<注意>
本作には大物ハリウッド・スターがカメオ出演(特別出演)しています。
既に一部のマスコミが誰であるかを報道しているし、
そのスターは特別出演の範疇を超えるほど重要な役を演じている。
しかしながら、
日本の宣伝方針的には、お楽しみとして隠しているようだ。
よって、今回、その部分に触れるか触れないか、かなり迷った。
でも、やっぱり彼抜きにして本作を語ることなど、伊藤Pには出来ん。
いや、出来るんだけど、他のレビューと同じ事を書きたくない。
ということで、思いっきりその方の名前を出していますので、
もしも知りたくない方は、映画を見てから読んでください。
でも、下記を読んでから見るのも面白いかもなんで、
あとは各々の判断ということで、お願い致します。
『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』 11/22より丸の内ピカデリー1ほか全国にて 配給会社:パラマウント ピクチャーズ ジャパン (C)2008 DreamWorks LLC. All Rights Reserved. |
落ち目のアクション・スター、やり過ぎのオスカー俳優、
ヤク中のコメディアンといった濃い面子が共演する戦争映画の撮影現場。
曲者揃いのため収拾がつかなくなり、困った監督と原作者が考えた秘策は、
ジャングルの密林に俳優たちを放置し、隠しカメラで撮影するというもの。
しかし、そこは武装麻薬組織の縄張りだった。。。
バカ映画のように見受けられるけど、あまりそういう印象は受けなかったな。
いつものベン・スティラーの悪ノリが、よりド派手に展開するんだけど、
それはビジュアル面だけではない。
撮影現場の裏事情や、俳優同士の軋轢、役者の演技に対する苦悩が、
かなり過剰に描かれていて笑える。
スターであり続けることの難しさを、
ベン・スティラーはこの作品を通して訴えているように感じた。
それに拍車をかけたのが、トム・クルーズの存在。
かなり口が悪く、ドラスティック、
且つサディステックな大物プロデューサー役を演じているんだけど、
これが色んな意味ではまり役。
80年代半ばからつい最近まで、
スター街道まっしぐらだったトムだが、ここ最近、失速気味。
『ザ・エージェント』、『コラテラル』で、黒人俳優に美味しい役を与えたり、
『ラスト サムライ』では、アジアに理解を示そうとしたりと、
白人以外の文化圏へのアピールを欠かさなかったトム。
しかし、そのトム主導のグローバル化が鼻に付くというのも事実。
そして、その共演者や元奥さんには、
じゃんじゃかオスカーをもたらしているのに、
当の本人は、演技面で行き詰まっている感は否めない。
遂には宗教を拠り所にして、奇行に走る。
こうやってみると、宗教と麻薬の違いはあるけど、
『トロピック・サンダー』に登場するメイン3人の俳優の問題点の多くを、
トムは実際に体現してきている。
更にトムは『M:i:III』を最後に、
14年間続いたパラマウントとの契約を切られてしまった。
今回、トムは開き直って、このシビアな出来事をパロディ化して、
大物プロデューサーを演じているようにさえ見えた。
そして、何よりもベン・スティラーは、トム・クルーズが大好きだ。
(因みに伊藤Pもトム・クルーズが大好きだ)
『M:i-2』の時に、
MTVムービー・アワード用のパロディ特番『ミッション:インプルーバブル』に出演していて、
トム・クルーズLOVEをアピールしている。
(『m:i-2』のDVDに特典映像として収録されている)
『トロピック・サンダー』でも、
トム・クルーズを彷彿させる力みまくりの“俺ってスゲーだろ?”的ナルシスト演技を、
間違いなく確信犯的に披露している。
ってことはですね、
『トロピック・サンダー』は、トム・クルーズのことを描いた映画なんだよ。
その証拠(?)に、この映画の鑑賞後、最も印象に残っている俳優は、
ベン・スティラーでも、ロバート・ダウニー・Jr.でも、ジャック・ブラックでもない。
トム・クルーズだ。
やっぱり、どの映画に出てもトム・クルーズは、トム・クルーズ。
美味しいところかっさらっていく。
それこそスターの証だ。
ベン・スティラーも、それを判った上で、
トム・クルーズをキャスティングしたに違いない!!!
と、強引な解説をしました。
いや、解説じゃねーな。
妄想だな。
とにもかくにも少々、お下品で、強烈な描写もありますが、
個人的には、やり過ぎがギャグになるの大好きだし、
豪華スター共演も楽しいし、
ニック・ノルティが出ているし、
『プラトーン』、『ランボー 怒りの脱出』、『地獄の黙示録』とか、
戦争映画のパロディがてんこ盛りなんで、
サイコーに楽しかったです。
来年の夏に飛んだ『ハリー・ポッターと謎のプリンス』の穴を埋めるには、
ちょっとパワー不足だけど、頑張って欲しいなぁ。
で、これもPG-12なんだよなぁ・・・