停滞する対テロ戦争。
戦火のアフガニスタンで高地を占領する新作戦を推し進め、勝利に導き、
政界での地位をより確固たるものにしようと試みる、野望に満ちたアーヴィング上院議員。
突然、アーヴィングの執務室に呼ばれ、彼から新作戦についての情報をリークされ、
更に好意的な報道をするように促されるベテラン女性ジャーナリスト、ジャニーン。
学生たちに世の中のために何が出来るのかを、
執拗に投げかけ続けるカリフォルニア大学教授のマレー。
マレー教授から無関心でいることは愚かなことだと諭される学生トッド。
マレー教授の教え子で、志願兵としてアフガニスタンの戦地で、
高地占領作戦に従事するアーネストとアーリアン。
それぞれの物語が1本の線に結ばれた時、我々が目にする光景とは?
『大いなる陰謀』 1/18より日劇1ほか全国にて 配給会社:20世紀フォックス映画 (c)2007 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. |
トム・クルーズ、メリル・ストリープ、ロバート・レッドフォード3大スター共演!!
・・・・・・
共演じゃないじゃん。
トムとメリルは絡むけど、トムとレッドフォードは無し。
メリルとレッドフォードはかつて『愛と哀しみの果て』があるからまだいいけど、
トムとレッドフォードは初コラボ。
なのに共演シーン無し。
普通、見たいだろう。
大スターの共演シーンがないからか、物語のラストも感動的に集約しない。
残念だ。
また、彼らの登場シーンは、トムとメリルは執務室、レッドフォードが教授部屋。
ほとんど動かない。
アフガニスタンに赴くアーネストとアーリアンの動きのあるシーンが、
随所にインサートされるけど、会話中心に物語が進行し、ちょっときつい。
特にレッドフォードのパートは、イマイチ会話の内容がピンとこない。
オレ、日本人だからさ・・・
とはいうものの、アメリカが今、置かれている状況が良く判る。
その状況が、誰によってもたらされ、動かされ、そして、どう報道されるのか。
それに対して、未来を担う若者たちが何を考えているのか。
特にトムとメリルのパート、
たった一人の野心が、多くの人々の命に関わるという恐怖と、
正確な情報を伝えることの出来ない報道業界のジレンマ。
これはとても興味深かった。
9.11直後、政府がどう動き、どう報道され、どう世論が動いたのか?
それが正しかったのか、間違っていたのか?
そして、再び同じことを繰り返すのか?を問い掛けている。
イラク戦争が現在進行する中、今のアメリカの是非を問う作品は多くある。
『大いなる陰謀』もそんな一本でしょう。
あと、本作を見たら、
トム・ハンクス主演『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』 (5/17公開)も見て欲しい。
出来れば、『チャーリー』→『大いなる陰謀』の順番が望ましいんだけど、
公開の順番が逆だから仕方なし。
『チャーリー』は、現在の反アメリカ的中東情勢の要因に触れている。
『大いなる陰謀』は、その後を描いている。
『チャーリー』に出てくるとあるシーンでの、あの判断がもしも違っていたら、
『大いなる陰謀』でアーネストとアーリアンは、
アフガニスタンなんかに赴任することもなかっただろうに・・・
繋がっているんだよね。
『チャーリー』は実話。
『大いなる陰謀』はフィクションだけど、リアリティのある話だ。
アーヴィング上院議員みたいな人はいるだろうと思い至る。
たった一人の人間によって、世の中が大きく揺れ動く。
そう思うとおっかないな・・・