戦争という文字がタイトルに含まれているけど、至って平和な気持ちにさせられる作品。
『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』 4/5よりシネマGAGA!、池袋シネマサンシャインほか全国にて 配給会社:ギャガ・コミュニケーションズ (C)2008「ぼくちゅう」PARTNERS |
昭和54年のとある田舎町。
ママチャリ率いるエネルギー持て余し気味の高校生7人と、
町の駐在さんとの終わりなき戦いを軽快に描いた青春コメディ映画。
戦いといっても武装したり、殴りあったりするわけではない。
駐在さんをギャフンと言わせるために、ママチャリたちはひたすらイタズラを仕掛ける。
このイタズラが本当にしょーもない。
ママチャリたちは駐在さんが不在の隙を狙って、
駐在所にエロ本を仕込もうとしたりする。
あの手この手を駆使して、駐在さんを陥れようと試みるが、
駐在さんも黙ってはいない。
やられたらやり返して、キッチリと落し前をつける。
この大人気ない攻防を見ていると、平和って良いよなぁーってつくづく思うね。
そして、ママチャリたちのイタズラはやがて、駐在さんを困らせるためではなく、
とある人物との約束を守るためのイタズラになっていく・・・
前半から中盤にかけてのイタズラ合戦や
個性際立つ“ぼくたち”7人の言動は結構笑える。
中盤から後半にかけては、
約束を果たすために無茶な行動に出るママチャリと、
それを助ける仲間たちとの友情をキッチリ描いている。
テンポも良いし、展開もそれなりに意外性があって楽しめる。
肩肘張らずに、かるーい気持ちで見るのに適した作品だ。
そんな作品のカラーを多分に担っているのは、恐らく役者たちだろう。
ママチャリを演じた市原隼人は、キャラクターと自身のイメージがピッタリと合致する。
本人がインタビューで「メチャクチャ楽しかった」とコメントしている通り、
本当に楽しそうに演じているし、それが見ている側にも伝わってくる。
やりすぎると見ている側は引いてしまうが、良い感じでブレーキがかかっていて、
外すことはない。
また、ぼくたちと対峙する駐在さんを演じるのは佐々木蔵之介。
実は相当難しいキャラクターだと思う。
憎たらしけど、愛嬌があって親しみを覚えるようなキャラでなくてはならない。
しかも、国家公務員として働いているわけですから、生真面目さも必要。
その辺の微妙なニュアンスを巧みに演じている。
そして、なんと言っても麻生久美子である。
出番はそれ程多くないけど、どのシーンもやたらと印象に残っている。
喫茶店のあのシーンとか、夜のシーンとか、
ソフトクリームのシーンとか、とか、とか、とか・・・
特に、麻生さん曰く「このシーンがあったから出演した」というとあるシーンでは、
「あぁー、今までにないなぁ」と確かにちょっと驚かされた。
清純、儚げといったイメージが強い麻生さんですが、
本人も認めている通り、今、女優として転機を迎えようとしている。
しかも、与えら得ているのではなく、自らが切り開いている。
それは『純喫茶磯辺』を見て、更に強く感じた。
個人的には『純喫茶磯辺』麻生久美子最高傑作だね。
って、話が逸れた。『純喫茶磯辺』の話はいずれ日を改めてじっくりと・・・
とにもかくにも『ぼくたちと駐在さんの700戦争』の良いところは、
役者たちが生き生きとしている点だ。
本作を見て、くだらないという感想を持つ人がいるかもしれないけど、
この手の作品は、役者たちが楽しんでいるように、
アレコレ考えずに勢いに乗っちゃって、「楽しもう!」ってね!
ノリだよノリ!
『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』 ※市原隼人 インタビュー 動画 & テキスト ※麻生久美子 インタビュー 動画 & テキスト ※伊藤Pの麻生久美子 取材記 ※GyaO 『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』特集 |
いつも元気な市原隼人さん
いつも美しい麻生久美子さん
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プロフィール
伊藤一之<♂>
2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。
本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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