苦手なんですよ、ディズニーのラブ・ファンタジー。
ミュージカルもあまり得意じゃないないから、ダブルパンチ。
でもディズニー・ファンタジー『魔法にかけられて』の宣伝文句は、
“今までのディズニーの常識が通じない!”
『魔法にかけられて』 3/14より日劇3ほか全国にて 配給会社:ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン |
随分前に「めざましテレビ」で、
この作品の、ニューヨークの公園で歌を歌っている王子様が、チャリンコに轢かれるシーンを流してい
た。
“おぉ!これは確かに新しい!ひょっとしたら楽しめるかもしれない!!”と思ったけど、
結果、やっぱりダメだった。。。
歌もキャラもウザイ!!
アニメで描かれる魔法の王国“アンダレーシア”。
心優しいジゼルはエドワード王子と出会い、一目惚れして即結婚。
しかし、結婚式の日、魔女に騙され、ジゼルは現代のニューヨークへと追放される。
このお姫様のジゼルがまずウザイ。
マンホールから飛び出すや、ドレスを着たままニューヨークの街を、
“アンダレーシアはどこ?”、“お城はどこ?”とあたふたと走り回る。
少し頭を使えば、自分の置かれた状況、ちょっとはわかるよな?
あんた突き落とされたんだよ。背中に押された感触あったでしょ?
わからなかったにしても、全く違う世界なのは一目瞭然。
中途半端に戸惑うなよ・・・
で、バツイチコブ付きの弁護士ロバートに助けられ、のこのことロバートのアパートへ。
無防備すぎるだろう。。。
普通に一泊かましたうえ、
動物たちを使って、勝手に部屋を掃除したり、模様替えしたりする。
ついでにお約束で、ロバートの彼女に勘違いされる。
さらにはロバートが担当している離婚協議中の夫婦にまで、
“愛は素晴らしい!”とか言い出して、ロバートを困らせる。
単なるKY&お邪魔虫だよ。
“アンダレーシア”では、これら全てが美徳なんですかね?
純真無垢という名の厚顔無恥のような気がしまっせ。
そして、ジゼルに輪をかけてウザイのが、エドワード王子。
ジゼルを追って、現代のニューヨークに現れるが、やること全てがウザイ。
本当にウザイ。
バカだ、バカ。
ジゼル以上にバカだから、現代のニューヨークに来ても、適応能力は抜群だ。
バカ故に、世界がまるで違っても何の疑問も持たず、何の説明を受けなくても生きていける。
バカだからなせる荒業。バカ万歳!。
ジゼルとエドワードが一瞬にして意気投合し、心惹かれあったのも理解できるな。
類は共を呼ぶ。バカはバカを呼ぶ。
ジゼルとエドワードは究極のバカップルだ。
ほら、たまにいるでしょ、浮きまくて、ちょっと感覚のずれたカップルが。
それの最強版。
こいつらの結婚式に呼ばれたら、
“ごめん、その日、風邪を引く予定だから行けないんだ”って言いたくなるような、バカップル。
それだそれ。
魔女じゃなくても、追放したくなるね。
ロバートも良くあんなアーパー女を助けようと思ったね。
夜道であんな格好をしている女性がいて、
意味不明な発言をしていたら、絶対に関わりたくないし、
関わったとしても即効で警察に通報して、身柄を引き渡すね。
ましてや、娘がいるわけでして、ジャンキーとかだったらどーするの?
関わらない方が良い。
そんなわけで、ジゼルとエドワード王子の恋の行方なんてどうでも良いし、
ジゼルとエドワードと、ロバートとその恋人との四角関係なんてのもどうでも良い。
逆に、ジゼルがバカ過ぎて、ロバートとの愛が成就しないで欲しいとまで思ってしまった。
そして、やっぱり歌もウザイ。
お約束が通じないといっても、ミュージカル・パートはちゃんとある。
公園とかで、主人公と一緒に通行人とかが嬉しそうに歌うのとか、ゲンナリ。
ジゼルを演じたエイミー・アダムスも、“ディズニーのお約束を破る”というこ
とからか、
今までのお姫様よりも年齢が少し上だ。
ファンタジーなんだから、もっと若くて綺麗な設定で良いじゃない。
逆に約束破って欲しくなかったな。
キャストの中では、スーザン・サランドンが凄かった。
貫禄です。
よくこんな役を引き受けたなというぐらいの怪演。
魔女を主人公にして描いた方が、それこそルール違反ぽくてよくね?って。
それから、ネズミがジゼルの呼びかけによって、
ロバートの部屋を掃除する。
『レミーのおいしいレストラン』といい、アメリカ人はネズミに対する抵抗はないのかな?
あっ、ディズニー映画だった・・・
あと、ゴキブリも掃除役として出てくる。
これはかなりディズニー映画のお約束を破っているかも。
ネズミにゴキブリに随分悪趣味だなぁーと思っていたら、
製作がバリー・ソネンフェルド(『メン・イン・ブラック』、『ワイルド・ワイルド・ウエスト』)だった。
通りで・・・
反面、2点どうしても納得いかないところがある。
エドワード王子はニューヨークへやってくるが、普通にファーストフード店で食
事をしているし、薄汚い部屋に宿泊もしている。
お金はどうされたのでしょうか?
