『ダークナイト』、『アイアンマン』といったアメコミ映画化の先陣を切って、
日本で公開されるのは『インクレディブル・ハルク』。
『インクレディブル・ハルク』 8/1より有楽町スバル座ほか全国にて 配給会社:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント |
「あれ?『ハルク』ってちょっと前になかったっけ?」
と、あまり映画に詳しくない人は思うでしょう。
その『ハルク』は、劇中ハルクがピョンピョンと遥か彼方に飛んで行き、
完全にお客さんを置き去りにしてしまったアン・リー版『ハルク』。
今回の『インクレディブル・ハルク』は、続編でもなんでもなく、
ハルクというキャラクターを全く新しいアプローチで捉えた作品だ。
ハルクのキャラクターそのものが“根暗”なのもあるけど、
アン・リー版『ハルク』は、ひたすら暗くて悲しい。
救いが無い。
ヒーローものに関わらず、スカッと感もまるで無い。
スパイダーマンもバットマンも自己とヒーローとの両立に苦しむんだけど、
敵を倒すという点においての達成感はあった。
でもアン・リー版『ハルク』の敵は、人間(アメリカ軍?)だ。
やる前から勝敗が判っているから面白くもなんともない。
とにかく、アン・リー版『ハルク』には、あまり良い印象が無い。
なんでハルクに変身した時に、パンツだけ破けないのかも疑問だった。
と・こ・ろ・が!
今回の『インクレディブル・ハルク』は、それらの不満や疑問を全て駆逐する。
まず、ハルクに変身してしまうことに対して、
ネガティブだった主人公のブルース・バナーの心境の変化が良い。
ポジティブ・シンキングによって、苦境をプラスに変えてしまう。
これって、ブルース・バナーに関わらず、我々の日常生活でも大切なことだと思う。
仕事が上手く行かない、親がムカツクというだけで、
赤の他人を切りつけるバカ野郎どもは、少しブルース・バナーを見習うべきだね。
そして、個人的にはヒーローものには、強い敵が必要だと思っている。
敵が強ければ強い程良くて、その強い敵を倒してこそ、ヒーローとしての輝きが増す。
今回はハルクに見合う強烈な敵が登場する。
映画を見る楽しみがなくなるので、あまり多くは語らないけど、
ハルクと敵の肉弾戦はかなり熱い。
その戦いに至るまでの両者の道程がきちんと描かれているからこそ、
戦いそのものにドラマが生まれる。
幻のハンセンVSブロディをイメージしてしまった。
また、アン・リー版『ハルク』で、スンゲー気になったパンツが破けない理由も、
『インクレディブル・ハルク』ではきちんと描いている。
映像も勿論凄いんだけど、何よりも内面的な部分での進化が本作最大の魅力であり、
派手だけで中身が無いポップコーン・ムービーと一線を画す重要なポイントでしょう。
この進化の功労者は、ブルース・バナーを演じたエドワード・ノートン。
ポスター等に脚本家としてクレジットされているエドワード・ハリソンは、
いろいろあって実名は出せなかったらしいんだけど、実はエドワード・ノートン。
ハルクのキャラクターを活かした全く新しい内容を考えて、
マーベル(原作コミックの出版社)にプレゼン。
マーベルの了解を得てから脚本を書いたとのことで、
ノートンの考えや意向がかなり本作に反映されている。
優れた脚本だからこそ、
ウィリアム・ハート、ティム・ロスといった実力派俳優も出演する。
ついでにヒクソン・グレイシーも出演しちゃう!
監督が『トランスポーター』シリーズのルイ・レテリエなんで、
“大丈夫?”という不安があったけど、脚本が良いと監督も冴えるね。
『トランスポーター』の脚本って誰だっけ?
あっ、リュック・ベッソンだった。
流石、イエール大学に在籍していた秀才ノートンは、違うねぇ〜。
因みにノートンのミドル・ネームは“ハリソン”。
『インクレディブル・ハルク』 ※エドワード・ノートン インタビュー 動画(8/15UP) & テキスト ※エドワード・ノートン取材記 |
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「インクレディブル・ハルク」★★★
エドワード・ノートン、リヴ・タイラー 主演
ルイ・レテリエ 監督、2008年、アメリカ、112分
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プロフィール
伊藤一之<♂>
2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。
本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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