルのエピソードが挿入される展開だが、
何よりもモスとシガーの戦いが凄い。


コーエン兄弟が得意とする音楽を封印し、静寂の中で生々しいバトルが繰り広げれる。
1対1の男の戦いを見て、体が震えた。


本来、金を盗んだ男など同情に値しないのに、すっかりモスに感情移入させられるし、
とある登場人物を全く活躍させないで、シガーの残忍性と不気味さをより増加させる。
コーエン兄弟の巧みな演出が光る。


これは絶賛に値するわけだ!


“果たして、モスVSシガーの最終決戦はどうなるんだろう!?”と、興奮度マックス。


ところが、突然、アレ?アレ?アレ?の展開。
更に今までどちらかというと脇ぽかった保安官ベルが、しゃしゃり出てきて、
グダグダした後、サクッとエンドロールが始まった。


“ポカァ〜ン”


頭に浮かんだのは「やべー、俺、バカ?」。


『アビエイター』鑑賞後に感じた、自分の映画を見る目の無さが再び蘇る。


“やばい!わかっていないのに、わかった振りはしたくない!踏み絵は踏みたくない!!”
ってことで、エンドロールが流れている間に、『ノーカントリー』のテーマを探るべく、
必死に回想し、パズルの様に組み合わせる。

保安官ベルの冒頭と最後のセリフ
ベルと別の保安官が吐いた嘆き
そして、原題の『No Country For Old Men』
80年という時代設定


これらの要素から、エンドロール中におおよその結論に達することは出来た。


でも、それがモスVSシガーの戦いとあまり結びつかなかったんだよね・・・


あと、日本人には完璧に理解はできないと思うな。
アメリカ人のための映画のような気がする。


崇高な映画だし、洞察力も求められる能動的な作品だ。
ボケーッと見ていると、保安官ベルのパートで、見事にスカされる。


保安官ベルのセリフを注意しながら見ることをオススメします。


※それでもやっぱりポカーンな方。
『ノーカントリー』解釈篇(完全ネタバレ!)






『ノーカントリー』
※保安官ベル:トミー・リー・ジョーンズ インタビュー動画
※殺し屋シガー:ハビエル・バルデム インタビュー動画
※逃亡者モス:ジョシュ・ブローリン インタビュー動画
※監督:コーエン兄弟 インタビュー動画

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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