10/25より全国東宝系にて 配給会社:東宝 (C)2008「ホームレス中学生」製作委員会 |
お笑い芸人麒麟の田村裕の自叙伝「ホームレス中学生」の映画化。
劇団ひとりの「陰日向に咲く」に引き続き、
芸人が書いたベストセラーをまだ鮮度が悪くならないうちに、
ササッと映画化しちゃう東宝らしい企画力。
東宝じゃないけど、品川庄司の品川ヒロシによる『ドロップ』(角川映画)も来年控えており、
“芸人の書いたベストセラー本 → 旬なうちに映画化”というスキームが出来上がったか?
『陰日向に咲く』は【裏部屋】行きだったんで、
『ホームレス中学生』はどうかな?とやや危惧していた。
特に中学生がホームレスということで、
そこばかりがクローズアップされて、苦労話に徹していたら嫌だなと思っていたけど、
ちゃんと田村少年の成長記になっていたのでひとまず良かった。
絶賛はしないけどね。
突然、家を失った中学生の田村と大学生の兄、高校生の姉が取った行動はちょっと頭悪い。
もう少し冷静になれば選択肢がもっとあったと思うんだけど、
事実なんだから仕方ないか・・・
と、あまり納得いかないことも全て「事実」で済まされる。
事実って便利だ。
過酷なサバイバル生活の末、
大阪の人々の温かい救いの手によって、ホームレス中学生ではなくなる田村少年。
ホームレス生活の苦労よりも、中学生ならではの人生に対する葛藤の方が、
心に響いたかな。
特に兄・研一との牛丼屋のシーンはちょっとジーンとした。
あと、役者がみんな良かったかな。
実はちょっと微妙なキャスティングだと思っていたんだな。
麒麟の田村裕自身の希望によって、
田村裕が小池徹平というギャグのようなキャスティングを筆頭に、
実年齢と役の年齢があまりマッチしない。
小池徹平:22才 → 中学2年生
兄の研一を演じた西野亮廣(キングコング):28才 → 大学生
姉の幸子を演じた池脇千鶴:26才 → 高校生
それでも違和感なく見られた。
いや、ちょっと気になったかな・・・
この主要キャスト3人の他、脇を固めるベテラン俳優たちがドンピシャ。
優しいお母さんの古手川祐子。
無責任だけどどこか憎めない感じのお父さんにイッセー尾形。
田村少年を助ける同級生の両親に宇崎竜童と田中裕子。
そして、同じく田村少年たちをサポートしてくれる西村のおばちゃんにいしだあゆみ。
特に田中裕子は流石の貫禄。
大阪じゃなくてもいたもん。
こういうおばちゃん。
伊藤Pの近所にもおるでぇ。
そんな人と人との繋がりや支え合うことの大切さも、
本作では声高にではなく、そっと訴えかけている。
それと食べ物の大切さを改めて痛感したな。
白米を噛み続けるシーンとかとても印象に残っている。
人間、食べないと動けない。
食は生活の基礎だ。
毎日三食ありつけるだけでも、有り難いことなんだよね。
ちょっと中盤から後半にかけてたるい所もあったけど、
話題性もあるし、気軽に見られるし、
きっとヒットするのでしょう。
※『ホームレス中学生』小池徹平&西野亮廣(キングコング)&池脇千鶴 インタビュー