津川雅彦が叔父のマキノ雅弘監督からマキノの名前を襲名し、
『寝ずの番』に続きマキノ雅彦監督として手掛けた第2作『次郎長三国志』。
『次郎長三国志』 9/20より新宿ガーデンシネマ、シネカノン有楽町2丁目、アミューズCQNほか全国にて 配給会社:角川映画 |
マキノ雅弘監督は多くの『次郎長』シリーズを監督しており、
マキノ雅彦監督は叔父の十八番に挑戦と言った感じでしょうか。
マキノ雅弘監督の『次郎長』を一本も見ていないし、詳しくもない。
付け焼刃で知ったかぶって書くのも嫌なので、その辺はパス。
マキノ雅彦版『次郎長三国志』の率直な感想に徹しよう。
人情に厚くて、義理を重んじる次郎長と荒くれ者の子分たちが、
黒駒の勝蔵、そして宿敵・三馬政と戦う姿を描いた痛快時代劇。
普段はあまりコテコテの時代劇とか見ないけど、
普通に面白かった。
見終わって何か心に残るとかそういうのはないけど、
2時間のという上映時間中、楽しみながら見ることが出来るという娯楽作。
個人的にはちょっとテンポの悪さを感じるけども、
中高年層であろう本作のターゲットから圏外の人たちでも楽しめるでしょう。
キャストも豪華。
渋い役者だらけだけど、変にチャラチャラしていなくて良いや。
落ち着きがある。
マキノ雅弘監督作品に慣れ親しんだ人からすると、
「?」なキャスティングもあるようだけど、
元を知らないってのもあり、何の違和感もなく見ることが出来た。
そして、この作品は改めて自分の内に秘めた渇望感を知った。
それは“血”。
老若男女が楽しめる娯楽チャンバラ活劇なので、
刀で人を斬っても血は出ない。
しかしながら、登場人物が人を斬った時に、
激しく“血しぶき”を求めている自分がいた。
「血だぁ〜、血をよこせぇぇぇぇ!!」って。
小さい頃テレビで何げーなぁーく見ていた時代劇。
テレビなんで斬っても斬っても血は出ない。
そういうもんだと思っていた頃、
小学生の時にジャッキー・チェンの『プロテクター』を見に行った。
本編上映前に黒澤明監督の『乱』の予告編がスクリーンに映し出された。
斬られた武士が血しぶきをあげ、壁にブシュブシュッ!と鮮血吹きかかった。
子供心に「これはスゲー」と思った。
今でも覚えているぐらいだから、相当のインパクトだったのでしょう。
多分、この時から“斬ったら血が出る”という方程式が、
頭の中に出来上がったと思われる。
以降、特殊効果の技術は格段に進歩。
よりリアリズムに徹して、斬れば痛々しく血が出る映画や、
スプラッタ的な感覚で、斬って血がドバドバドバと噴出す映画が当たり前になり、
それに見慣れていた。
そして、過去にも若山富三郎主演の『子連れ狼』シリーズとかで、
かなりスプラッタなチャンバラをやっていた事を知って、
「へっー、凄いじゃん!」って思ったことがある。
長くなるのでここでは、斬って血が出る演出と血が出ない演出で、
どう人(特に子供たち)に影響を与えるかについては述べないけど、
タイプ的に血がなくてOKの作品に、血を求めている自分がいるのであります・・・
そんな訳で、斬ったら血が出るチャンバラ映画、
光武蔵人監督の新作『SAMURAI AVENGER: THE BLIND WOLF』が益々楽しみであります。
そろそろマスタリング作業ということで、完成間近だ。