10/25よりキネカ大森にて 配給会社:太秦 |
広告代理店でコピーライターの仕事をしているテツは、
過去にやっていた学生運動での挫折感からか、うだつの上らない生活をしていた。
ある日突然、テツは侍の霊にボディ・ジャック(憑依)され、
無理矢理“人捜し”の協力をさせられるが・・・
ってなストーリーなんだけど、
テーマはテツとその家族の再生物語。
ストーリーからは想像出来ないようなテーマであるが故、
この作品を一言で端的に表すのはとても困難だ。
元宣伝マンだった伊藤Pとしては、
宣伝し難い作品だろうなぁ〜って。
この作品のキービジュアル(上記写真)を見てから、
ストーリーをザッと読んだんだけど、
一体どんな映画なのかサッパリ判らなかった。
それがそのまま鑑賞時にも響いてしまった。
入り口がボディ・ジャックという怪奇系なのに、
なんで再生物語なん?って。
正直、その部分にはあまりピンとこなかったんだけど、
かなり滅茶苦茶な設定、展開で、感動以前に笑ってしまった。
まず、テツの大学生時代から映画は始まるんだけど、
テツ役の高橋和也が、20年前のテツをそのまま演じている。
高橋和也は39才なんで、
当然、ちょっと無理がある。
同じく奥さん役の星ようこも女学生姿で登場。
星ようこは42才なんで、
かなり無理がある。
本人たちも無理があるって判っているんだろうけど、
真面目に演技しているのが笑える。
そして、設定もおかしくて、学生運動があったのは60年代半ばから1970年。
テツは40才ぐらいの中年だから、
物語で描かれている時代は80年代中後半でなくはならない。
なのに登場人物は、携帯電話を普通に使用している。
他にもそりゃねぇーだろう!ってのがあるんだけど、
確信犯的にやっている節があるんで、“オイオイ”って、笑って流せる。
霊が出てくるので、特撮シーンもあるんだけど、それもかなりチープ。
昔の戦隊モノや日テレの「あなたの知らない世界」レベル。
でもこれも低予算を逆手に取った感がある。
予算がないからレトロにしよう!ってね。
後半全てのエピソードが、テツの自宅マンションの一室に集約されるんだけど、
そこで繰り広げられる出来事&演出はコント級で、突っ込みどころ満載。
かと思えば、チャンバラ・シーンがあって、これが結構しっかりと撮られている。
おいおい、いきなり本気モードかい!?って。
『ICHI』の殺陣より面白かった。
まぁ、かなり奇妙な映画なんだけど、なんとなく笑って許せちゃうんだな。
それはキャストとスタッフが、作品に対して誠実だからなのかな。
取材の際に高橋和也さんが、
「低予算だからこそ、一丸となってやる。それがこの作品の現場にはあった。
突っ込みどころがあるのも分かっている。それも含めて楽しんで欲しい」
と語っておりました。
※『ボディ・ジャック』高橋和也 インタビュー