2/28より新宿バルト9ほか全国にて 配給会社:エイベックス・エンタテインメント (C)2009「カフーを待ちわびて」製作委員会 |
沖縄の小さな島で雑貨店を営みながら、自由気ままに一人で暮らす青年・明青(玉山鉄二)は、
ある日、遊び心で旅先の神社の絵馬に「嫁に来ないか。しあわせにします」と書いた。
そして、沖縄に戻り、いつもと変わらない日々を過ごしていた明青の元に、
「幸」と名乗る女性から「絵馬の言葉が本当なら、私をお嫁さんにして下さい」という便りが届く。
更に、本当に幸(マイコ)が島に現れ、明青の家に住み着いてしまう。
果たして、幸はなぜ来たのか?いつ帰るのか?本当に嫁になるのか?
タイトルにある“カフー”とは、沖縄の古い言葉で“果報”“よい知らせ”“幸せ”の意味。
自分自身、そして住み慣れた島が変化することに対して、臆病になり、
前向きになれない明青にとって、幸は“カフー”となるのか?
リアリティを求めてしまうとしたら、穴だらけの作品だ。
でも、絵馬を見た女性が見知らぬ土地に来てしまう設定は勿論、
舞台となる沖縄の島も架空の島。
まぁ、ファンタジー映画と捉えた方が無難でしょう。
そもそもさ、マイコみたいな綺麗な女性が突然、自分の家で寝泊りし始めたらどうするよ?
しかも好意を持ってくれている。
男だったらヤルでしょう!
「あのねぇ、これはねぇ、泡盛って言ってね、ウチナーのおさき(お酒)なの。
しまぁさき(島酒)ねぇ。
ほらぁ、遠慮しないで、さぁ、さぁ、うさがりみそぉれぇ(召し上がれ)」
といって、“どなん60度”あたりをガンガン飲ませて、酔わせて、倒して、夜這いする。
左手に火傷の痕があるという劣等感があるからか?
明青よ、なぜやらぬ!
幸の存在がミステリアスという点では、明青がさっさと幸に「何しに来たの?」って、
普通で考えたら超当たり前のことを聞けば済むだけの話なんで、
“なんで聞かないんだよ”とややストレスがたまるし、
ミスディレクションもあまり上手くないし、オチもかなり予定調和。
それでもこの映画をボロカスいう気にならないのは、
沖縄の土地柄含め、全編に“暖かさ”が漂っているから。
やっぱり、沖縄の綺麗だし、のんびりとしたウチナータイムは心地よい。
ゴーヤチャンプル、ナーベーラ(ヘチマ)チャンプルなど、沖縄料理は美味しそう。
“あぁ〜、沖縄行きてぇぇぇぇ!!めんそれぇ〜って言われてぇ〜!!
チャンプル、ティビチくいてぇぇ!!!”って、
余計にストレスになり兼ねない危険性を孕んでいるのだが・・・
映画に出てくる島民たちの雰囲気とかも、まさにあんな感じだし、
リゾート開発がもたらす功罪にも触れている点も見逃せない。
シマンチュ(島人)を演じた役者さんたちもはまっていた。
主役の玉山鉄二(京都府出身)、勝地涼(東京都出身)、宮川大輔(京都府出身)、
ほんこん(大阪府出身)、伊藤ゆみ(鳥取県出身)、白石みほ(茨城県出身)と、
明青の友人を演じた尚玄と明青の隣に住んでいるオバァ役の瀬名波孝子以外、
ヤマトンチュ(本土の人)だけど、みんな上手い。
特に勝地涼は凄いなぁ。
『東京タワー 〜オカンとボクと、時々オトン〜』のモヒカンオカマを見た時に、
突き抜けた!って思ったけど、器用だね。
暗い男から優男まで演じ分ける振れ幅の広さは若手一番かも。
沖縄のイントネーションって、「あのさぁ〜」って、
語尾に「さぁー」を付けて落とすだけでなんとなくぽく見えたりするんだけど、
やっぱり、シマンチュならではの言い回しがある。
誰とは言わないけど、
「ニーニイィ!(お兄ちゃん!)」って叫んでいるだけじゃ、やっぱり雰囲気は出ないよね。
ヒロインを演じたマイコも『山のあなた〜徳市の恋〜』同様、
過去があって、都会の洗練された雰囲気を持ったミステリアスな女性を演じているけど、
今回の方がいろんな表情を見せてくれる。
感動したとか、心に沁みたとかはあんまりなかったけど、
2時間、まったりとウチナータイムが味わえる作品でした。
あぁ〜、行きてぇ〜
ビーチで泡盛飲んで倒れたい。
『カフーを待ちわびて』
※マイコ インタビュー テキスト
※マイコ 取材記