2008年09月16日更新

#278 『次郎長三国志』

津川雅彦が叔父のマキノ雅弘監督からマキノの名前を襲名し、
『寝ずの番』に続きマキノ雅彦監督として手掛けた第2作『次郎長三国志』。




次郎長三国志.jpg
『次郎長三国志』
9/20より新宿ガーデンシネマ、シネカノン有楽町2丁目、アミューズCQNほか全国にて
配給会社:角川映画




マキノ雅弘監督は多くの『次郎長』シリーズを監督しており、
マキノ雅彦監督は叔父の十八番に挑戦と言った感じでしょうか。


マキノ雅弘監督の『次郎長』を一本も見ていないし、詳しくもない。
付け焼刃で知ったかぶって書くのも嫌なので、その辺はパス。


マキノ雅彦版『次郎長三国志』の率直な感想に徹しよう。


人情に厚くて、義理を重んじる次郎長と荒くれ者の子分たちが、
黒駒の勝蔵、そして宿敵・三馬政と戦う姿を描いた痛快時代劇。


普段はあまりコテコテの時代劇とか見ないけど、
普通に面白かった。


見終わって何か心に残るとかそういうのはないけど、
2時間のという上映時間中、楽しみながら見ることが出来るという娯楽作。


個人的にはちょっとテンポの悪さを感じるけども、
中高年層であろう本作のターゲットから圏外の人たちでも楽しめるでしょう。


キャストも豪華。
渋い役者だらけだけど、変にチャラチャラしていなくて良いや。
落ち着きがある。


マキノ雅弘監督作品に慣れ親しんだ人からすると、
「?」なキャスティングもあるようだけど、
元を知らないってのもあり、何の違和感もなく見ることが出来た。


次郎長三国志


そして、この作品は改めて自分の内に秘めた渇望感を知った。


それは“血”。


老若男女が楽しめる娯楽チャンバラ活劇なので、
刀で人を斬っても血は出ない。


しかしながら、登場人物が人を斬った時に、
激しく“血しぶき”を求めている自分がいた。


「血だぁ〜、血をよこせぇぇぇぇ!!」って。


小さい頃テレビで何げーなぁーく見ていた時代劇。
テレビなんで斬っても斬っても血は出ない。


そういうもんだと思っていた頃、
小学生の時にジャッキー・チェンの『プロテクター』を見に行った。
本編上映前に黒澤明監督の『乱』の予告編がスクリーンに映し出された。


斬られた武士が血しぶきをあげ、壁にブシュブシュッ!と鮮血吹きかかった。


子供心に「これはスゲー」と思った。
今でも覚えているぐらいだから、相当のインパクトだったのでしょう。


多分、この時から“斬ったら血が出る”という方程式が、
頭の中に出来上がったと思われる。


以降、特殊効果の技術は格段に進歩。
よりリアリズムに徹して、斬れば痛々しく血が出る映画や、
スプラッタ的な感覚で、斬って血がドバドバドバと噴出す映画が当たり前になり、
それに見慣れていた。


そして、過去にも若山富三郎主演の『子連れ狼』シリーズとかで、
かなりスプラッタなチャンバラをやっていた事を知って、
「へっー、凄いじゃん!」って思ったことがある。


長くなるのでここでは、斬って血が出る演出と血が出ない演出で、
どう人(特に子供たち)に影響を与えるかについては述べないけど、
タイプ的に血がなくてOKの作品に、血を求めている自分がいるのであります・・・


そんな訳で、斬ったら血が出るチャンバラ映画、
光武蔵人監督の新作『SAMURAI AVENGER: THE BLIND WOLF』が益々楽しみであります。
そろそろマスタリング作業ということで、完成間近だ。

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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