主演は夏帆である。
夏帆といえば『天然コケッコー』の右田そよである。
いやー、癒された。
そんな訳で、また癒されたい!と思って見た『うた魂♪』ですが・・・
『うた魂♪』 4/5よりシネクイント、シネ・リーブル池袋、新宿ジョイシネマほか全国にて 配給会社:日活 |
夏帆演じる合唱部員のかすみは、歌っている時の自分が大好きだ。
かなり自意識過剰でナル入っている。
このかすみの勘違いをコミカルに夏帆が演じているのだが、
ちょっとイタイ。
いや、イタイキャラなんだから、劇中の登場人物が「イタイ」と思うように、
見ている我々がイタイと感じても良いのだが、そう思うにはちょっと違和感がある。
かすみがイタイんじゃなくて、夏帆がイタイんだよ。
なんか観客を笑わせようとする無理な演出に付き合わされちゃって、
一杯一杯な感じ。
不要と思われる過剰な演出のせいで、自然体な演技をさせてもらえず寒い。
夏帆が悪いんじゃないよ。
役者を活かすも殺すも監督次第。演出の問題だ。
田中誠監督は『タナカヒロシのすべて』の時の様な、
間を活かした惚けた感じのコメディの方が、そのセンスを発揮するように思う。
にしても、イタイ夏帆を見続けるのは辛い。
辛い過ぎる。
しかしながら、かすみが実は自分の歌っている姿はブサイクだと気が付き、
挫折を味わう辺りから良い意味でトーンダウンする。
そこに合唱部の男子高校生を演じるガレッジセールのゴリが登場。
芸人がこの手のノリの作品に出演する場合、寒くなる可能性が多分にあるので、
“今度はゴリさんが過剰冷却しちゃうのか!?”と一瞬危惧したのですが、
予想以上に嵌っていた。
どうやら、その辺は本人も心配していたようで、かなり気を遣ったらしい。
(インタビュー参照)
そして、伊藤Pが、日本の女優の中で一番上手いと思っている薬師丸ひろ子が加わり、
『うた魂♪』は前半の失敗を挽回するかのごとく、安定した流れで進んでいく。
まぁ、安定というか、全て想定内の展開なんだけどさ。
で、終わり良ければすべて良し。
無難に着地を決めて、大団円。
鑑賞後にそれなりの爽快感をもたらしてくれる。
さてさて、本作の見所の一つはもちろん合唱だ。
夏帆たち女子高生が歌う歌は、どちらかといえば合唱で定番の選曲。
その合唱は、若い女性ならではの歌声で透き通る感じ。
一方、ゴリたち男子が歌う合唱は、尾崎豊の曲という意外なチョイスで驚かされる。
慣れ親しんだ曲を、男たちの野太い声の束で聴くのはなかなか新鮮だったし、
ちょっと感動した。
薬師丸ひろ子も尾崎の歌を歌う。
これも聴き所でしょう。
今年の2月から4月にかけて、『歓喜の歌』、 『ブラブラバンバン』、
そして、『うた魂♪』と集団による歌・演奏をテーマにした音楽映画が公開された。
『歓喜の歌』は、歌よりも群像劇としての面白さが際立っていた。
『ブラブラバンバン』は、タイトルとビジュアルに反して暗かった。
そんな中『うた魂♪』は、気になるところはあるにはあるが、
音楽映画という意味では、
お客さんが求めているであろう“音楽によってもたらされる幸せ”を、
一番体感できる作品の様な気がした。
『うた魂♪』 ※夏帆&ゴリ(ガレッジセール) インタビュー 動画 & テキスト |
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プロフィール
伊藤一之<♂>
2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。
本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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