もう2008年も残り僅か。
今年も念願のジャッキー・チェン含め、
多くの映画関係者の方々に取材させて頂きましたが、
先日、これまた感慨深い方に取材することが出来た。
その方とは、ミッチーこと及川光博。
及川さんは伊藤Pが大学時代に所属していた部活の先輩。
伊藤Pが入部した時は既にOBだったんだけど、
合宿や文化祭、打ち上げといったイベント行事に何度か顔を出してくれた。
まだデビュー前で、オーディションの話を面白おかしく話してくれたり、
伊藤Pと同期の部員に渾名を付けて喜ばせてくれた。
(未だにそいつはボビーと呼ばれることがある。及川先輩命名なんて、今思えば凄いな)
96年、メジャーの東芝EMIから歌手デビュー決定という知らせが入った時は、
部員一同大喜び。
デビューシングル「モラリティー」は部員マスト購入だ。
デビュー後も合宿に来てくれて、合宿最終日の夜に、
ミッチー・ワンマン・ショーを披露してくれた。
なんとも贅沢な話ですが、これは及川先輩のサービス精神の表れか?
その後、97年にマツキヨのCMで大ブレイク。
あれよあれよという間に雲と上の人と化した。
そして、及川先輩が一躍時の人となっていた頃、伊藤Pは映画宣伝の仕事をしていた。
1998年、ジョニー・デップの初監督作品『ブレイブ』で、広告用のコメントを頂いた。
その際に、電話でちょっとだけ話をさせて頂いたんだけど、
「いやー、ミッチー凄いじゃないですか!大活躍ですね!」と言ったら、
「バカ、こういうときは及川先輩だろ!」と苦笑されながら怒られたのを今でも覚えている。
(確かに失礼だな・・・)
そして、この電話以降は、スクリーンやテレビでお会いするのみ。
あれから10年。
映画にも積極的に出演していたので、いつか取材出来ればと思った。
そして、『クローンは故郷をめざす』で映画初主演。
『クローンは故郷をめざす』 1/10よりシネカノン有楽町1丁目ほか全国にて順次公開 配給会社:アグン・インク (C)2008「クローンは故郷をめざす」製作委員会 |
これは良い機会と思い、宣伝の方にインタビューをオファーしたところ、
合同だったら大丈夫との連絡が。
合同インタビュー撲滅運動実施中の伊藤Pですが、
多忙を極める及川先輩にお会い出来るだけでも幸運だし、
宣伝担当の方のご配慮もあり、有り難く取材させて頂くことに。
しかし、取材が決まったは良いが、合同取材でどう挨拶すれば良いのか、
そればかり考えていた。
最後にお会いしたのは、まだ伊藤Pが大学生だったから12年ぐらい前か?
『ブレイブ』のコメントの際に電話で話してはいるが、それでも10年前。
及川先輩が伊藤Pのことを覚えていなくても仕方が無い。
では、きちんと自己紹介すれば良いのだが、
問題は“合同取材”。
合同取材とは他の媒体さんと時間を共有するということだ。
もしも挨拶して、そのまま雑談になってしまったら、
貴重な取材時間を無駄にしてしまい、他の媒体さんの迷惑になってしまう。
及川先輩が思い出してくれたら、間違いなく「君、なんでいるの?」って言われるでしょう。
しかも、今回はインタビュー前に、スチール撮影という流れ。
取材が先だったら、媒体説明のついでに挨拶という感じだったのだが・・・
どうしたものかと考えあぐね、結局、結論が出ないまま、
カメラ担当の女性スタッフEと一緒に、取材現場である及川さんの事務所へ向かった。
撮影場所は事務所の上にあるスタジオ。
そこで他の媒体さんたちと撮影準備をしてると、取材時間が押しているという連絡が入った。
こりゃ、ますます挨拶に時間割けない状況下だ。
そして、予定時間から遅れること数分、及川先輩がやって来た。
「遅くなりまして大変申し訳ございません。よろしくお願い致します」
流石、取材慣れした感じだ。
2媒体の終了後、伊藤Pの媒体、GyaO「最新映画ナビ」の番となった。
ここで挨拶!と行きたいところだし、行くべきなのだが、
元パブリシストである伊藤Pにとって、「押している」という言葉は重いのだ・・・
結局、挨拶出来ないという社会人失格の伊藤Pに促され、
やや緊張の面持ちで、及川先輩にカメラのレンズを向ける女性スタッフE。
バシャバシャと撮っていると、
及川先輩が「なにかリクエストはないの?」と優しい心遣い。
撮影が終わり、「ありがとうございました」と言った時に、
及川先輩とモロ目線があった。
その瞬間、
「えっ、なんでいるの!?」
かなり驚く及川先輩。
「ご無沙汰しております。時間がないようなので、後ほど取材の際に改めて」
と言って、まだ2媒体分写真撮影がある及川先輩を残し、
スタジオを後にしたんだけども、
どうやら顔は覚えていてくれたようで、ひとまず良かった。
取材部屋は事務所の会議室。
全媒体のインタビュアーも揃い、いよいよ及川先輩が会議室へ。
及川先輩「(伊藤Pに向かって)なにやってるの?」
伊藤P 「仕事です!いま、GyaOというサイトで映画情報の仕事をしているんです」
及川先輩「ふーん。そうなんだぁ。楽器なにやってたっけ?」
伊藤P 「ギターです」
及川先輩「ギターかぁ・・・」
うんうんとうなずく。
こういう時、もっと色々と世間話を膨らませたいんだけど、
やっぱり、合同インタビューだし、押しているし・・・
難しいっす・・・
そんなこんなで、取材がスタート。
取材してみて感じたことは、
・『クローンは故郷をめざす』というやや難解な映画をきちんと理解している。
・撮影はかなりきつかったけど、今までの及川光博が通用しない役柄だったので、
とてもチャレンジになったようだ。
・仕事に対して真摯に向き合い、妥協しないでとことん自分を追い詰める。
・人の話を聞く。
・サービス精神旺盛で、場を和ませる。
・どちらかというとSである(本人が言っていた)。
→ 文化祭の時、及川先輩が置き忘れた鞄を(既に閉っていた)控え室に取りに行かされた。
・話が端的で、ちょっと崇高な話になっても判り易い。
・とにかくプロフェッショナルだ。
やっぱり第一線で10年以上も活躍しているだけのことはあって、
自信とオーラがみなぎっていたし、常に上にチャレンジしようという意気込みも感じた。
取材が終わり、最後に少しだけ伊藤Pの今までの経歴を話したけど、
直ぐに及川先輩は退室してしまった。
どうやら本当に時間がなかったみたい。
そんな多忙な中、取材できて本当に良かった。
こんな形でお会いするなんてことは、
当たり前だけど、大学生の時には、全く想像することが出来なかったわけでして。
及川先輩はパソコンをまったくやらないということで、
【伊藤Pの部屋】を見てもらうことは、なかなか難しいようですが、
伊藤Pが映画業界でこういう仕事をしているということを、
及川先輩に知ってもらえたのは良かったと思う。
引き続き、映画に出演して頂いて、
その際には、また取材させてください!
『クローンは故郷をめざす』
※及川光博 インタビュー テキスト
■写真
撮影=あすか
ヘア&メイクアップ=たなべこうた
スタイリスト=森保夫