邦高洋低。
2008年の日本映画業界を表す言葉。
もちろん、自国の文化は大切だけど、
洋画で育った人間なんで、昨今の洋画低迷は悲しい限り。
そんな中、早くからお正月映画として期待していたのが、この『地球が静止する日』。
『地球が静止する日』 12/19より日劇1ほか全国にて 配給会社:20世紀フォックス映画 (C)2008 Twentieth Century Fox Film Corporation. |
正月興行にはお化けになるような邦画もなさそう。
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』が来夏に飛んだ今、
『ウォーリー』と本作が洋画界を、いや、今年の正月興行の柱となることは間違いない。
というか、そうならないと不味いのだ。
なので、強く薦めたかったのだが・・・
いや、つまらなかったわけではない。
上映時間は1時間46分で丁度良いし、
キアヌ・リーブス、ジェニファー・コネリーという組み合わせも新鮮で良い。
しかしながら、全てが想定内に収まってしまうんだよね。
展開はもちろん、時にはセリフまで先読み出来てしまう。
本作のオリジナルである1951年製作のロバート・ワイズ監督作『地球の静止する日』は、
核と冷戦の脅威を描いていた。
となると、本作も侵略者は世相にあった脅威の比喩となるのだが、
テロだと『宇宙戦争』になっちゃう。
「てっこたぁ、あれかな?」
なんて予測を立てたが、キアヌ扮する宇宙からの使者クラトゥの陳腐なセリフで、
直ぐにそれが正しかったと判明。
クラトゥの地球上での行いを見たキャシー・ベイツ演じる米国防長官が発する
「これは○○の○○よ」というセリフもいらないよ。
そして、本作の最大ポイントになる感情表現が、あまりにも弱い。弱すぎる。
人を突き動かすような感情の描写がない。
こんなんじゃ、ちっとも心に響かないし、納得出来ない。
ネタバレになるからあまり書けないんだけど、「えっ?それだけですか?」って。
監督が『エミリー・ローズ』のスコット・デリクソンだったんで、
もう少し捻りがあって、奥行きがあって、崇高になると期待してたんだけどなぁ。
これだけの規模と監督と役者とテーマが揃っているんだから、
もうワンランク上のグレードを求めちゃうよ。
まぁ、そうは言っても、大袈裟ではなく、映画業界を左右する作品。
<大>ヒットして貰わなきゃ困る。
あまり深く考えずに見られるという点では、娯楽の王道を行っている。
去年の正月映画『アイ・アム・レジェンド』も、賛否両論あった。
それでも43億円を稼ぎ、2008年上半期洋画興行収入1位になった。
今の興行界で40億円を叩き出すのは難しいかもしれないけど、
どこまで迫れるか?
公開3日前からキアヌらキャスト、スタッフの来日キャンペーンがある。
この公開超直前イベントでどこまで盛り上げることが出来るか?
■『地球が静止する日』
※ジェイデン・スミス インタビュー テキスト
※スコット・デリクソン監督 インタビュー テキスト
※ジェイデン・スミス&スコット・デリクソン監督 取材記