筑紫哲也さんが亡くなった。
とても残念です。
筑紫さんが担当されていた報道番組「NEWS23」では、
夏と冬に映画特集をやっていた。
筑紫さん、おすぎさん、そして、サブキャスターだった草野光代さんらが、
お気に入りの映画を取り上げるという内容。
年に2回しかないうえ、余ほどの話題作・超大作以外は、
出演者たちが気に入った作品でないと取り上げてもらえない難関コーナーだった。
しかしながら、過酷だろうがなんだろうが、
夏休み映画、お正月映画を抱えた電波系パブリシストは、
マストで突っ込まなければならない。
伊藤Pも宣伝マン時代、「NEWS23」のスタッフルームには足繁く通った。
まず、超多忙を極める方々のため、試写に来てもらうことからして難儀。
しかも夏・正月だけでも数多の作品があるわけでして、
そんな中、自分の担当している試写に来てもらわなければならない。
番組の映画担当者を巻き込んで、「試写に来ておくれぇ〜」と猛アピールが必要だった。
しかしながら、有り難いことに伊藤Pが勤めていた宣伝会社には、
筑紫さんと限りなくタメ口に近い会話をするというツワモノの女性スタッフAさんがいた。
Aさんの口利きのお陰で、筑紫さんは比較的伊藤Pが担当する作品を見に来てくれた。
鑑賞後、筑紫さんの感想をAさんと一緒に聞くわけですが、
筑紫さんは物腰が柔らかく、超下っ端だった伊藤Pにも話しかけてくれた。
『ワイルド・ワイルド・ウエスト』とか、取り上げてもらえなかった作品もあったけど、
伊藤Pが担当した作品は、結構紹介して頂いた記憶がある。
あと、Aさんが宣伝プロデューサーを務めた『BEAT』という映画で、
監督の宮本亜門さんと筑紫さんの対談を放送してもらった。
更に対談だけに留まらず、宮本亜門さんの沖縄の別荘の上棟式に立ち会うため、
筑紫さんとAさんは沖縄に行ってしまった。
伊藤Pは東京でお留守番(今だったら絶対に付いて行ったな)。
もちろん、この模様も「NEW23」で放送された。
伊藤Pのパブリシスト時代の思い出の中でも、
強く印象に残っているこの企画を考えたAさんも、
今年の4月に48歳という若さでこの世を去ってしまった。
筑紫さんの訃報を耳にして、生前のお二方の和気藹々としたやり取りが脳裏に甦る。
今頃、天国で同じ光景が繰り広げられているに違いない。
謹んでお悔やみ申し上げます。