亡くなった方の体を清め、正装し、化粧を施し、
お棺に納めるまでの作業を行う納棺師という、
あまり馴染みのない職業に焦点を当てた作品。
おくる者とおくられる者を通して、人間の生と死を考えさせられる一本。
『おくりびと』 9/13より丸の内プラゼールほか全国にて 配給会社:松竹 (C)2008 映画「おくりびと」製作委員会 |
配給の担当者も良い出来と言っていたし、
おすぎさんをはじめ多くの映画評論家の方々も絶賛していたので、
これは外せないかなと思い見に行った。
というのもあるのだが、本当の目的は広末涼子。
結婚前の広末涼子のイメージは、正直あまり良くなかった。
ジャン・レノとの記者会見で突然泣き出したり、
酔っ払ってタクシー無賃乗車したりといった奇行もあった。
『WASABI』での演技とか痛かった。
でも結婚・出産してからの広末涼子が妙に気になる。
とても綺麗になったし、
いまだ清純さがあるんだけど、大人の色気も少しずつ出てきたように思う。
女優としても一皮向けたように見受けられた。
そんな印象は離婚してからも続き、益々輝きを増しているようだ。
『おくりびと』の滝田洋二郎監督は、
「良い面も悪い面も含め人生経験を仕事に上手く反映している」
とコメントしていたけど、本当にそう思う。
そして、本作では広末涼子の夫・大悟を演じたモックンに抱きつかれ、
ズボンをやや脱がされ、横パン(!)。
更には腹筋・くびれフェチにはたまらない腹回りを見せ、
服の上から乳を揉まれるというシーンをやってのけた。
って書くと超エロいシーンのように思われるかもしれないけど、
とても良いシーンなんですよ。
納棺師としての初仕事が腐乱死体という不幸な体験をし、
温もりを求めて妻の美香にすがりつく大悟。
夫が納棺師であることを知らない美香は、
恥ずかしがりながらも大悟を受け入れる。
う〜ん・・・良いシーンだぁ〜。
※このシーンに関しては、漫画家のにしかわたくさんのブログが面白い。
テーマ的に“死”が漂う作品だけど、
作品全体に漂う清潔感は広末涼子がもたらしている部分もあると思うんだよね。
で、『おくりびと』には清潔感だけでなく、
明るさ、笑い、愛情、軽やかさといった前向きの要素がふんだんに盛り込まれている。
これが凄い。
特に前半はかなり笑える。
納棺師の先輩である佐々木を演じた山崎努とモックンのやり取りは、
コンビものとして見ても面白い。
死者を扱っていながら笑うなんて不謹慎だ!って、思わせないようユーモアだ。
そして、何よりも気品がある。
納棺師の行う作業の一つ一つが美しく尊厳がある。
そして、死者に対しての愛情、敬意がある。
納棺師というあまり知られていない職業の尊さを知ることが出来た。
あと、食べ物の使い方がとても印象的だった。
鶏鍋のチキンを見て気分が悪くなる大悟だけど、
クリスマスの頃には、鶏の骨付きモモ肉にむしゃぶりついている。
佐々木と大悟の白子を食べるシーンも良い。
死を扱っている映画だからこそ、より象徴的なシーンになっていると思う。
しかし、一点、「泣ける」という部分では、イマイチ、ピンとこなかったかな。
泣けたからって良い映画だとは思わないし、
別に泣きを求めて見たわけでもないので、さして問題なく、
良い映画であることに変わりはない。
試写室で号泣している人もいたので、刺さる人には刺さるのでしょう。
というか、刺さる人の方が多いようで・・・
どうでもいいけど・・・
『おくりびと』は右手。
『20世紀少年』は左手です。
なんとなく横にしてみました。
会議のテーブルの下にもありました。