『WHO AM I?』と『NEW POLICE STORY/香港国際警察』は、
それぞれ1990年代と2000年代のジャッキー・チェン出演作品のベストだ。
この2作品を監督したベニー・チャンが、
ニコラス・ツェー、ショーン・ユー、ジェイシー・チャンという、
毛色の違う3人の若手(?)俳優を使って取り上げたのが、
『インビジブル・ターゲット』
『インビジブル・ターゲット』 8/30よりシネマスクエアとうきゅうほか全国にて順次公開 配給会社:アートポート (c)2007 Universe Entertainment Limited, Sil-Metropole Organisation Ltd., Guangzhou Ying Ming Media Co., Ltd. ALL RIGHTS RESERVED |
かつての勢いを失ってしまった香港アクション映画。
その全盛期のアクションの品質を目指して撮った作品だ。
物語はやや複雑なので、省かせてもらうけど、
ベニー・チャン監督の何とかしたいという思いは、
大いにスクリーンから伝わってきた。
格闘シーンは勿論、銃撃シーン、追跡シーン、過剰なまでの爆発シーンなど、
テンコ盛り盛りの内容。
主演の3人もそれぞれアクション・シーンを披露している。
特にニコラス・ツェーは、一番の運動量だ。
危険なスタントを果敢にこなしている。
ショーン・ユーも『軍鶏 Shamo』のインタビューで、
“アクションはきつい”と漏らしていた割には、やることはやっている。
ジャッキー・チェンの実の息子であるジェイシー・チャンに関しては、
アクションにベクトルが向いていないそうで、
アクションよりも顔芸・・・おっと失礼、感情表現の方により重きを置いているようだ。
この3人のコラボレーションは、やはり新鮮だし、面白い。
ジャッキーやジェット・リーと違って基礎がある俳優ではないので、
一生懸命、頑張っているのが良くわかる。
でもね、厳しい言い方をすると、香港アクションの場合、
“頑張っている”じゃなくて、“スゲェ!、カッコイイ!”と思わせてこそなんだよなぁ。
香港映画じゃなかったら、大満足なんだろうけど、
過去に偉大なるアクション・スターがいすぎて、
どうしてもそのレベルを求めてしまう自分がいる。
ちょっと欲張り過ぎだって判っているんだけどね。
そんな中で、敵役を演じたウー・ジンが良い。
『SPL/狼よ静かに死ね』でみせた、狭い通路でのドニー・イェン戦。
これが強烈に印象に残っている。
今回も、こいつには絶対に勝てないよ・・・という強敵演じている。
別の回でも書いたけど、悪役が強くないとアクション映画はダメなんだ。
その点、ウー・ジンは技に切れと説得力があるし、
面構えがふてぶてしいので、ピタンコのキャスティングだ。
『SPL/狼よ静かに死ね』の時にインタビューさせてもらったんですけど、
やっぱりちょっと態度Lな感じだったので、
悪役向きなのかな・・・
でも出来る次世代アクション・スターがいない現在、
ウー・ジンの存在はとても貴重だ。
悪役しか見ていないので、善人役を見てみたいなぁ〜。
最後に余談ですが、伊藤Pにとって今年の夏は貴重な取材が多かった。
ジャッキー・チェン本人を筆頭に、
ベニー・チャン、ミッシェル・ヨーとジャッキーと縁のある人たちに、
取材することが出来るなんて・・・
そして、伊藤Pのサマー・オブ・ジャッキーの最後を飾るのは、
ジェイシー・チャン!
一夏で、ジャッキー親子に取材出来るなんてことはなかなかないでしょう。
と思っていたら、宣伝担当の方から本日電話があり、
「ジェイシーは既に来日しているのですが、日本でおたふく風邪にかかりまして、
取材をして頂くことが出来なくなりました」
爆!!!
※『インビジブル・ターゲット』ベニー・チャン監督 インタビュー テキスト