前回に引き続きメタル系の映画。
『デトロイト・メタル・シティ』 8/23より全国にて 配給会社:東宝 (C)2008「デトロイト・メタル・シティ」製作委員会 |
メタル・ファンにも関わらず、
手にしたことのなったコミック「デトロイト・メタル・シティ」。
ビジュアルぐらいは見たことがあったので、
松山ケンイチ主演で実写映画化と聞いた時に、
いくらメイクでもあんな顔は無理だろうと思った。
しかし、手元に届いた映画の宣材写真を見てたまげた。
に、似ている・・・
そして、コミックを見ないまま映画『デトロイト・メタル・シティ』を見たのですが、
面白かった。
まず、松山ケンイチを筆頭に役者が良い。
松山ケンイチはカメレオン俳優と言われているけど、本当にそう思う。
最近だと『デスノート』のLが印象的なわけですが、
Lと同じぐらい強烈なヨハネ・クラウザーII世を演じきれちゃうのが凄い。
強烈な役を演じると、俳優そのものに色がついてしまう。
例えば、『サイコ』でノーマン・ベイツを演じたアンソニー・パーキンスや、
『スーパーマン』シリーズでスーパーマンを演じたクリストファー・リーブは、
常にベイツ、スーパーマンのイメージで見られ、
これ以外の役に全くと言って良いほど恵まれないまま、この世を去った。
所謂、アタリ役というのは、役者にとって最大の悲劇を招く可能性を秘めている。
まぁ、元々、松山ケンイチはいろんな役を演じてきている役者さんなので、
そこまで心配することもないんだけどね。
恐らく、1色に染まりたくないからこそ、いろんな役にチャレンジしているんだと思う。
で、更にクラウザーII世の本当の姿である根岸崇一も見事に演じている。
クラウザー様と根岸君は正反対だけど、同一人物。
その間に揺れる苦悩と悲哀を抜群のセンスで表現している。
この本来の姿と表向きの姿の間で揺れる心情は、
アメコミ・ヒーローたちの葛藤に通ずるものがあるね。
いやー、凄いよ。
勿論、李闘士男監督の演出や、大森美香の脚本に助けられている部分もあると思うけど、
松山ケンイチの演技が滑ってしまったら、この作品は失敗作になってしまう。
相当なプレッシャーだったことでしょう。
それからクラウザーII世率いるデスメタルバンドが所属する、
デスレコードのSな社長を演じた松雪泰子もぶっ飛んでいる。
この手のキャラはやり過ぎたら寒いから、とても難しいと思うし、
松雪泰子という女優が、こういう役をやったことに驚いた。
どちらかというと、過去を引きずった幸の薄そうな役が多いからね。
本作を見た後、『容疑者Xの献身』を見たのですが、
同じ女優さんですか?ってぐらいまるで違った。
(こっちの役の方がシックリくるんだけどね)
あと、加藤ローサも良かったな。
ドギツイキャラが多い中、加藤ローサ演じる相川さんは普通の女の子。
元々、加藤ローサのイメージ自体がそうなんだけど、
「根岸君と見ている観客の安らぎの場」という役割をキチンと果たしている。
ヒロインが可愛らしくなくて、少しでも観客の反感を買ってしまうと、
根岸君の葛藤というこの作品の重要な要素が成り立たなくなる。
他のキャストも良い。
みんなはまっていた。
てな感じで、本当に映画って役者が重要なんだなぁーと痛感させられた。
デスメタルが題材ということで、抵抗感を覚える人もいるかもしれないけど、
基本、コメディなので、楽しんで見ることが出来ると思います。
また、伊藤Pがそうだったように、原作コミックを読まなくても、
十分楽しめます。
逆にコミックのファンはどう感じたのだろうか・・・?
『デトロイト・メタル・シティ』
※松山ケンイチ インタビュー 動画 & テキスト