鳥インフルエンザのその後が気になる今日この頃ですが、
M・ナイト・シャマラン監督の最新作です。
『ハプニング』 7/26より日劇3ほか全国にて 配給会社:20世紀フォックス映画 |
『ヴィレッジ』でややそのコケオドシな展開に飽きが来て、
『レディ・イン・ザ・ウォーター』で完全にサヨウナラ状態に陥っていた。
アメリカでの興行もボチボチだったし、
知り合いのライターさんの評価も高くなかった。
なので、あまり期待しないで見た。
いやー、映画ってやっぱり期待しちゃダメなんですね。
結構好きです。
怖くて、面白かったですよ。
突然、人々に襲い掛かる異常現象。
エリオットとアルマの夫婦は、見えない脅威から必死に逃げるよとする。
観客がどうしたら不安になるかという演出のツボを、
シャマラン監督は心得ているね。
過去の作品で使った手法を用いているんだけど、
基本的なテクニックってそんなに変わらないと思うんで、
何度使っても怖いと思わせちゃう。
やっぱり基礎は大切だね。
斬新な手法やトリッキーなことしなくても十分怖いんだよ。
不安になって、怖いって思わせるシーンが何回もある。
直接的に見せちゃうゴアシーンもあるけど、
何も変なモノが映っていなくても不安になり、怖いと感じさせる。
例えば、冒頭のセントラルパークのシーン。
公園を闊歩している大勢の人たちが突然停止する。
手がブラブラしたり、体が揺れていることから生身の役者が、
単に静止しているだけなのでしょう。
撮影風景を想像すると物凄い滑稽だよね。
「はい!みんな、ストップ!」って静止のパントマイムしているだけ。
あと、風がキーになるんだけど、
これだって、木や葉っぱや草が風に揺れてざわめいているだけ。
撮影の際は、巨大な扇風機で風を起こしていたのかな?ってね。
モデルルームで観葉植物が揺れる恐怖シーンがあるんだけど、
一歩も違えたら大爆笑のシーンだ。
清水崇監督が「恐怖と笑いは紙一重」って言っていたけど、
どっちに転ばすかは監督の力量だと思う。
あと、カットの割り方、カメラのアングル、サイズだけでビビらせる。
本作もそうだけど、シャマラン作品は物語自体が突飛なので、
パッと見、トリッキーな映画に見えるけど、
とてもオーソドックスなんだなぁーって改めて思った。
やっぱりヒッチコックだよ。
それと音の使い方も上手い。
風の音、ガラスの割れる音、人との距離感をミスデレクションする声のインサート。
ただ、相変わらずずるいのは、「ドン!」というやっちゃいけない効果音。
この手法は『シックスセンス』のオスメント君の夜のオシッコシーンや、
『サイン』の宇宙人@ブラジルの笑撃シーンでも使っているんだけど、
本来ない音を脅かすためだけに付け加えている。
そんりゃ、いきなりデカイ音で「ドン!」ってやられたらビビるよ!
今回もとあるシーンで「ドン!」があるので、お楽しみに!
そんなこんなな『ハプニング』ですが、
今までのシャマラン監督作品とはちょっと違うといえば違うので、
“驚愕のラスト!”とかを求めるとちょっと肩透かしを喰らうと思います。
展開的にも“納得いかない”部分が多々あるとも思います。
でも、今回のテーマのひとつが、
そういう未知の脅威に対する警告なので、
あまり科学的な根拠とかを求めないほうが良いでしょう。
まぁ、要するに冒頭に述べたとおりですよ。
期待するな。
シャマラン監督から恐怖演出テクニックを聞きだしたぞ! 『ハプニング』 ※M・ナイト・シャマラン監督 インタビュー 動画 & テキスト |
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「ハプニング」★★★
マーク・ウォルバーグ主演
M・ナイト・シャマラン監督、2008年、91分
それはニューヨークのセントラルパークから... [詳しくはこちら]
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プロフィール
伊藤一之<♂>
2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。
本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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