2008年08月20日更新

#265 『デトロイト・メタル・シティ』

前回に引き続きメタル系の映画。




dmc
『デトロイト・メタル・シティ』
8/23より全国にて
配給会社:東宝
(C)2008「デトロイト・メタル・シティ」製作委員会




メタル・ファンにも関わらず、
手にしたことのなったコミック「デトロイト・メタル・シティ」。


ビジュアルぐらいは見たことがあったので、
松山ケンイチ主演で実写映画化と聞いた時に、
いくらメイクでもあんな顔は無理だろうと思った。


しかし、手元に届いた映画の宣材写真を見てたまげた。
に、似ている・・・


そして、コミックを見ないまま映画『デトロイト・メタル・シティ』を見たのですが、
面白かった。


まず、松山ケンイチを筆頭に役者が良い。


松山ケンイチはカメレオン俳優と言われているけど、本当にそう思う。


最近だと『デスノート』のLが印象的なわけですが、
Lと同じぐらい強烈なヨハネ・クラウザーII世を演じきれちゃうのが凄い。


強烈な役を演じると、俳優そのものに色がついてしまう。
例えば、『サイコ』でノーマン・ベイツを演じたアンソニー・パーキンスや、
『スーパーマン』シリーズでスーパーマンを演じたクリストファー・リーブは、
常にベイツ、スーパーマンのイメージで見られ、
これ以外の役に全くと言って良いほど恵まれないまま、この世を去った。


所謂、アタリ役というのは、役者にとって最大の悲劇を招く可能性を秘めている。


まぁ、元々、松山ケンイチはいろんな役を演じてきている役者さんなので、
そこまで心配することもないんだけどね。
恐らく、1色に染まりたくないからこそ、いろんな役にチャレンジしているんだと思う。


で、更にクラウザーII世の本当の姿である根岸崇一も見事に演じている。


クラウザー様と根岸君は正反対だけど、同一人物。
その間に揺れる苦悩と悲哀を抜群のセンスで表現している。


この本来の姿と表向きの姿の間で揺れる心情は、
アメコミ・ヒーローたちの葛藤に通ずるものがあるね。


いやー、凄いよ。


勿論、李闘士男監督の演出や、大森美香の脚本に助けられている部分もあると思うけど、
松山ケンイチの演技が滑ってしまったら、この作品は失敗作になってしまう。
相当なプレッシャーだったことでしょう。


それからクラウザーII世率いるデスメタルバンドが所属する、
デスレコードのSな社長を演じた松雪泰子もぶっ飛んでいる。


dmc


この手のキャラはやり過ぎたら寒いから、とても難しいと思うし、
松雪泰子という女優が、こういう役をやったことに驚いた。


どちらかというと、過去を引きずった幸の薄そうな役が多いからね。


本作を見た後、『容疑者Xの献身』を見たのですが、
同じ女優さんですか?ってぐらいまるで違った。
(こっちの役の方がシックリくるんだけどね)


あと、加藤ローサも良かったな。


dmc


ドギツイキャラが多い中、加藤ローサ演じる相川さんは普通の女の子。
元々、加藤ローサのイメージ自体がそうなんだけど、
「根岸君と見ている観客の安らぎの場」という役割をキチンと果たしている。


ヒロインが可愛らしくなくて、少しでも観客の反感を買ってしまうと、
根岸君の葛藤というこの作品の重要な要素が成り立たなくなる。


他のキャストも良い。
みんなはまっていた。


てな感じで、本当に映画って役者が重要なんだなぁーと痛感させられた。


デスメタルが題材ということで、抵抗感を覚える人もいるかもしれないけど、
基本、コメディなので、楽しんで見ることが出来ると思います。


また、伊藤Pがそうだったように、原作コミックを読まなくても、
十分楽しめます。


逆にコミックのファンはどう感じたのだろうか・・・?


『デトロイト・メタル・シティ』
※松山ケンイチ インタビュー 動画 & テキスト

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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