ウィル・スミスが演じる嫌われ者のヒーローの姿を描いた娯楽超大作『ハンコック』。
『バットマン』、『スパイダーマン』等々と違って、
こちらは映画オリジナル。
『ハンコック』 8/30より丸の内ピカデリー1ほか全国にて 配給会社:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント |
不死身な体で飛び回って人助けをするけど、
いつもやり過ぎてみんなから嫌われるというヒーローの設定がとても面白い。
破壊だけでなく、生意気な子供に対しても容赦しない大人気のなさを、
映画のモラルを超越して、ギャグにしてしまっている。
そして、偶然命を助けたPRマンのレイが、
ハンコックのイメージを良くしようと動き出すくだりも楽しい。
レイ自身がやり手でないところがまたポイントで、
刑務所なんて簡単に脱走出来る能力を持つハンコックに
「今までの罪を償うために刑務所に入れ」という指示を出す。
しかもハンコックはしぶしぶながら従う。
お茶目だ。
シャーリーズ・セロン演じるレイの妻メアリーは、ハンコックに好感を持っていないが、
普通に嫌いなのではなく、なんだか意味深な態度で毛嫌いする。
ハンコックとレイ、ハンコックとメアリーのやり取りは、
それぞれが漫才みたいで、なかなかおかしい。
刑務所での出来事もケツの穴エピソードとか、結構笑える。
しかしながら、ハンコックが髭を剃って、善人になった辺りから、
雲行きが怪しくなってくる。
ハンコックのシニカルな言動が、作品全体をブラックなユーモアに包み込んでいて、
気楽に心地よく見れていたのに、それが薄らいでしまう。
そして、メアリーがハンコックを煙たがっていた理由が、明らかになるんだけど、
その突然のハチャメチャな展開に唖然とさせられた。
隣で見ていた男性は、思わず「なんだよそれ」と失笑していた。
あまりここで語るとネタバレになるので、書けないのですが、
強引だし、なんだか説明不足な点もあり、訳の分からないまま事が進んで行ってしまう。
前半のライトさが嘘みたいな、後半の暗〜い展開にちょっと戸惑う。
役者の見栄えも、
前半の無精髭はやした小汚い格好の方が、
ボディ・スーツに身を包んだ小奇麗な格好よりウィル・スミスらしい。
ウィス・スミスって、髭があるとないとでは、顔がぜんぜん違うんだね。
髭がないとかなり精悍で、ザ・ロック様に似ている。
シャーリーズ・セロンも、レイの妻である清楚で、薄いメイクの方が、
メチャクチャな展開になった後の姿より断然美しかったな。
あと、この映画の特徴であり、欠点でもあるのが、「敵がいない」ということ。
一応、敵は出てくるには出てくるけど、
普通の人間なのでハンコックと対峙させても、絵にならないし、大いに役不足。
敵がいないのに90分間、ヒーロー映画として成立させている点は、
確かに今までに無いヒーロー映画なのかもしれない。
“何故、敵がいないのか?”という理由に関しても、伊藤Pなりの解釈はある。
これについては、今度別の機会で触れようと思っているけど、
やっぱり、ヒーローは強い敵、宿敵がいてこそだと思うんだよね。
アン・リーの『ハルク』が敵不在で消化不良だったのに対して、
『インクレディブル・ハルク』には、ハルクと同等かそれ以上のパワーを持つ敵が登場して、
ハルクと敵との戦いが、クライマックスになっている。
『ダークナイト』でも、宿敵ジョーカーが大暴れして、バットマンを悩ませる。
やっぱりヒーローものはこうでなくっちゃ!
しかしながら、トム・クルーズの低迷が象徴するかの如く、
最近めっきり減ってしまったハリウッドの「オレ様ムービー」。
ウィル・スミスには引き続き、「俺様ムービー」のジャンルで頑張ってもらいたいね。
「オレ様ムービー」の条件をほとんどクリアしているよ。
『ハンコック』は。
シャーリーズはいらない。ポスターはオレ様だけで良い
※『ハンコック』ウィル・スミス&シャーリーズ・セロン インタビュー テキスト
※『ハンコック』ウィル・スミス&シャーリーズ・セロン 取材記
コメント (2)
どうもこんにちわ。
突然ですが、僕は「ああ、俺のブログ」という映画紹介のブログをやっている管理人です。
よければリンク貼ってください。お願いします。
ああ、俺のブログ→http://foxsnake.blog39.fc2.com
投稿者: FOX | 2008年08月27日 09:08
>FOXさん
コメントありがとうございます。
リンクはチーと貼れないのですが、関連がありそうな内容の記事にトラックバックしていただけましたら、
必ず“公開”しますよ!
ブログ拝見させて頂きましたが、映画の守備範囲はニアですね。
投稿者: 伊藤P | 2008年08月27日 21:28