女子高生がブラスバンドをやるということで、
『スイング・ガールズ』のような軽快なコメディタッチの作品だと思って見たら、
意外と湿っぽい青春映画だった。
『ブラブラバンバン』 3/15よりQ−AXシネマ、シネマート新宿、吉祥寺バウスシアターほか全国にて 配給:トルネード・フィルム |
音楽を聴くとエクスタシーを感じ、エロ女と化す芹生百合子というキャラクターが登場するので、
ハチャメチャに暴走してくれるのかと思いきや、結構この特異体質が深刻で、
芹生自身を思い悩ませている。
そのためか、全体的にトーンが重くなっている。
他のブラスバンドのメンバーも内気だったり、部員でいる理由が異性だったりと、
なんだか溌剌としていないうえ少人数なので、合奏から生み出される圧倒感もあまりない。
逆に言えば、明るく元気に大人数でとなると、
それこそ『スイング・ガールズ』と一緒になってしまうので、
“ちょっと根暗な高校生のブラバン”というのが『ブラブラバンバン』のカラーなのでしょう。
暗いし、やる気ないし、やってる動機も不純だったりする分、
自分の体質に悩む芹生がそれを克服し、
クライマックスで何かを悟る姿と、少人数の合奏は、清々しくなる。
ラストの明のための、根暗的演出ってやつですかね。
トータルとして、決してつまらなくはないのですが、男子生徒の視点で描かれているけど、
彼自身が劇的な変化を遂げないし、芹生に対して上手く作用していない点が残念。
視点もボケていて、主人公が芹生なのか、男子生徒なのか良くわからなくなる。
芹生を演じた安良城紅は初の映画出演。
セリフ回しはまだまだだけど、独特の雰囲気とフェロモンで、
強烈な存在感を放つ。
インパクトは大だ。
今後、映画への出演予定はないらしいけど、また出て欲しいと思う。
ということで、安良城紅に尽きる本作ですが、
『スイング・ガールズ』的な爽快さを求めて見ると、肩透かしを食らうので、
“根暗”を前提にして見た方が、落差がなくてよいでしょう。
『ブラブラバンバン』 ※安良城紅 インタビュー 動画 & テキスト |
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プロフィール
伊藤一之<♂>
2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。
本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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