2008年07月25日更新

#256 『ハプニング』

鳥インフルエンザのその後が気になる今日この頃ですが、
M・ナイト・シャマラン監督の最新作です。




ハプニング
『ハプニング』
7/26より日劇3ほか全国にて
配給会社:20世紀フォックス映画




『ヴィレッジ』でややそのコケオドシな展開に飽きが来て、
『レディ・イン・ザ・ウォーター』で完全にサヨウナラ状態に陥っていた。


アメリカでの興行もボチボチだったし、
知り合いのライターさんの評価も高くなかった。
なので、あまり期待しないで見た。


いやー、映画ってやっぱり期待しちゃダメなんですね。


結構好きです。


怖くて、面白かったですよ。


突然、人々に襲い掛かる異常現象。
エリオットとアルマの夫婦は、見えない脅威から必死に逃げるよとする。


ハプニング


観客がどうしたら不安になるかという演出のツボを、
シャマラン監督は心得ているね。


過去の作品で使った手法を用いているんだけど、
基本的なテクニックってそんなに変わらないと思うんで、
何度使っても怖いと思わせちゃう。


やっぱり基礎は大切だね。


斬新な手法やトリッキーなことしなくても十分怖いんだよ。


不安になって、怖いって思わせるシーンが何回もある。


直接的に見せちゃうゴアシーンもあるけど、
何も変なモノが映っていなくても不安になり、怖いと感じさせる。


例えば、冒頭のセントラルパークのシーン。
公園を闊歩している大勢の人たちが突然停止する。


手がブラブラしたり、体が揺れていることから生身の役者が、
単に静止しているだけなのでしょう。


撮影風景を想像すると物凄い滑稽だよね。
「はい!みんな、ストップ!」って静止のパントマイムしているだけ。


あと、風がキーになるんだけど、
これだって、木や葉っぱや草が風に揺れてざわめいているだけ。


撮影の際は、巨大な扇風機で風を起こしていたのかな?ってね。


モデルルームで観葉植物が揺れる恐怖シーンがあるんだけど、
一歩も違えたら大爆笑のシーンだ。


清水崇監督が「恐怖と笑いは紙一重」って言っていたけど、
どっちに転ばすかは監督の力量だと思う。


あと、カットの割り方、カメラのアングル、サイズだけでビビらせる。


本作もそうだけど、シャマラン作品は物語自体が突飛なので、
パッと見、トリッキーな映画に見えるけど、
とてもオーソドックスなんだなぁーって改めて思った。
やっぱりヒッチコックだよ。


それと音の使い方も上手い。


風の音、ガラスの割れる音、人との距離感をミスデレクションする声のインサート。


ただ、相変わらずずるいのは、「ドン!」というやっちゃいけない効果音。


この手法は『シックスセンス』のオスメント君の夜のオシッコシーンや、
『サイン』の宇宙人@ブラジルの笑撃シーンでも使っているんだけど、
本来ない音を脅かすためだけに付け加えている。


そんりゃ、いきなりデカイ音で「ドン!」ってやられたらビビるよ!


今回もとあるシーンで「ドン!」があるので、お楽しみに!


ハプニング


そんなこんなな『ハプニング』ですが、
今までのシャマラン監督作品とはちょっと違うといえば違うので、
“驚愕のラスト!”とかを求めるとちょっと肩透かしを喰らうと思います。


展開的にも“納得いかない”部分が多々あるとも思います。


でも、今回のテーマのひとつが、
そういう未知の脅威に対する警告なので、
あまり科学的な根拠とかを求めないほうが良いでしょう。


まぁ、要するに冒頭に述べたとおりですよ。


期待するな。






シャマラン監督から恐怖演出テクニックを聞きだしたぞ!
『ハプニング』
※M・ナイト・シャマラン監督 インタビュー 動画 & テキスト

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「ハプニング」★★★ マーク・ウォルバーグ主演 M・ナイト・シャマラン監督、2008年、91分 それはニューヨークのセントラルパークから... [詳しくはこちら]

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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