ついで、最後の方の晩餐会(だったけかな?)のシーン。
司会者が「次は恋人たちのためのワルツです」と言っておきながら、
思いっきり4拍子の曲をかけるな!
ワルツは3拍子だぞ。
これも“掟破りなのか!?”
とまぁ、何もかもが受け入れがたく、
やっぱりディズニーのミュージカル・ファンタジーという強敵の前に玉砕。
これはもう感性の問題だから、本当に仕方がないんだと思う。
逆に言えば、ディズニーが大好きで、
おとぎ話にロマンや夢を感じることが出来る人にはもってこいの作品だ。
そういう人にとっては、きっと“可愛い映画”なんだと思う。
華やかだし楽しい映画で、最高のデートムービーであることも間違いない。
伊藤Pのように腐りきった心の持ち主が見てはいけない作品なのです。
『魔法にかけられて』 ※パトリック・デンプシー インタビュー動画(3/21正午UP) & テキスト ※松坂慶子(声の出演) インタビュー 動画 & テキスト |
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「魔法にかけられて」★★★☆
ディズニー映画、レイチェル・カヴィ、スーザン・サランドン主演
ケヴィン・リマ監督、アメリカ、2007年、108分
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プロフィール
伊藤一之<♂>
2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。
本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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コメント (3)
はじめまして。いつも楽しく読まさせて参考にさせていただいております。
昨日「魔法にかけられて」を鑑賞したのでレビューを見に来ました。
この映画っていままでのディズニー映画のセルフパロディで
ディズニー映画やディズニーのミュージカル映画を見ていれば、この映画がいかにブラックユーモアかわかると思うのですが。。。
お姫様や王子がうざい!というのも、そのウザさを逆に取って「実際はうざいよね?」とディズニー自身がギャグにしているじゃないですかね?
だからうざいのは製作の意図通りでは?!
ねずみや鳩の掃除もディズニーにありがちな、動物友達!みたいのを「現実はキモイよね?」という自虐的なギャグっすよ!
この映画はディズニー映画好きな人をすんげ〜裏切る映画っていうか「こんなのいいの?!」っていうギリギリ感を楽しめる、冗談のわかる大人の映画だと思うんですよね。
自分はいままで映画好きとしてディズニー映画を見ていたのでかなり楽しめました!
感性を語る前に、この映画はディズニー映画を見ていないと伝わらない映画ってことを批評として入れていただきたかったですね〜。。。
投稿者: ねずみ | 2008年09月01日 14:53
>ねずみさん
コメント&感想ありがとうございます。
>「実際はうざいよね?」とディズニー自身がギャグにしているじゃないですかね?
というのも判るのですが、やっぱりうざくって・・・
うざいヒロインになんも魅力を感じられなかったんです・・・
>冗談のわかる大人の映画だと思うんですよね。
うぐっ。痛いところを突かれました。
大人になれない人を元格闘家の前田日明氏は「コトナ」と表現しておりました。
その類かもしれません・・・
こういうジャンルやディズニー映画が好きという人もいる、
いや、好きな人の方が多いということも判っているんです。
でも、やっぱり映画って理屈じゃなくって、感性で見る部分もあると思うんですよね。
と言っておきながら理屈ぽく映画見ているんですけどね・・・
だからファンタジー映画が苦手なのかも・・・
それから、「うざい」って言葉。
今の世の中頻繁に用いられる用語ですが、
人を不愉快にさせる言葉なのかなぁ〜と、今更反省しています。
あまり使わないようにしようかぁーと思います。
(さっき使ってるけど・・・)
と、話がそれましたが、
また何か映画見ましたら、ご感想等々お待ちしております。
いろんな方の意見・感想を聞くのは勉強になります。
投稿者: 伊藤P | 2008年09月01日 20:00
初めましてこんにちは。
今更ながらコメントを投稿…してもよろしいものかは分かりませんが;;
とても昔の記事にすみません。一つ言いたくて。
この映画、純粋なディズニーファンなら目くじらたてて怒りますよ(笑)
上の方が仰るように、これは自虐映画ですね。
ウォルト・ディズニーは大変偏屈で完璧主義の頑固親父というのは有名な話ですが。
彼は勿論「ディズニープリンセス」にも徹底してキャラ作り・環境設定を行っています。
「女性は王子様に助けられるもの、美しくか弱くおしとやか」
これがディズニーの徹底した男性社会の表象であり暗黙のルールです。
女性は皆ディズニープリンセスに憧れるように。女性社会にならないように。
しかしこの映画は…(笑)
王子がずっこけるは姫が戦うわ、気持ち悪い虫は出てくるわ、挙げ句に王子と姫が結ばれない(笑)
開いた口が塞がらなかったです……
間違いなくウォルトが生きていたらぶっ飛ばされる作品ですよ(笑)(笑)
だからこそ、よくぞ本家がここまでディズニーのしきたりを逆手にとり斬新にアレンジしてくれたものだと拍手喝采したくなります。
私は元々ディズニーが苦手なので;
この話は、多分アンチディズニーが見ると一番面白い作品になっている筈です。
長々と失礼致しましたm(_ _)m
投稿者: のる | 2011年05月09日 00:22