2/20より日劇3ほか全国にて 配給会社:東宝東和 (c) 2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED. |
1928年、ロサンゼルス。クリスティン・コリンズの息子が失踪する。
5ヶ月後、イリノイ州で発見され、クリスティンの元に戻って来た息子は別人だった。
クリスティンは実の息子ではないと主張するが、
少年は息子だと言い張り、警察も聞き入れない。
クリスティンは息子を取り戻そうと行動に出るが、様々な圧力がのしかかり・・・
クリント・イーストウッド監督作品なので、見る前から安心はしていたんだけど、
予想以上に良い作品だった。
なんとなーく「誘拐」ものかなぁ〜と思いながらも、ほとんど予備知識なし状態で見たら、
いきなり“実話に基づく”と来て、それ以降も意外な展開が続き驚かされた。
イーストウッドは、メインテーマである母の愛の強さと信念だけでなく、
母と子の絆、腐敗した警察、権力VS人権、
そして、命の尊厳も描き、とっちらかりそうな要素を手堅く纏めている。
流石、イーストウッド。
特にロス市警のやっている人権無視の愚行は、目に余る。
「何が自由の国アメリカじゃ!!」
息子であるとクリスティンに思い込ませようと、あの手この手を駆使するが、
どれもこれも説得力がないし、超強引。
そもそも、偽の息子を用意した理由が浅はかだし、
逆らうクリスティンには圧力をかけ、封じ込めようとする。
どんなに警察の主張が無茶苦茶で理不尽であっても、
クリスティンは国家権力に屈するしかない。
主人公がドツボにはまっていく過程をじっくりと見せられるから、
見ているこっちは歯痒くって仕方が無い。
どうやってこの苦境を打破するのだ!
頑張れ!クリスティン!!!
しかし、イライラさせられた分、クリスティンにとって事が良い方に転がると、
我々もより一層の喜びを感じることが出来る。
こうやって緩急をつけて、主人公に感情移入させる。
そして、このクリスティンVSロス市警だけでもお腹一杯なのに、
『チェンジリング』は次の展開がある。
そう、息子の行方である。
果たして息子は何処へ・・・?
それは劇場でご確認頂きたい。
何にしても、
イーストウッドって本当に陰惨な話が好きですな。
タフガイ、巨匠というイメージだけど
根底にあるダークさってのが、本作にも出ている。
『チェンジリング』にはとある養鶏所が出てくる。
そこのフラッシュバックシーンとか、
78歳のおじいちゃんが撮る映像じゃないよ。
怖い、怖い・・・
陰鬱なのにエンターテイメントになっているし
社会派でもあって、きちんと軸になる人間ドラマがある。
見ているこちらもかなり気持ちをえぐられる。
凄い作品だ。
日本でも、過去にこの手の埋もれた事件が、ゴロゴロしているはずなんで、
そこに焦点をあてるような社会派映画が作られないかなぁ〜。