今年の下半期はゾンビ映画が多いけど、いよいよ真打ち登場。
ゾンビを世に広めた偉人ジョージ・A・ロメロの新作『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』。
『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』 11/15より池袋シネマサンシャイン、TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国にて 配給会社:プレシディオ |
今回は噛まれなくても、死ねばゾンビ化するというウィルスのようで、
自主映画を撮影していた学生たちが中心となり、ゾンビを回避しながら逃避行を続ける。
今回、ロメロ監督が選んだ手法はポイント・オブ・ビュー。
劇中の学生が映画撮影用に使用していたビデオカメラの映像を元に、
生き残った仲間がネットの映像等も加えて編集し、その完成映像を我々が見ているという設定。
何が起きたか後世に伝えるため、日記風になっているので、
『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』というタイトルになっている。
『ゾンビ』では物欲主義と消費社会の到来を告げたロメロ監督は、
今回、ゾンビを通して、情報化社会の混乱を描いている。
今や手軽に誰でもビデオカメラを回せて、身近に起きた出来事を撮影して、
ネット上に公開出来る世の中。
逃げる学生たちもテレビだけでなく、携帯やネットを通じて、
今世の中で起きている出来事の情報を得て、より戸惑う。
ネット上に掲載された情報は、報道関係者ではなく一般人だ。
つまり、誰でも情報を発信出来るということである。
中には真実を伝えている情報もあるかもしれないが、
意図的に歪曲されたものもあるだろう。
そういった信憑性に欠ける情報に躍らされている世の中の危うさに対して、
ロメロ監督は警笛を鳴らしている。
奇しくもブライアン・デ・パルマ監督が『リダクテッド 真実の価値』で同じ手法を用いて、
ニアな訴えをしている。
デ・パルマ監督とロメロ監督は共に1940年生まれで、
同じ時代を生き抜き、それぞれエポックな作品を世に送り出しながらも、
思う様に作品が作れなかった不遇の時代があった。
そんな二人が新たに試みたことが、似ているというのは面白い。
ただね、ブロードバンド時代になって、投稿型動画サイトが名を馳せ、
携帯でもテレビやネットを見ることが出来る昨今。
“ネットの情報に気をつけろ!”って、そんなこと言われなくてもわかっとるがな。
もしも3年ぐらい前にこの作品が作られていたら、
もっとロメロは先見の目ありってなっていたことでしょう。
まぁ、そんなメッセージ性はさておき、
ロメロ監督、68才にして、まだまだ元気ですなぁ。
電気的除細動器(DC)で、ゾンビをビリビリさせて目ん玉ポロリとか、
大鎌で人間とゾンビの顔面を一気に串差しにしたりと粋なシーンが随所にある。
あと、走ったり、跳ねたり、この所スピード感溢れるゾンビが多い中、
本家なりの回答をしているのが面白い。
亜流作品も含め、ゾンビ映画が蔓延しているけど、
今後もロメロ監督はゾンビで飯食ってくのかな?
※『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』
主人公逃走からゾンビ初遭遇シーンまでの7分間をガッツリGyaOにて放送!
→コチラ