二丁拳銃。
これだけで心揺さぶられる。
二丁拳銃のかっこよさを伊藤Pに教えてくれたのは、ジョン・ウー監督。
高校受験をクリアした日に、自分へのお祝いとして見た『男たちの挽歌』。
当時、香港の小林旭と言われたチョウ・ユンファが、仲間の敵を討ちに行く料亭のシーン。
黒澤明監督『七人の侍』で、刀を一本一本地面に突き立てて、
戦闘に備えた(刀は人を一度切ったら切れなくなるため)のと同じ様に、
チョウ・ユンファも廊下に置かれた植木鉢に、拳銃を一丁ずつ隠してゆく。
そして、ソッと襖を開けて、ぶっ放す二丁拳銃。
弾がなくなれば、植木鉢に隠した銃を取り出して、再び引き金を引く。
しびれたぁ〜。
その後もウー様は、『男たちの挽歌II』、『アゲイン/男たちの挽歌III』、
『狼 /男たちの挽歌・最終章』、『ハードボイルド/新・男たちの挽歌』、
ハリウッドに渡ってからの『フェイス・オフ』等で、
華麗なるガン・アクションを披露し、多くの観客を虜にしてきた。
その虜になった中の1人が、『シューテム・アップ』を撮ったマイケル・デイヴィス監督だ。
『シューテム・アップ』 5/31より渋谷東急ほか全国にて 配給会社:ムービーアイ エンタテインメント |
ひょんなことから子連れ狼となったクライブ・オーウェン演じるホームレス・スミスが、
赤ちゃんを守るべく、拳銃両手に組織に立ち向かう。
上映時間86分のうち、3分の2は銃を撃っているんじゃないか?ってぐらい、
銃を撃ちまくっている。
資料によると銃弾2万5千発!
しかも闇雲に撃っているわけではない。
「アクション映画オタク」を自認するマイケル・デイヴィス監督は、
ジョン・ウー大好き節を随所に散りばめている。
スミスの部屋での銃撃シーンなんかはその最たるもの。
で、さらに凄いのは、かなりの量のアクション・シーンがあるにも関わらず、
アクション映画大好きな伊藤Pが見ても新鮮と感じるアクション・シーンがてんこ盛り。
ヒロインのモニカ・ベルッチ演じる娼婦ドンナとセックスしながら、
ガン・アクションを繰り広げたりする。
偉大なるジョン・ウー監督に敬意を払いつつも、
ちゃんとオリジナリティ溢れるアクション・シーンを考えるあたりが素敵だね。
音楽も伊藤P好みのハードロック。
モトリー・クルーの「Kickstart My Heart」で、オレの心がキックされ、
AC/DCの「If You Want Blood (You've Got It)」で、オレの血が騒ぎ出す。
まぁ、問題点を挙げるとすれば、最近のジョン・ウー作品よりも面白いってことか!?
マイケル・デイヴィス監督、早くも師匠越え!?
『ホット・ファズ〜俺たちスーパーポリスメン!〜』のエドガー・ライト監督といい、
アクション映画全盛期に少年だった伊藤Pと同世代の監督が、
「俺たちの見ていたアクション映画」をグレードアップして、
現代に産み出してくれているのは嬉しい限りだ!
って、思っていたらマイケル・デイヴィス監督1961年生まれの47歳だった・・・
お、おっさん、やるねぇ!
しかし、今年は
『シューテム・アップ』、『ホット・ファズ〜俺たちスーパーポリスメン!〜』、
『ヒットマン』、アンジェリーナ・ジョリー主演『ウォンテッド』と二丁拳銃がブームだね。
さてさて、そんなこんなで、
『シューテム・アップ』は素晴らしいアクション映画なのですが、
『ランボー 最後の戦場』同様、映倫の審査でR−15(15歳以下鑑賞不可)に指定された。
確かに、血しぶきが飛ぶし、残酷なシーンもたくさんあるけど、
今の少年たちがアクション映画を見られない環境は、本当に残念だ。
伊藤Pたちがそうであったように、この手の映画は少年たちが見たがる。
大切な客層だから、興行的にも少なからず影響を及ぼしていると思うんだよね。
こんなことを言ってはなんだが....
健全たる少年たちよ!内緒で見ちまえ!!!