急遽、出演者の奥菜恵さんの取材が出来ることになり、
今日、落合正幸監督のハリウッド映画『シャッター』の試写に行った。
場所は20世紀フォックスの試写室。
この試写室の一番前のど真ん中が伊藤Pの定位置なので、
いつも通りそこに座る。
一番前の列は誰も座っていなかったんだけど、
開映直前に2席間を空けて、左右に男性が1人ずつ座った。
右側に座った男性は、名前は知らないけど、
何度か試写室で見かけた顔のおじさんで、
この人は試写の最中にブツブツ独り言をいう癖がある。
正直、“ゲッ”と思った。
で、上映が始まると危惧したとおり、
ブツブツと言い出した。
あと、体が大きいうえにやたらと動く。
伊藤Pよりも彼の後ろで見ていた人が辛いかもって。
と、右側にばかり意識が向いていたのですが、
思わぬ方向から突然、攻撃が始まった。
映画の中盤に差し掛かり、後ろから飴の包みを開けようとする、
ガサガサという雑音が鳴り始めた。
試写室は「飲食禁止」なのですが、
まぁ、飴ぐらいは仕方ないし、
ガサガサ音はいずれ消えるだろうと思い、気にしないようにしていた。
がっ!
“あんたサッサと包み破りなさいよ!”ってぐらい長い間、
ガサガサガサガ。
いい加減うるさいから、後ろ振り返って「うるさいです」と言ってしまった。
で、その雑音の元凶は、後ろの列に座った赤ら顔の初老の男性だったんだけど、
表情ひとつ変えない。
その後もガサガサ。
そのガサガサは暫くしたら消えたんだけど、
その後も何の音か不明の雑音を時折出していた。
そして、終盤に差し掛かり、いよいよクライマックス、
スクリーンには恐怖シーンが!
全然、怖くないなぁーなんて思っていたら、
突然、後ろから左肩を何かに押されてドキッ!とした。
“えっ?何?リアルに観客を脅かす新手のホラー映画なの?”
と思って、左後方を見ると黒い靴下を履いた足先が見えた。
“えっ!?”
足の主はさっきから雑音を出しまくっている初老のオッサンだった。
そのオッサン、靴脱いで、足を前の座席と座席の隙間に入れてきたってことだ。
誰も前に座っていないんだったら、まだしもいるわけですよ。
流石に頭に来てので、後ろを振り返って睨み付けた。
でもそのオッサンは謝るどころか、表情ひとつ変えない。
もう10年以上、試写室で映画見させてもらっているけど、
こんなに不愉快な気持ちになったのは初めてだよ。
途中から入ってくる、携帯鳴らす、携帯に出る、いびきをかいて寝る、
ガムをクチャクチャ噛む、私語をする、椅子を蹴られるとか、
たくさん嫌な気分にさせられたけど、流石に今日のようなことはなかった。
足だよ!足!
足で肩をど突かれたんだよ!
故意じゃなかったとしても、
普通、謝るよね?
で、2回このオッサンの顔を見て、随分前のある試写のことを思い出した。
今はもうない旧東宝試写室で、『微笑みに出会う街角』を見た時、
これまた一番前に座っていたのですが、後ろの人が何度も何度も椅子を蹴った。
ボコッ、ボコッってね。
したら、伊藤Pじゃなくて、隣に座っていた人が後ろを振り返り、
「蹴るのやめて下さい」って注意をしてくれた。
良かった良かったと思っていたら、また蹴りだした。
さっきの人がまた「いい加減にしてください」と注意したんだけど、
それでも続いた。
伊藤Pも気になったので、後ろを振り返ったんだけど、
赤ら顔の初老のオッサンだった。
上映終了後、多くの人が宣伝担当の人に苦情を言っていた。
伊藤Pは何も言わずに、8階から階段で下に降りた。
すると、途中の階のベンチにそのオッサンが座っていた。
思わず目線が合う。
なんか腹話術の人形みたいに、ちょっと笑ったような顔で、
ジッーと伊藤Pの方を見る。
キモモモモモモォォォ
この『微笑みに出会う街角』の時のオッサンと、
今回のオッサンは恐らく同一人物だと思う。
上映終了後に一言文句言ってやろうかと思っていたら、
エンドロールが始まるや否や、そのオッサンはさっさと出て行った。
“映画はエンドロールまで見る”
これが伊藤Pの映画鑑賞のマナー。
なので、後は追わなかったんだけど、
顔はしっかり覚えた。
今度何かやってくれたら、絶対に一言言ってやる。
ちゅうかさ、もう試写室来ないで。