12/5より日比谷スカラ座ほか全国にて 配給会社:ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン (C)WALT DISNEY PICTURES/PIXAR ANIMATION STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED. |
29世紀。
人のいない荒廃した地球で、一体のロボット、ウォーリーが黙々とゴミ処理を行っている。
ウォーリーはロボットだが、ちょっとした感情を持っていて、
ゴキブリ以外友達がいない淡々とした日々に寂しさを感じていた。
そんなある日、地球探査のために最新鋭ロボット、イヴが宇宙から現れ、
ウォーリーはイヴに思いを寄せ始めるが・・・
数々のハイクオリティーなCGアニメを世に送り出してきたピクサー・スタジオ。
今回も高品質だ。
ピクサーの戦略としてまず挙げられるのが、親しみ易いキャラクター。
本作を見た人で、ウォーリーを嫌いという人はほとんどいないんじゃないかな?
ってぐらい愛おしい。
そのデザイン自体、『ショート・サーキット』(リメイクするらしい)に似ているけど、
哀愁が漂い、そして、可愛らしい。
内容よりもキャラクターから入る子供たちのハートも鷲掴みだ。
『トイ・ストーリー』で、CGアニメというか、映画業界に革命を起こした後も、
驚きのCG技術を見せてくれたピクサー・スタジオだけど、
『ウォーリー』はCGであることを忘れてしまう。
冒頭の俯瞰ショットを筆頭に、その背景のディテールや遠近感は神業でしょう。
まるで実写を見ている気分だった。
それに拍車を掛けるのがカメラワーク。
わざわざ手持ちカメラで撮ったかのような演出までなされている。
そして、ピクサーの凄いところは物語だ。
ピクサーは、他の作品でも主人公を異文化へ連れ去って、
そこで冒険させる手法を好んで使っているんだけど、
『ウォーリー』も同様。
荒廃した地球でどんだけ物語が進められるのか?って思っていたら、
ものの見事に連れ去られた。
普通で考えたらロボット同士のラブストーリーなんて気持ち悪い。
でも、それを主軸に据え、更に観客に違和感を感じさせないんだよねぇ。
あと、『252-生存者あり-』の記事で、“説明ゼリフ”について触れたけど、
『ウォーリー』には“説明ゼリフ”がほとんどない。
特に前半は、セリフがほとんどなく、
映像の力のみ、つまりウォーリーの一挙一動や背景で、
観客に何が起こったのか、ウォーリーはどんなキャラなのか理解させる必要がある。
映画的センスがないと、なかなか出来ない演出だし、
そのために、スタッフたちは「あーでもない、こーでもない」って、
いろいろなアイディアを出す努力を重ねていたに違いない。
着眼点の面白さ、物語の斬新さ、細部の拘り、美しい映像、
やっぱりピクサーは凄いね。
安心ブランドですよ。
ただ、『モンスターズ・インク』や『ファインディング・ニモ』の鑑賞後に感じた、
高揚感や幸福感を味わうことが出来なかった。
何が足りないんだか判らないんだけど・・・
なんでだろう?