自転車ロードレースに情熱を注ぐ高校生たちを描いた熱血青春映画。
『シャカリキ!』 9/6より渋谷東急ほか全国にて 配給会社:ショウゲート (C)2008「シャカリキ!」製作委員会 |
冷めた時代には珍しいぐらい熱い奴等が出てくる作品だった。
個人的には誰かに迷惑をかけないといったような常識の範囲内で、
何かに情熱を燃やすことはいいことだし、大切なことだと思っている。
自分だって「映画を伝える」という情熱を持っているつもりだ。
つもりね・・・つもり・・・ほら、伝わっていないかもしれないから・・・
情熱って傍から見たら「別に〜」ってことが多かったりするんで、
『シャカリキ!』の主人公テルの“自転車バカ”っぷりには勇気をもらえた。
とはいうものの、伊藤Pは自転車LOVEではないので、
スタンドプレーの多いテル君の言動は、やっぱり“ちょっとバカ”に見えてしもうた・・・
見ていて、うーん・・・と思ったのは、
クライマックスとなる「石渡山・市民ロードレース大会」の全体的な描写かな。
沿道で応援する客の数が少な過ぎる。
エキストラを雇う予算がないだけだと思うんだけど、
中途半端な数なんで、なんか無理矢理盛り上げている感じがして、ちょっと冷める。
あと、大会の模様を中継している。
でも、選手たちを捉えるカメラクルーも出てこない。
アナウンサーは何を見て、実況しているのだ?
そもそもラジオやテレビで中継するぐらい凄い大会なのか?
だったら、自転車ロードレースが社会的に注目を集めていて、
“旬なスポーツなんだ”ということを説明する描写をもっと入れないと。
これも映画を無理に盛り上げようとしている感が否めず、微妙に冷める。
『メジャーリーグ』とかは、最初まばらな観客しかないけど、
インディアンスが強くなって、観客が増えていき、ラストでスパークする。
チャーリー・シーンが登場したら「Wild Thing」一緒に歌いたくなる。
『ロッキー』シリーズだってそうだ。
一緒に「ロッキー!ロッキー!ロッキー!」って言いたくなる。
この観衆の声援に実況と解説の声が加わることによって、
臨場感が増し、リアルタイムで接しているかのごとく、映画を見ている観客も燃えるわけだ。
やっぱりスポーツ映画は、観客の声援ってのが重要なんだよね。
それから、テルとテルの仲間たちと、敵となるユタの人間関係の描写が足りないかな。
もう少し厚く描いていたら、より一層熱くなれたと思う。
とはいうものの、決して悪い作品じゃない。
特に自転車の疾走シーンの撮影は、臨場感があってなかなかの見応え。
時速70km以上で山道を下るロードレース。
生身の身体で70kmを体感するのって、かなり凄いことだ。
風の抵抗もあるだろうし、カーブなんかで横風喰らったら・・・
コケタ時のことを考えるとゾクッとしてしまった・・・
映画トータル的には、色々と粗もあるんだけど、
限られた予算とスケジュールの中、
キャストとスタッフたちが四苦八苦して作ったという苦労と情熱が滲み出た作品だった。
情熱は大切にしたいですね。
※『シャカリキ!』遠藤雄弥&中村優一&鈴木裕樹 インタビュー 動画 & テキスト