昔、おばあちゃんが言いました。
“暑い夏には熱いものを飲みなさい”
そして、今、伊藤Pが言います。
“暑い夏には暑い映画が見なさい”
昨日取り上げた『ホット・ファズ』もHOTだけど、
『クライマーズ・ハイ』も熱い。
『クライマーズ・ハイ』 7/5より丸の内TOEI1ほか全国にて 配給会社:東映、ギャガ・コミュニケーションズ |
1985年8月12日。
群馬県御巣鷹山に散った520名の命。
日航機墜落事故を追いかけた地方新聞社の記者たちの壮絶なる1週間を描いた人間ドラマ。
今から5年前、横山秀夫の原作を読んだ時の興奮が忘れられない。
この本は伊藤Pの生涯ベスト5本に認定された。
映画と原作は違うとはいえ、『終戦のローレライ』、『亡国のイージス』など、
生涯本の映画化がことごとく失敗こいているので、
『クライマーズ・ハイ』も気が気じゃない。
しかも、監督は誰あろう、
“原作を読んでいないと理解できない映画を作る天才”原田眞人。
「うわぁぁぁ・・大丈夫かいなぁ〜」と不安大先行の状況で鑑賞開始。
冒頭の小川のシーンのセリフが無茶苦茶聞き取り難く、
“やべぇ、出た原田眞人節。2時間半これ?”
という失望感に襲われるも、以降はモリモリ盛り返し!
素晴らしかったっす。
細かい編集、振れまくるカメラ、セリフの応酬と、
原田眞人節を炸裂させながらも、原作にあるポイントを上手く散りばめ、
一本の線にしてドラマチックに盛り上げてくれました。
組織の中で上と下とに挟まれながら苦悩し、
部署間や上司との軋轢と戦う主人公悠木。
それについていく部下や仲間たちの姿に、原作同様、目頭が熱くなりました。
地方紙の弱みと強み。
プライドと意地。
熱い。本当に熱い。
こういう情熱と信念を持って仕事をしている人が一体、今の日本にどれほどいるのか?
(伊藤Pは・・・・あはははははっ!笑って誤魔化そう)
堤真一演じる悠木と、同僚の等々力役遠藤憲一との居酒屋バトルとか、
喧嘩しているのに根底に流れる仲間の絆を感じてしまう。
う〜、たまんねぇよぉぉぉ。あちぃぃよぉぉぉ
この言い争いがあるから、後の展開がよりグッくるんだよねぇ。
熱い人たちを見ている観客も熱くなる。
伊藤PはGyaOのスタッフ数名と一緒に見たのですが、
鑑賞直後、原作と映画に関する熱い思いを記したメールが飛び交った。
それ程熱い。
全権デスクを任せられた悠木は、やり場のない怒りをゴミ箱にぶつけて、
思いっきり蹴飛ばす。
この映画がヒットして、多くの人が見てくれたら、
日本の企業で怒りながらゴミ箱を蹴飛ばす、
『クライマーズ・ハイ』ゴッコが流行るかも!
そうだ!熱くなれ!!
社内ヒートアイランド現象だ!!
やっぱり仕事には誇りを持たないといけない!!
日本を活性化させるのだ!!
って、違うベクトルに向かってしまいましたが、
本当に熱い作品です。
久しぶりにしびれましたよ、原田監督!
でも、、ちょっとだけ残念な点もある。
原作にあったもっとも好きな、
「何で山に登るんだ」
「下りるために登るんさ」
というセリフがかなり軽視されていること。
この言葉は本当に重要だ。
このセリフは、人生の縮図を表していると感じた。
人生いろいろあるけど、人はそれを乗り越えて強くなっていく。
その困難が山であり、登ったら降りる。
山を登った達成感。
困難を乗り越えた達成感。
人生はそれの繰り返し。