10/18よりユーロスペースにて 配給会社:ビターズ・エンド |
去年の東京国際映画祭で上映されるにあたり、
出演者の木下あゆ美のインタビューをオファーされて鑑賞。
1年以上も前に見た映画なのでうろ覚えなところもあるんだけど、
せっかく劇場公開に漕ぎ付けた作品なので取り上げてみた。
舞台は鎌倉。
おんぼろアパートに住む売れない作家・真木栗は、
今は空室となっている隣の部屋が覗ける穴を発見する。
官能小説を書いていた真木栗は、
道で擦れ違っただけの女性が気にかかり、
その女性が隣室で暮らしてくれたらという妄想を綴る。
するとそれが現実の出来事として起こり始め、
真木栗は次第に現実と妄想との区別が付かなくなり、錯乱していく。
山本亜紀子のホラー小説「穴」が原作だけど、
全く怖くないので、ホラーというよりは不条理サスペンスかな。
古都鎌倉の情緒を活かし、浮世離れした幻想的な雰囲気を醸し出しており、
摩訶不思議な官能ワールドを堪能することが出来る。
なので、江戸川乱歩、安部公房の世界観が好きな人は、そこそこ楽しめるかなと。
逆に言えばその手のジャンルが苦手な人にはちょっと腑に落ちない一本かも。
キャスティングがなかなか良くて、真木栗を演じた西島秀俊はまさにの適役。
あと、寂しい中年のおばちゃんを演じたキムラ緑子も哀愁漂っていて良い。
二人の入浴シーンは、1年前に見たにも関わらず未だに脳裏に焼き付いている。
ただ、ヒロイン役の粟田麗は、いまいちピンと来なかったかな。
それから、鎌倉。
伊藤Pの亡父の生地は鎌倉。
祖父母が住んでいたので、小さい頃から祖母が亡くなる大学2年生まで、
かなり頻繁に鎌倉に行っていた。
中学生までは、それこそ毎週のように祖父母の家に遊びに行っており、
いわば第二の故郷。
今でも毎年、長谷寺のアジサイを見に行っている。
そんな鎌倉が舞台なのも嬉しい。
鶴岡八幡宮、円覚寺、大仏といった観光名所ではなく、
切通など、通好みな鎌倉の名所を効果的に映し出している。
鎌倉をあまり良く知らない人が見たら、
“ヘッー、こんなところあるんだ〜”って思うかもしれない。
※『真木栗ノ穴』木下あゆ美 インタビュー
<余談>
祖父母の家は、
鎌倉を紹介するテレビ番組や雑誌で必ず取り上げられる「無心庵」という甘味処の隣にあった。
「無心庵」のおかみさんである関口さんも知り合いで、
祖父母、父は勿論のこと伊藤P自身もかなりお世話になった。
ここ最近、全く行っていないのがちょっと心苦しい。