いよいよ、本日発売をもって映画雑誌「ロードショー」(集英社)が休刊となる。
伊藤Pは「ロードショー」と共に、小・中・高と映画道を突き進んだのだが、
「ロードショー」の購入目的の一つとして、純粋に映画が好きというだけでなく、
外国人女優のグラビアやヌード写真があった。
今はどうだか知らないが、伊藤Pが購入していた頃は、
普通にセクシーショットや裸の場面写真が掲載されていた。
ヌード特集なんていう企画があったぐらいだ。
高学年の小学生が手にする可能性が高い雑誌にも関わらず、
アダルトビデオを紹介していた時期もあったんで、見方によってはソフトなエロ本だ。
伊藤Pは朝岡実嶺を「ロードショー」で知った。
エロ本を買うのは恥ずかしいけど、 「ロードショー」なら中学生でも堂々と買えた。
(エロ本も買ったけど)
美しい女優たちがどの映画で脱いでいるのか「ロードショー」で情報収集して、
映画館に見に行ったり、レンタルビデオを借りて見たりした。
ヌードや濡れ場があるから見たいって、不純な動機かもしれないけど、
思春期の男の子だったら性に興味があって当たり前だ。
ない方がおかしい。
ソフィー・マルソー、シャロン・ストーン、フィービー・ケイツ、
シンシア・ギブ、エマニュエル・ベアール、
ジョディ・フォスター、キム・ベーシンガー、みんなエロっぺかった。
中でも脱ぎ率高のエロ・フェロモンを放っていたのは、ダイアン・レインだ。
伊藤Pにとって、「ロードショー」と言えば、ダイアン・レイン、
ダイアン・レインと言えば、エロだった。
『ビッグタウン』でストリッパーを演じていることを「ロードショー」で知れば見る。
『愛にふるえて』でも脱いでいるらしいという情報を「ロードショー」で得れば見る。
そんな感じだ。
そして、なんといっても『愛は危険な香り』は忘れ難い。
ダイアン・レインに惚れた妻子持ちの変態男につきまとわれるサスペンスだ。
変態男はダイアン・レインの部屋に侵入して、
歯ブラシで歯をゴシゴシ磨いたり、恋人とのセックスを覗き見したりする。
ストーカーと言えば、アンドレイ・タルコフスキーの『ストーカー』だった時代の映画で、
間違いなく今だったらR-15だ。
ダイアン・レインが脱ぐ、やる、つきまとわられるという、
中坊の性欲直撃のこの映画を試写会で見るために、ハガキを出しまくって見事当選。
中野サンプラザで友達と一緒に見た。
今だったら有り得ないな。13歳の中坊をストーカー映画の試写会にご招待だよ。
なんて良い時代だ。。。
勿論、『愛は危険な香り』という映画があることを教えてくれたのは「ロードショー」だ。
「ロードショー」は、映画情報の範疇でエロ情報を収集出来る素晴らしい雑誌だった。
勿論、エロだけじゃない。
普通の映画雑誌としてもフル活用した。
付録が結構充実していた。
サントラやアカデミー賞の歴史を特集した小冊子があって、今でも捨てずに持っている。
サントラ特集は伊藤Pが洋楽ファンになる一因となったし、
アカデミー賞特集は、映画情報番組を作る際に貴重な資料となった。
また、伊藤Pにとって運命の人である東宝東和宣伝部の飯田格さんのコーナーもあって、
いつか自分もこういう仕事がしたいと思った。
渡辺祥子さん、秋本鉄治さんら映画評論家4名によるクロスレビューもあって、
それを読んで参考にしたし、いつか自分も映画の文章を書いてみたいと思うきっかけになった。
そして、オリバー・ストーン監督の取材記でも書いたけど、
伊藤Pが書いて送った『7月4日に生まれて』の感想文が「ロードショー」に掲載された。
自分が書いた活字が始めてメディアに出たのは、「ロードショー」だった。
とにかく毎号楽しみで、必ず近所の書店で発売日の21日に買いに行った。
ある時、いつもの書店に買いに行ったら、店に入るなり店員さんが声を掛けてきて、
「ロードショー」を手渡してくれた。
仕入れた「ロードショー」がいつもよりも売れて残り一冊になり、
きっと伊藤Pが買いに来ると思ったから取っておいてくれたという。
その書店、今はもうない。
買って来たロードショーは隅から隅まで熟読。こうして映画の知識を蓄積していった。
しかし、高校生になり、次第に内容が子供ぽく感じられ、高校三年生ぐらいで購入を辞めた。
最も脳味噌の吸収が良い時期だったわけで、
今ある映画の知識の大部分を「ロードショー」から得たと言っても過言ではない。
映画のネタで脳味噌が一杯になったからか、中学時代の学校の成績は散々だった。
なんにしても、様々な記憶が蘇る思い出深い雑誌だ。
今は買ってない自分が言うのもなんだが、休刊は残念だ。
編集部、映画評論家、ライターら多くの方々、本当にお疲れ様でした。
そして、ありがとうございました。
最後ぐらい買おうかなと思って、値段みたら980円!
勿論、伊藤Pが買っていた時代よりも、本が高くなっているの仕方ないけど、
980円はいくらなんでも高くないか?
これじゃ、お小遣いに限りがある小学生や中学生は買えないだろう。
この「ロードショー」の価格高騰 → 休刊という流れは、
ここ十数年の映画業界の流れをそのまま雄弁に語っている。