2008年03月18日更新

#197 『ブラブラバンバン』

女子高生がブラスバンドをやるということで、
『スイング・ガールズ』のような軽快なコメディタッチの作品だと思って見たら、
意外と湿っぽい青春映画だった。




ブラブラバンバン
『ブラブラバンバン』
3/15よりQ−AXシネマ、シネマート新宿、吉祥寺バウスシアターほか全国にて
配給:トルネード・フィルム




音楽を聴くとエクスタシーを感じ、エロ女と化す芹生百合子というキャラクターが登場するので、
ハチャメチャに暴走してくれるのかと思いきや、結構この特異体質が深刻で、
芹生自身を思い悩ませている。


そのためか、全体的にトーンが重くなっている。


他のブラスバンドのメンバーも内気だったり、部員でいる理由が異性だったりと、
なんだか溌剌としていないうえ少人数なので、合奏から生み出される圧倒感もあまりない。


逆に言えば、明るく元気に大人数でとなると、
それこそ『スイング・ガールズ』と一緒になってしまうので、
“ちょっと根暗な高校生のブラバン”というのが『ブラブラバンバン』のカラーなのでしょう。


暗いし、やる気ないし、やってる動機も不純だったりする分、
自分の体質に悩む芹生がそれを克服し、
クライマックスで何かを悟る姿と、少人数の合奏は、清々しくなる。


ラストの明のための、根暗的演出ってやつですかね。


ブラブラバンバン


トータルとして、決してつまらなくはないのですが、男子生徒の視点で描かれているけど、
彼自身が劇的な変化を遂げないし、芹生に対して上手く作用していない点が残念。


視点もボケていて、主人公が芹生なのか、男子生徒なのか良くわからなくなる。


芹生を演じた安良城紅は初の映画出演。
セリフ回しはまだまだだけど、独特の雰囲気とフェロモンで、
強烈な存在感を放つ。
インパクトは大だ。


今後、映画への出演予定はないらしいけど、また出て欲しいと思う。


ということで、安良城紅に尽きる本作ですが、
『スイング・ガールズ』的な爽快さを求めて見ると、肩透かしを食らうので、
“根暗”を前提にして見た方が、落差がなくてよいでしょう。






『ブラブラバンバン』
※安良城紅 インタビュー 動画テキスト



安良城紅

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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